2022年4月1日に施行される民法の一部改正に伴う日本における成年年齢の18歳へ引き下げ、また、2022年度新学習指導要領において始まる高校家庭科での「資産形成」に関する授業導入という背景を受け、マネーツリー株式会社と、株式会社マネーフォワード、株式会社Zaimは、これから成人を迎える方に向け、今後の人生に希望をもって歩んでもらうための金融オンラインイベントを2022年3月17日(木)に開催しました。当日は、90分のイベントに70名程度の学生やその親世代の方々、メディア各社の参加がありました。
各社の発表の要約は以下の通りです。
登壇者:株式会社Zaim 代表取締役 閑歳 孝子
はじめに
オンライン家計簿サービス代表の閑歳孝子です。記者からエンジニアに転身し、ベンチャーで働きながら、個人のサービスとして 2011 年に開発しました。Zaim は家計簿の記録や自分が持っているお金を一元化できるツールです。一人ひとりの多様性を "お金" の面から寄り添い、行動の変化に繋げたいという想いを持ちサービスを提供しています。
18 歳のあなたができることは?
表に記載した内の()書きの内容はこれまでと変化がない項目で、左側の 5 点がこれからできることの大きな変化。特に「同意なしの契約締結」は自立的に行動できる可能性が広がります。その分、責任を持って生きることへの意識を高めることが重要です。一人ひとりが考えて行動することへの期待を感じさせるメッセージとなっています。
どんな可能性がある?
大人はよく「若いんだから何でもできる」と言いますが、18 歳の自分を振り返ると「何かを選択すると、何かを捨てることになる」と決断に不安や迷いを感じていました。私の起業ストーリーを見るときれいにまとまっているようにも見えますが、模索・失敗を繰り返して今に至っています。高校生の頃は獣医を目指していましたが、大学では不動産系のサービスの起業に参画し大失敗した後、学内 SNSを開発し広めるなど紆余曲折を経ています。「夢はどんどん変わる」し、恐れないで自分に正直でいることは大切です。あなたのあるといいなは、誰かにとって必ず価値のあることだと信じてください。
出来ることとお金の関係は?
どういう人生を歩むことになっても、何かの行動にたいして「お金」は重要なファクターとなります。お金がないと実現できないことも事実としてたくさんあります。Zaim でも提供していますが、お金に関する長期的なシミュレーションをしてみると職業や投資からどんな生活が広がるかイメージがクリアになると思います。お金がどれくらい必要なのか?などぼんやりした不安を解消し、選択肢を広げるよい機会になると思うのでぜひ一度トライしてみてください。
登壇者:マネーツリー株式会社 代表取締役 ポール・チャップマン
はじめに
オーストラリア出身、マネーツリー株式会社の創業者、ポール・チャップマンです。幼少時に日本のドラマやブランドに触れました。そして、私が18歳の時は、初めて来日し日本語や日本の文化に触れる機会がありました。Zaimやマネーフォワードと同様、「Moneytree」という家計簿アプリを提供しています。弊社ではコアな機能のみの提供ですが、Moneytree IDを通じてその他のサービスに連携できる技術を提供するのがメインのビジネスです。
もっともよく使う決済手段は?
オーディエンスに質問しました。クレジットカードやQRペイメント、現金などさまざまな決済方法を使っているようですが、ここで紹介したいのは、海外のミレニアルでよく利用されている決済方法です。銀行口座と直結しているデビットカード、モバイルワレットやオンライン決済システム、そしてアメリカでは人気のVenmoに代表されるような、パーソンToパーソンのサービスや暗号通貨など多岐にわたります。
日本と海外の若者を比べてみると?
スウェーデンやオーストラリア、韓国などではほとんどキャッシュレスになっていますが、日本を含めるとまだ支払いの8割以上が現金主義の国があります。オーストラリアでは、タップToペイという、かざすだけで支払いが済むものは大変人気です。日本でいうSuicaのようなものです。暗号資産は発展途上国での方が人気で、逆に金融市場が安定しているアメリカやオーストラリア、日本ではまだそこまで普及してはいません。
世界の若者がより意識しているお金にまつわる習慣は?
