2018年夏、マネーツリーはオフィスを港区西麻布に移転しました。社員が働く場でありながら、マネーツリーのブランドメッセージ発信の場でもある新オフィスには、私たちが大切にしている価値観が大きく反映されています。今回、新オフィスのデザインを担当したメンバーに、オフィスデザインのコンセプトやマネーツリーのコミュニケーションデザインについてたずねました。
佐々木:様々なコンシューマー向けアプリのUIデザインを10年ほど手がけた後、マネーツリーにジョイン。個人資産管理サービス「Moneytree」のプロダクトデザインを、サービスリリース前から担当。現在はマネーツリーの全てのプロダクトデザインとビジュアルコミュニケーションデザインに責任を負っています。
有馬:前職で大手SNSメディアのサービスにおける日本国内での広告事業の立ち上げに参画し、オペレーションの整備や広告クリエイティブ戦略及びコミュニケーション等のプロジェクトマネジメントに携わる。マネーツリーではブランドマーケティングを担当し、コーポレートブランドの戦略構築や社外に向けたコミュニケーションデザインを行う。
マネーツリーでは、「お客さまのデータはお客さまのもの」をポリシーに掲げ、サービス開始当初から現在に至るまで、サービスのセキュリティ対策、利用者のプライバシー保護、情報の透明性を徹底してきました(Moneytreeの安全性)。これはゲスト(ユーザー)との信頼関係がマネーツリーにとって大事だと考えているからです。この姿勢はマネーツリーを支える一番大切な柱であり、新オフィスのデザインにも大きく影響を与えています。
佐々木:マネーツリーはゲスト(マネーツリーではユーザー中心設計を重要視するためにユーザーのことをゲストと呼んでいます)との信頼関係を何よりも大切にし、成長してきました。個人向けの資産管理サービス「Moneytree」においては、ゲストのデータをマーケティングに活用して広告を表示することはありません。また、企業向けサービス「MT LINK」は、金融インフラプラットフォームとして中立性を持つサービスです。この部分が評価され、様々なお客様に信頼していただいています。
「信頼」と「中立性」。今までもこの二つのメッセージを軸に対外的なコミュニケーションデザインをおこなってきましたが、今後マネーツリーが更に成長していくためには、より積極的に、よりシステマティックにブランドメッセージを発信していく必要があります。その戦略の一環として、新オフィスのデザインにもブランドメッセージを反映し、発信の場としての役割を持たせました。
有馬:こうした「信頼」と「中立性」のブランドメッセージを表現するため、マネーツリーのデザインスピリットである「シンプル」かつ「エッセンシャル」であることを軸にオフィスデザインを考えました。
まず「信頼」という面では、私たちのお客様には金融系の方が多いため、カジュアルになりすぎず、ミニマルでスマートな雰囲気に仕上げるよう意識しました。一方で、スタートアップ企業らしさもお客様から期待されている部分ではあるので、家具の選定や色使い、アートワークや植物を取り入れるなどしてバランスを取るように心がけるなど、どんな人でも気持ちよくオフィスで過ごしてただけるような工夫をしています。
「中立性」という面では、オフィスの内外に社名やMoneytreeというロゴを出さず、イメージキャラクターである象の「チビちゃん」のシンボルマークを掲げるだけにとどめました。私たちのプロダクトがゲスト中心であるのと同様に、私たちの会社の中心は一人ひとりの社員です。オフィス自体の主張は控えめに、あくまでもシンプルに、いかようにも溶け込めるようにしました。
室内にはアートパネルやオブジェなどを配置していますが、これらのアートワークにも、様々なブランドメッセージを込めているんですよ。「この絵にはどういう意味が隠れているんだろう?」とか「この絵、可愛いね」など、気持ちが少し和らいだり、お客様が来社されることで生まれるコミュニケーションを意図しました。
佐々木:アートワークのモチーフは、マネーツリーのプロダクトデザインと同様、和風など、特定の文化に寄らないよう意識しました。サービスもオフィスも、色々なバックグラウンドを持った人が分け隔てなく受け入れられるよう、普段から心がけてデザインしています。
新オフィスをオープンして数ヶ月、オフィスを訪れたお客様や採用面接を受けに来た方からは、とても良い反応を頂戴しており、僕たちのメッセージがきちんと伝わっているようで、本当にうれしいです。
もちろん、オフィスはそこで働く社員たちにとって非常に重要なものです。社員たちがより効率よく・気持ちよく働けるよう、新オフィスには様々な工夫がなされています。
