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キャッシュフローとは?種類や計算方法、計算書の見方・作り方について解説
キャッシュフロー
キャッシュフローとは?種類や計算方法、計算書の見方・作り方について解説
マネーツリー編集部
2024-08-08

キャッシュフローは、企業の健全な経営に欠かせない重要な指標です。しかし、その概念や計算方法について正しく理解している経営者は、意外にもあまり多くはないかもしれません。

キャッシュフローの管理が適切に行われていなければ、資金不足や経営の不安定化を招くリスクが高まってしまいます。そこで本記事では、キャッシュフローの基本的な概念から、種類、計算方法、計算書の見方・作成方法までを詳細に解説します。

キャッシュフローの重要性を再認識したうえで、経営の安定化を図るようにしましょう。

キャッシュフローとは?

はじめに、キャッシュフローについて基本事項を整理したうえで、その重要性について解説します。

キャッシュフローの基本的な求め方

キャッシュフローとは、企業の資金の流れを示す指標で、「キャッシュイン(現金収入)」から「キャッシュアウト(現金支出)」を引いたものです。簡単にいえば、企業がどれだけの現金を受け取り、どれだけの現金を支出しているかを計測する方法です。

具体的には「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つの主要な活動において、どれだけのキャッシュの流入・流出があったかを集計し、それをもとにキャッシュフローを算出します。この基本的な理解があれば、キャッシュフロー計算書を用いて企業の資金状況を正確に把握できます。

キャッシュフローの把握が重要である理由

キャッシュフローを把握することは、企業経営において極めて重要です。なぜなら、キャッシュフローは企業の短期的な支払い能力や財務の健全性を示すからです。

たとえば、営業活動によるキャッシュフローが安定していれば、企業は日々の運営に必要な資金を確保できていることになります。一方で、キャッシュフローがマイナスになると資金繰りに問題が生じ、支払いの遅延や借入金の増加など、経営に支障をきたす可能性が高くなります。

このように、キャッシュフローを適切に把握し管理することで、企業は資金の流れを予測し、適切な対策を講じることができるのです。

キャッシュフローが悪化するとどうなる?

キャッシュフローが悪化すると、企業はさまざまな問題に直面します。具体的には、現金の流入が減少し流出が増加するため、取引先への支払いが滞るおそれがあります。

またキャッシュフローの悪化は、借入金の増加や金利の負担増加を招くこともあります。その結果、企業の信用力は低下し、やがて資金調達が困難になるでしょう。

さらに、悪化したキャッシュフローは将来の投資や事業拡張に支障をきたし、企業の成長を阻害する要因となります。このような事態を回避するためには、キャッシュフローの状況を常に把握し、早期に対策を講じることが必要です。

キャッシュフローの種類

キャッシュフローには、以下の4つの種類があります。

営業活動によるキャッシュフロー

営業活動によるキャッシュフローは、企業の主要な事業活動から生じる現金の流れを示す指標です。

営業活動によるキャッシュフローは、日常の営業活動にともなう現金収入と、支出の差額として計算されます。具体的には、売上から得られる現金収入や商品の販売による収益から、原材料費や人件費、販売費、光熱費などの支出を差し引いたものが、営業活動によるキャッシュフローとなります。

この指標の主な目的は、企業の基本的なビジネスモデルの健全性を判断することです。たとえば、キャッシュフローが安定してプラスであれば、企業は日常の運営に必要な資金を効率的に調達できていることを示します。反対にキャッシュフローがマイナスである場合は、売上が想定よりも低いか、コストが高い状態が続いていると考えられるでしょう。

具体的な計算方法としては、まず売上高から売掛金の増減を調整し、現金の流入を求めます。そこから仕入れや給与支払いなどの営業支出を控除すれば、営業活動によるキャッシュフローの算出は完了です。

最終的に、営業活動から生じるキャッシュフローは、企業の収益性や運営効率を示すバロメーターとなります。安定してプラスを維持できれば、企業は運営資金を確保しやすく、持続可能な成長を実現する基盤を築けます。逆にマイナスが続く場合は、収益改善のための戦略的な見直しが必要となるでしょう。

投資活動によるキャッシュフロー

投資活動によるキャッシュフローとは、企業が資産の購入や売却などの、投資に関する活動から得られる現金の流れを示したものです。具体的には、設備や不動産、株式といった資産を購入する際に支出する現金や、それらを売却した際に得られる現金などが含まれます。

たとえば、企業が新しい機械を購入するために支払ったお金や、古い機械を売って得たお金が、投資活動によるキャッシュフローです。これらの活動は、企業が将来的に成長するために重要な投資を行う際に発生します。投資活動は、企業の成長や競争力の向上をめざした戦略的な判断に基づいて行われるため、その流れを認識することは非常に重要です。

