
「私の無駄遣い、全部指摘してください」
……と、1カ月分の明細を見せて誰かに頼むのは、かなり恥ずかしい。
家計を見直したほうがいい気はする。でも友人には見せたくないし、家族なら普通に怒られそうだ。
では、相手がAIならどうだろう。
というわけで今回は、Geminiに1カ月分の支出明細を丸ごと渡して、「私の無駄遣いを容赦なく説教して」と頼んでみた。いわば、AIによる無駄遣い診断である。
使うのは、こんな人物を想定して作った家計だ。
・34歳・独身・一人暮らし・会社員
・手取り月32万円
支出データ自体は架空だが、Moneytreeに1件ずつ入力して明細を作り、Geminiへの質問と回答はすべて実際に行った。私はこの人物になりきって、Geminiとやり取りする。
果たしてAIは、人の財布にどこまで容赦なく口を出してくるのか。
今回の人物は、本人としては「そんなに浪費しているつもりはない」という設定だ。ブランド品を何十万円も買ったわけでも、海外旅行に行ったわけでもない。
ただし、こんな人である。
・コンビニに頻繁に行く
・疲れた日はUber Eats
・AmazonでLEDライト、イヤホン、コーヒーミル、ゲーミングマウスなどをちょこちょこ買う
・サブスクはNetflix、Spotify、YouTube Premium、U-NEXT、Apple One
一つひとつは大事件ではない。コンビニで700円、Amazonで3,000円、スタバで600円、Uber Eatsで3,000円……。「まあ、これくらいなら」と払ってしまう金額ばかりだ。
そんな支出を101件、Moneytreeに入力してみた。1カ月の支出総額は331,952円。手取りは32万円なので……
11,952円の赤字である。
……あれ?
まだ無駄遣い診断すら始めていないのに、すでに収入を超えている。
何を削るべきかは、Geminiに決めてもらう。それが今回の企画だ。さっそくこの明細を渡してみよう。
Geminiには1カ月分の明細と人物設定をすべて渡して、こうお願いした。
・私の無駄遣いを診断してください
・遠慮はいりません
・容赦なく説教してください
とはいえ相手はAIだ。「無理のない範囲で支出を見直してみましょう」くらいの、優しい回答が返ってくるのではないか。
そう思っていたのだが……。

「本人の『浪費していない』という感覚は甘すぎます。」
初手から厳しい!!
Geminiが特に問題視したのは、この3つだ。
・コンビニ+Uber Eats
・Amazonでの買い物
・重複しているサブスク
最後には、この家計を「自覚なき赤字家計です」とまで言い切った。頼んだのはこちらだが、なかなか容赦がない。
ただ、説教を読んでいるうちに、別のことが気になってきた。Geminiの集計はこうなっている。
・コンビニ+Uber Eats:41,364円
・Amazon:45,180円
・サブスク:7,669円
本当か?
明細をもう一度確認してみた。
・コンビニ22,538円+Uber Eats 16,080円 → 合計38,618円
・Amazon → 45,360円
・サブスク → 8,669円
……全部ズレている。
ちょっと待って。説教する側が計算を間違えてない?
そこで第2ラウンド。計算ミスを指摘したうえで、この人物になりきって全力で反論してみた。
・コンビニは、仕事が忙しい日の朝食や昼食に必要
・Uber Eatsは、料理や片付けをする時間を買っている
・Amazonのイヤホンやマウスは、生活や仕事を便利にするためのもの
・サブスクにも、それぞれ用途がある
要するに、
「全部ちゃんと理由があるんです!」
という主張である。さて、Geminiはこの言い訳を認めてくれるのか。

まずGeminiは、集計ミスについて謝罪。そのうえで、コンビニの朝食や昼食、仕事環境を整えるためのAmazon購入品などは「認めてもいいもの」に分類した。
お、意外と話が分かるじゃないか。
ところが、Uber Eats、重複するサブスク、頻繁な小物買いは「ただの言い訳だと思うもの」に分類。最後には「必要経費という言葉に逃げず、メリハリをつけた見直しが必要です」と返してきた。
謝った直後なのに、説教への復帰が早い。
でも、言われてみればその通りだ。理由がいくらあっても、手取り32万円に対して支出331,952円という数字は変わらない。
では、コンビニも、Uber Eatsも、Amazonも全部禁止して、何もかも我慢するしかないのか。最後に、もっと現実的な質問をぶつけてみた。
3回目の質問はこれだ。
「この生活の満足度をなるべく落とさず、毎月2万円だけ支出を減らすならどこを削る?」
すると今度のGeminiは、説教モードから一転。具体的な削減プランを出してきた。

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提案はこの3つだ。
・重複しているサブスクを整理する
・Amazonでは、欲しいものを翌月まで寝かせる
・Uber Eatsは完全禁止にせず、5回のうち1〜2回をテイクアウトなどに置き換える
これは結構いい!!
どれも、便利さや楽しみを少し残したまま支出を減らす案である。家計の見直しはどこから始めればいいのか分からない人なら、こうやってAIに候補を出してもらうのはアリだと思う。
……と思ったのだが、ここでも問題が発生した。
Geminiはサブスクを「8,669円→2,130円」にするとしている。ところが、Gemini自身が残すと言っているのはこの3つだ。
・U-NEXT:2,189円
・YouTube Premium:1,280円
・Apple One:1,200円
残す3つだけで4,669円。2,130円の2倍以上である。
さらに、Uber Eatsを減らす例として「9/9の中華3,240円」を挙げていたが、9月9日に頼んだのはハンバーガー。中華は9月28日の3,420円だ。
また数字が怪しい。
今回の無駄遣い診断をまとめるとこうなる。
・支出の癖を見つけるのは得意(コンビニとデリバリーの併用、サブスクの重複、Amazonの小さな買い物の連続)
・言い訳をすると、認める支出と認めない支出を分けて返してくる
・ただし、3回の質問のうち2回で、金額の集計か明細の読み取りを間違えた
明細を丸ごと渡して、AI家計簿のような感覚で支出の癖を指摘してもらう。この使い方はかなり面白い。
でも、AIが「月2万円削れます!」と言ってきたら、その2万円の計算は、自分で明細と突き合わせたほうがいい。
分析はAI、数字の最終確認は自分。
説教されている途中で、こちらが計算ミスを指摘する羽目になった身としては、この分担で使うのがちょうどいいと思う。
ちなみに今回は、こちらから最初に「容赦なく説教してください」とお願いしている。なので、散々怒られた件についてだけは、Geminiに文句は言えない。
次にAIに家計を見てもらうときは、電卓も用意しておこうと思う。
お金と健康の編集チーム
大学生と20代の毎日に役立つ、お金と健康の知識をわかりやすく届ける編集チーム。専門家への取材と、今日から試せる具体性を大切にしています。
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