
「無駄遣いを月2万円減らせたら、かなり大きくない?」
月2万円なら、1年で24万円。家族旅行にも行けるし、そのまま貯めてもいい。収入を月2万円増やすのは大変だが、どこかに潜んでいる無駄を2万円削るだけなら、意外といけそうな気がする。
コンビニ、ネット通販、サブスク……。怪しい候補はいくらでも思い浮かぶ。
そこで今回は、架空の「モデル家庭」を1つ用意した。30代夫婦と子ども2人の4人家族だ。その1カ月分の家計簿を家計簿アプリに並べ、私が本気で添削する。
お題は「この家計から、月2万円削るならどこを削る?」
正直、始める前はナメていた。他人の家計となると人は急に強気になるもので、「2万円? 無駄遣いを2〜3個やめれば終わりでしょ」くらいに思っていた。
……結論から言うと、そんなに甘くなかった。
※記事内の支出データはすべて、今回の検証用に作成した架空のモデルデータです。
モデル家庭の1カ月の支出は、約30万円。家賃、水道光熱費、保険といった毎月かかるお金に加えて、食料品、外食、ネット通販、コンビニ、サブスクなど、どこの家にもありそうな支出を盛り込んだ。
添削のルールは1つだけ決めておく。
削るかどうかは「金額」ではなく「この家庭にとっての満足度」で決める。
ちなみにこの家庭、休日に家族で外食するのが月いちばんの楽しみ、という設定である。覚えておいてほしい。
では、1カ月分の支出を並べてみよう。

キャプション:モデルケースとして作成した架空データ
目についた費目を抜き出すと、こうなった。
・外食:2万2,400円
・ネット通販:1万6,900円
・通信費:1万2,800円
・コンビニ:8,760円
・お酒・お菓子などの嗜好品:7,800円
・サブスク:4,480円
……結構あるな。
特に気になるのはコンビニだ。
8,760円。
1万円を切っているので一瞬スルーしそうになるが、コンビニだけで月8,760円である。1年なら10万5,120円。10万円を超えている。
しかも明細の中身は、飲み物、お菓子、ちょっとした軽食。どれも「ここで買わないと困る」ものではない。
ネット通販も怪しい。1万6,900円の中には生活用品もあるが、「あったら便利そう」で買った小物や、なんとなくポチった商品も混じっている。
さらにサブスクが4,480円。
よし。この辺を切れば、2万円くらい余裕では?
まだ何も削っていないのに、すでに勝った気分である。
まずはコンビニから。
とはいえ、コンビニ禁止はやりすぎだ。出先で飲み物が必要な日もあるし、帰りが遅ければ晩ごはんを買う日もある。そこで明細を1件ずつ見て、「これ、なくても困らなかったのでは?」というものだけを外していく。

キャプション:モデルケースとして作成した架空データ

キャプション:モデルケースとして作成した架空データ
1回428円。
別の日には618円。
また別の日には356円。
1件ずつ見ると、本当に小さい。「まあ400円くらいなら」と見逃したくなる金額だ。でも1カ月分まとまると話が変わる。飲み物やお菓子を中心に見直して、8,760円を4,000円にした。
まずは4,760円の削減に成功!!
続いてネット通販。洗剤や日用品など必要なものは残し、なくても困らない雑貨や小物を外していく。1万6,900円が、1万990円に。
5,910円の削減に成功!!!
コンビニと通販だけで、合計1万670円。
おお、もう半分を超えた!!
……と喜んだところで、嫌な予感がしてきた。
目標は2万円。残りはまだ9,330円ある。
「コンビニと無駄な買い物をやめれば終わり」と思っていたのに、必要なものを残しながら削ると、意外と減らないのである。そもそも家計簿に「無駄遣い」という費目があるわけではない。
コンビニ代が全部ムダなわけでも、通販代が全部ムダなわけでもない。無駄遣いをやめたいときに難しいのは、たぶんここだ。
「使ったお金」と「無駄に使ったお金」は、同じではない。
残り9,330円。
コンビニで数百円ずつ削っていても、もう届かない。ここで、毎月ほぼ自動で出ていく固定費に手を出すことにした。
まずはサブスク、月4,480円。この家庭の場合、ほとんど使っていないサービスも契約したままになっている設定だ。必要なものだけ残すと、990円まで圧縮できた。
3,490円削減。
次に通信費、月1万2,800円。契約内容や料金プランを見直して、9,800円まで下げられたと仮定する。
さらに3,000円削減。
固定費の見直しで、合計6,490円。さっきの1万670円と合わせると……
1万7,160円!
かなり来た。だが、あと2,840円足りない。
ここで気づく。最初はあれほどあった「削れそうな支出」が、急に見当たらないのだ。
残っているのは、家賃、食料品、水道光熱費、保険、そして外食。細かく見れば削る余地はあるが、「無駄だから切ろう」と言い切れるものではない。
さて、どうする。
最後に手をつけたのは、お酒やお菓子などの嗜好品だった。ゼロにする必要はない。月7,800円から2,840円だけ減らして、4,960円に抑える想定だ。
これで合計は……