佐々木:新オフィスデザインのプロジェクトは、社員たちの意見を取り入れながら進めていきました。まずは僕たち二人で仮説を立て、全社員が参加するミーティングでプレゼンしました。そこで意見をもらったり、全社員にアンケートをとったり、フィードバックをもらいながら案をブラッシュアップしていきました。
有馬:私たちが中心となって動いたプロジェクトではあるものの、マネーツリーがもともと発言しやすいカルチャーだということもあって、みんなで関わりながら進めていくことができました。それぞれの社員が何を大切にしているか、前オフィスでは何が不満だったかなどを聞いて、今回のオフィスデザインに取り入れています。むしろ自由に意見が出すぎて、まとめるのが大変だったくらいです(笑)
佐々木:プロジェクトの進め方にも表れているように、マネーツリーではフラットな組織やコミュニケーションを大切にしています。様々なバックグラウンドを持った社員が互いにぶつかり、理解し合いながら共に働くことで、より良いサービスが生まれると考えているからです。この部分も、オフィスデザインに反映しました。
まず、前オフィスでは部屋が分かれていたのを、トップも含めて全員一つの部屋で働けるようにしました。より密なコミュニケーションを取れるように、一つのチームという意識で働けるように、というCEOの強い思いが込められています。
有馬:少人数の会社ならではですが、お互いの顔を見てコミュニケーションを取れるというのは、良い体験やサービスを作るために非常に大切なことだと私たちは考えています。休憩の場であるカフェスペース(キッチンと冷蔵庫が置いてあります)も、オープンなスペースを意識し、あえて区切らず同じ部屋の中に作りました。ここでブレイクタイムにコーヒーを飲みながら立ち話をしたり、おやつを食べながら少し仕事を進めたり、人が自然と集まるような場所にしたことで、部署を越えたコミュニケーションのきっかけの場となっています。またお昼時には、年齢やチーム・プロジェクトに関係なく、ラウンジで机をつなげてお弁当を食べる社員たちの姿をよく見かけます。オープンなオフィスが、社員同士のコミュニケーションを自然と生み出しているのです。
佐々木:マネーツリーのサービスは、UI/UX等にこだわり、ゲストの「体験」を大切にしています。それは、お金に関するサービスは、なんとなく使うのが怖いと感じる方が多くいらっしゃるため。まずは、使いやすさや親しみやすさを前面に出し、良いサービス体験をしていただいて、その恐怖心を取り除く。その上で初めてサービスの便利さを実感してもらえるんです。
この「体験」の大切さは、社員にとっても同じこと。社員が日々良いオフィス体験をできて初めて、良い仕事ができ、良いサービスが生み出せるようになるはずです。今回のオフィスデザインでは、人の導線や行動の仕方を徹底的に考え、人間らしく過ごせる居心地の良さにこだわりました。
有馬:社員が気持ちよく働いたり心地よく過ごせるようには、型にはまらないフレキシビリティのある環境が必要です。「この部屋は〇〇ための場所」と用途を限定してしまわず、一人ひとりがその時々に合わせて工夫して使えるような空間づくりを心がけました。例えばラウンジは多用途に自由に使えるよう、オープンなスペースにいくつかの小テーブルを並べました。このスペース一つでミーティングもできれば、一人で仕事もできるし、ランチも食べられるんですよ。また、その人の働き方に合わせて、好きな場所で働くこともできます(マネーツリーでは半フリーアドレス制を取っています)。スタンディングデスクやソファ席などを用意し、その時の気分や体調によって働く場所を選べるようにしました。
佐々木:クリエイティビティを存分に発揮できるよう、リラックス感も大切にしています。天井の高い広々とした空間に、多肉植物を取り入れたり、大きな窓から自然光をふんだんに取り込んだり。せっかくの広い空間を分断してしまわないように、家具などの配置にも気をつかいました。
一方で、エンジニアの席には集中力向上とセキュリティの観点から、低いパーティションを設けています。空間を分断しない程度の、半分閉じられた空間を実現したことで、リラックスしつつも集中して開発に取り組めているようです。
なお、オフィス移転の仲介や内装設計等に関して、tsukuruba inc.にご協力いただきました。
マネーツリーの新オフィスは、対外的にブランドメッセージを発信しつつ、社員にとってはコミュニケーションが取りやすく、居心地の良い空間となっています。クリエイティビティを発揮しやすいオフィス環境で、マネーツリーは今後も成長を続けていきます!
現在、マネーツリーでは様々なポジションで新たなメンバーを募集しています。マネーツリーのポリシーやカルチャーに共感してくださった方、是非私たちと一緒に世の中へ新しい価値を提供していきませんか。