
「健康のためには、運動したほうがいい」
そんなことは、もう何度聞いたか分からない。食事にも気をつけたほうがいい。それも知っている。耳にタコどころの話ではない。
問題は、分かっていても続かないことだ。とにかくモチベーションが続かないんだ。
だったら、AIにコーチをしてもらえばいいんじゃないか。毎日声をかけてくれる相手がいれば、さすがの私も動くはずだ。便利な時代である。
というわけで今回は、ダイエットが続かない私が、モチベーションを上げる方法としてAIコーチを使ったらどうなるのかを確かめてみた。
やったことはこうだ。
・最初は、標準語で丁寧に励ましてくれるAIコーチを使う
・途中から、同じAIコーチに「健康になりたい。土佐弁でコーチして」と頼む
・それぞれ、やり取りが何日続いたかを履歴で見返す
結論から言うと、丁寧なコーチはわずか4日で終了した。というか、私が自分から無視するようになった。
ところが、土佐弁に切り替えたところで、ちょっと妙なことが起き始めたのである。
最初に使ったAIコーチは、とにかく丁寧だった。
画面には「あなたの専属AIコーチです」の表示。こちらの目標を聞いたうえで、具体的なプランまで考えようとしてくれる。
何も文句はない。普通にいいコーチだ。
ダイエットが続かないのは、一人でやっているからではないか。毎日こうやって声をかけてくれる相手がいれば、今度こそ習慣化できるかもしれない。
そう思って始めた。

キャプション:対応は非常に丁寧。普通にいいコーチである。
……問題は、このあとだった。
ビジネスパーソンらしく、結論から述べよう。
丁寧なコーチとのやり取りは、4日で止まった。
理由はわからん!
ちなみに、この期間の1日平均歩数は6,386歩。歩数がどうこう以前に、AIコーチとのやり取りそのものが長続きしなかった……。
念のため言っておくと、コーチに落ち度はない。無理な目標を押しつけることも、おかしなアドバイスをすることもなく、こちらの状態を確認しながら丁寧にサポートしようとしてくれていた。
無視しているのは私である。悪いのは私である。
これには困った。習慣化の方法を探すためにAIコーチを使ったのに、AIコーチとの会話そのものが習慣化しない。本末転倒もいいところである。
なぜだろうと考えていて、ふと思った。
アドバイスの中身はそのままで、言われ方だけ変えたらどうなるんだろう? 私がつい反応してしまうような口調なら、もう少し続くかもしれない。
そうして思いついたのが、土佐弁だった。
土佐弁コーチの誕生である。
AIコーチに送ったのは、たった一言だ。
「健康になりたい。土佐弁でコーチして」
すると、すぐに返事がきた。
「わかったき!」
そこから、さっきまで丁寧な標準語だったコーチが、土佐弁でビシバシ話しかけてくるようになった。最初は「ちょっと面白いな」くらいの感覚だったのだが、会話を続けるうちに、おかしなことに気づく。
私まで土佐弁っぽくなっている。
ウォーキングへ行くときには「千波湖いくぜよ」と報告。雨でウォーキングができなかった日には、「貴様!水戸は雨だったやないか!ウォーキングできんかった」とAIに文句を言っている。
するとコーチは、雨なら家の中でできる運動に切り替えないかと提案してきた。
それに対する私の返事が、
「家でやるぜよ!チェスト!」
である。


雨で歩けなくても会話が終わらない。そして、なぜか私までキャラが変わっている。
冷静に考えると、私は何をやっているんだ。
……ところが、話はこれで終わらなかった。このやり取りのあと、私は本当に歩きに出ていたのである。
9月17日。AIコーチとのやり取りのあと、溜池山王駅から乃木坂駅まで歩いた。
・時間:約20分
・距離:約1.5km
歩き終わって記録を確認すると、AIコーチの画面にはこう表示されていた。
「約2,000歩を追加して、今日の合計は7,351歩」

……本当に歩いてるっ!!!
丁寧なコーチとの会話は4日で止まったのに、土佐弁コーチには「歩いたぜよ」と報告して、そのうえ約2,000歩を歩き足している。
丁寧コーチも土佐弁コーチも、言っている内容は「運動したほうがいい」で変わらない。私が変えたのは、コーチの口調だけだ。
それなのに、この差である。
とはいえ、1日だけテンションが上がっても、習慣化とは呼べない。問題は、これが続いているかどうかだ。そこで、チャット履歴を見返してみることにした。
チャット履歴を開いてみる。
9月17日。その後も、食事やウォーキング、運動についてのやり取りがずらりと並んでいる。
9月下旬。
まだある。
10月に入っても、まだある。

なんか、めちゃくちゃ報告している。
起算日を9月14日として数えると、土佐弁コーチとのやり取りは23日目まで続いていた。一方、丁寧なコーチは4日だ。
丁寧コーチ4日 vs 土佐弁コーチ23日。
差がありすぎる! 日数でいえば約6倍である。
ちなみに、土佐弁コーチ期間の1日平均歩数は8,040歩。
もちろん、これは編集部員一人が試した結果なので、土佐弁なら誰でも運動が続くとは言えない。ただ、少なくとも今回の私は、丁寧に励まされるより、少し勢いのある言葉で話しかけられるほうが、AIとのやり取りが続いた。
やり取りが続けば、「今日は歩いた」「雨だから家で運動する」とAIに報告する回数も増える。
モチベーションを上げる方法というと、目標を立てて自分を奮い立たせる話になりがちだ。でも私の場合は、つい返事をしてしまう相手がいただけで、報告が23日目まで続いた。
では、なぜ私は土佐弁だと返事をしてしまったのか。
今回の結果をまとめると、こうなる。
・丁寧コーチ:やり取りは4日で終了(1日平均6,386歩)
・土佐弁コーチ:23日目になっても報告が続いていた(1日平均8,040歩)
・9月17日は、やり取りのあとに約1.5km歩いて、合計7,351歩
報告が続いたのは、土佐弁コーチが私にとって無視しにくい相手だったからだと思う。土佐弁でなくても、私がつい返事をしてしまう口調なら、同じことが起きたかもしれない。
丁寧に褒めてもらうほうが動ける人もいるだろうし、淡々と数字を突きつけられるほうが動ける人もいる。厳しい体育教師のような口調が合う人もいれば、私のように、なぜか土佐弁だと返事をしてしまう人もいる。
生成AIなら、コーチそのものを替えなくても口調は変えられる。私が送ったのは「健康になりたい。土佐弁でコーチして」の一言だけだ。
それにしても、習慣化の方法を探していただけなのに……
23日目の私は、AIに向かって「朝飯じゃ!」と報告していた。
少なくとも私には、優しさより土佐弁だったらしい。チェスト!!
お金と健康の編集チーム
大学生と20代の毎日に役立つ、お金と健康の知識をわかりやすく届ける編集チーム。専門家への取材と、今日から試せる具体性を大切にしています。
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