合計、マイナス2万円!!!
たどり着いた……!
最後はかなり都合よく2万円ぴったりに合わせた感はある。でも中身を見ると、意外と無茶はしていない。コンビニは禁止していないし、お酒もお菓子もゼロにしていない。通販も必要なものは残している。
そして地味に効いたのが、サブスクと通信費、つまり固定費の見直しだった。
固定費のいいところは、一度見直せば来月以降も勝手に効き続けることだ。毎日レシートを打ち込む必要はない。
家計簿が続かない人ほど、固定費から見直したほうがいい。
三日坊主で家計簿が続かないなら、「毎日ちゃんと記録するぞ!」と気合を入れる前に、月に1回だけ1カ月分をまとめて眺めてみる。毎月同じように払っている支出が目に入れば、「ここ、一回見直せば来月以降もずっと効くのでは?」という場所が見つかるはずだ。
さて。2万円は削れた。
めでたしめでたし……と言いたいところだが、この家計には1つだけ妙な点がある。
かなり大きな支出なのに、最後まで1円も削らなかった費目があるのだ。
それが外食費だ。
月2万2,400円。
今回削った2万円より大きい。普通なら真っ先に狙われる金額である。極端な話、外食をほぼやめれば、それだけでこのチャレンジは終わっていた。
では、なぜ削らなかったのか。
明細の中身は、休日に家族で出かけた日のランチ、遊びに行った帰りの夕食、そして月に一度だけちょっと良いものを食べる日。

キャプション:モデルケースとして作成した架空データ
もちろん、外食を減らせば家計はグッと楽になる。2万2,400円を1万円にするだけで、1万2,400円の削減だ。コンビニの428円や618円を1件ずつにらむより、よっぽど手っ取り早い。
でも、思い出してほしい。最初に決めたルールは「金額ではなく、この家庭にとっての満足度で決める」。そしてこの家庭にとって、休日の家族の外食は月いちばんの楽しみなのである。
ここを削って休日の楽しみを我慢させるより、なんとなく買っていたコンビニのお菓子や、存在を忘れかけていたサブスクを減らすほうが、よっぽど納得感がある。ルールどおりにいけば、ここは残すしかない。
最初に「怪しい」とにらんだコンビニ代は8,760円。
最後まで残った外食費は2万2,400円。
金額だけなら、どう考えても外食費のほうが大きい。それでも……
外食費、最後まで無傷。
……そこは切らないんかい。
今回の添削結果をまとめると、こうなる。
・削った:コンビニ、ネット通販、サブスク、通信費、嗜好品で合計2万円
・残した:外食費2万2,400円(いちばん高いのに無傷)
ツッコみはしたが、家計を見直すならこういう決め方もアリだと思う。
節約というと「高いものから順に削る」と考えがちだ。でも、それで生活の楽しみまで全部なくなったら、たぶん長続きしない。逆に「払っているけど、別にうれしくない」支出なら、削ってもそれほど困らない。
1カ月分の家計を並べてみると、「何を削れるか」だけでなく「何にお金を残したいか」まで見えてくる。他人の家計を添削していたはずが、最後はそこに気づかされた。
無駄遣いをやめたい。でも、何から手をつければいいかわからない。
そんなときは、いきなり全部を我慢する前に、1カ月分の支出を並べて「なくなっても困らないもの」から外していけばいい。
最後まで残った支出こそ、その家庭にとって本当に大事なお金なのかもしれない。
お金と健康の編集チーム
大学生と20代の毎日に役立つ、お金と健康の知識をわかりやすく届ける編集チーム。専門家への取材と、今日から試せる具体性を大切にしています。
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