納税対策は、日本では会社員である以上多くの人は確定申告をしなくてすみますが、欧州では全ての人が確定申告をするため、税金やお金に対する意識が高まります。老後資金準備に関しても、オーストラリアでは引退後の投資が義務付けられています。投資先を自分で考え、引退後のために強制的に投資します。日本では貯金の習慣が既にあるので、そういった違いがそれぞれの国で生活する人の意識を変える結果となっているでしょう。不動産投資については、また大きな違いの一つでしょう。若い頃から、家を所有し、将来的に利益を生み出すということを考えています。
日本でまだ習慣的ではないことは?
1つ目は、キャリア形成において野心的であること。収入に対して貪欲であることだと思います。2つ目は、早くから投資を始めることです。投資の知識がなければ、プロに任せてみたり、NISAなどを利用することですが、早くやるというのが大事です。3つ目は、適度なリスクをとるということ。ギャンブル的なことを意味するのではなく、スタートアップで経験を積んだり、海外で生活するということやギャップイヤーを利用するといったことです。いい本やツールに出会ったり、自ら経験することで、お金のマインドセットを高めていってください!
登壇者:株式会社マネーフォワード 執行役員CoPA 兼 Fintech研究所長 瀧 俊雄
はじめに
家計簿アプリ『マネーフォワード ME』を提供している株式会社マネーフォワードの瀧俊雄です。証券会社でお金の研究をした後、海外留学し、2012年にマネーフォワードを立ち上げました。この会社を立ち上げた裏側には、お金に関する適切な答えが返ってこない世の中を変えていきたいという想いがあります。日本では多くの方が何歳になってもお金の不安を抱えていますが、これから18歳で成人を迎える方には、成人として出来ることのポジティブな面に焦点を当てるためにも、ぜひお金の知識を付けて頂きたいと考えています。
お金を沢山持っている=幸せ?
お金を沢山持っている=幸せなのかを考えてみましょう。例えば、日本よりも平均所得が半分以下の国々でも、日本と同水準の幸せを感じているという調査があります。宝くじが1億円以上当たったと思えば、家族間での論争が生まれたという例もあります。決してお金が理由で幸せ度合が右肩上がりに増えていくわけではありません。しかし最低限は自分のお金を管理できるようになることが、自分の幸せに近づくことだと思います。
お金に関する「最低限」のことって?
自分たちが考えないといけないことが増えてきた今の時代で、自分でコントロールできるお金の「最低限」は3つあります。1:足元のお金の入りと出を知る、2:今後2、3年でどんな支出や意思決定が必要になるかを把握する、3:いざとなったとき頼ることが出来る人、頼られるかもしれない人を把握する。この3つを押さえて書き出せるようになることで、ある程度のお金の不安を減らせると考えています。
そして今後自分が何とかやっていけるだろうという自信を持ち、今後の「自立」に繋がるようにして頂けたらと思います。
今後自分が自立するためには?
改めてではありますが、今後の自立に向けて意識しておいた方がよいことは、足元のお金がどれくらい入って、出て行っているのかをまず把握してみることです。自分がもつ口座やクレジットカードを自動家計簿に繋ぎ、数か月間黒字と赤字の計測をしてみてください。黒字が出たら、赤字が出たら、それぞれで取るアクションを押さえておきましょう。何かを見直す時は、自分にかかる固定費を調整し、仕組みで解決していくことを覚えて頂けたら嬉しいです。
最後に
ここまでお話してきたお金のことを着実に押さえていただいたら、お金の基本に関する偏差値は十分に上がっていると考えてください。あとはぜひ、18歳という若い時から持てる自由と責任を活かしながら、好きなことに取り組んでいってほしいと思います。
「Global Money Week」は、2012年から始まった子供・若者の金融教育・金融包摂の推進のための国際的啓発活動です。2020年から経済協力開発機構(OECD)に事務局を置く「金融教育に関する国際ネットワーク(INFE)」の主催となり、2022年3月21日(月)~3月27日(日)までの1週間、世界各国の様々な団体が子供・若者向けの金融教育を推進するイベントや情報発信を行います。
*記載されている会社名および商品・製品・サービス名(ロゴマーク等を含む)は、各社の商標または各権利者の登録商標です。