投資活動によるキャッシュフローがプラスの場合は、企業は資産を売却して得た現金が、投資に使った金額を上回っていることを意味します。これにより、企業が資産の売却で利益を上げたり、効率的に資金を管理したりしていることが分かります。

一方でマイナスの場合は、企業が資産を購入するために多くの現金を支出していることを示しますが、これは将来的な利益を見込んで行われるものであり、必ずしも悪いことではありません。

このように、投資活動によるキャッシュフローを理解することで、企業がどのように資金を使い、どのように将来に向けた成長を計画しているのかを把握できます。

財務活動によるキャッシュフロー

財務活動によるキャッシュフローとは、企業が資金を調達したり、返済したりする際の現金の流れを示したものです。具体的には、新たな借入による現金の流入、既存の借入金の返済、株式の発行、配当金の支払いなどが含まれます。この活動によって、企業の資金繰りや資本構成が変化します。

たとえば、企業が新たに借入を行うとその分現金が増えますが、将来的には返済義務を負わなければなりません。また株式を発行して資金を調達すれば、短期的には資金が増加しますが、株主への配当義務を負うことになるでしょう。反対に、既存の借入金を返済すると将来的な負担は軽減されますが、短期的には現金が減少します。

このように、財務活動のキャッシュフローは、企業の資金調達能力や資本戦略を理解するための重要な情報を提供しています。

フリーキャッシュフロー

フリーキャッシュフローとは、企業の営業活動から得られるキャッシュフローから、投資活動にともなう資本的支出を差し引いた現金の流れを指すものです。この指標は、企業が自由に使える現金の量を示しているため、財務的な健全性や成長の余地を測る際に利用されています。

具体的には、営業活動から得られるキャッシュフロー(売上やサービスからの現金収入)から、設備の購入や新しい事業への投資にかかる支出を引いた額がフリーキャッシュフローです。プラスであれば、企業はその現金を新たな事業投資や株主への配当、自己株買いなどの資本還元活動に利用する余裕があることを示します。

一方でフリーキャッシュフローがマイナスになると、設備投資などが営業活動から得られるキャッシュフローを上回っていることを意味します。したがって、追加の資金調達やコスト削減の対策をしなければなりません。

このように、フリーキャッシュフローを管理することは、企業の財務健全性を保ち、持続可能な成長を実現するために重要です。

キャッシュフローの計算方法

キャッシュフローの計算方法には、「直接法」と「間接法」の2つがあります。それぞれにどのような計算をするのかについて解説します。

直接法での計算方法

直接法とは、現金収入と現金支出を直接集計する方法です。具体的には、営業活動による現金収入(売上収入など)から、現金支出(仕入れ、給与、光熱費など)を引き、キャッシュフローを算出します。

直接法のメリットは、現金の流れを直接把握できるため、実際の資金の流れを正確に反映できることです。ただし、取引先や仕入先との関係、タイミングによっては現金の流れが複雑になり、集計に手間がかかる場合もあります。

間接法での計算方法

間接法とは、損益計算書をもとにして営業活動によるキャッシュフローを算出する方法です。具体的には、税引前当期純利益から、非現金項目(減価償却費や引当金など)や運転資本の変動(売掛金や在庫の増減など)を加減して、実際のキャッシュフローを計算します。

間接法のメリットは、財務諸表から容易にキャッシュフローを算出できる点です。損益計算書の利益と実際の現金の流れにギャップが生じる場合もありますが、経営者がそのギャップを理解し、改善策を講じるのに有効な方法です。

キャッシュフロー計算書について

最後に、キャッシュフロー計算書の特徴や計算方法について解説します。

貸借対照表、損益計算書との違い

キャッシュフロー計算書は、貸借対照表や損益計算書とは異なる視点で、企業の財務状況を理解するための重要な資料です。

貸借対照表は、一定時点における企業の資産、負債、資本の状態を示し、損益計算書は、一定期間内の収益と費用を比較して利益を計算します。対して、キャッシュフロー計算書が示しているのは、一定期間内に実際に現金がどのように流入・流出したかです。

したがって、キャッシュフロー計算書により、営業活動、投資活動、財務活動の各側面からキャッシュの動きを詳細に認識できます。キャッシュフロー計算書は、企業の資金繰りの健全性や、事業の運営状況、将来的な資金需要を理解するために不可欠なツールといえるでしょう。

キャッシュフロー計算書の見方

キャッシュフロー計算書の見方には、各セクションの理解が重要です。「営業活動」「投資活動」「財務活動」の3つのセクションに分かれており、それぞれのセクションがどのように企業の現金の流れを示しているかを認識することが必要です。

「営業活動によるキャッシュフロー」は、企業の運営から生じる現金の流れを示し、「投資活動によるキャッシュフロー」は、資産の購入や売却に関する現金の動きを示します。「財務活動によるキャッシュフロー」は、資金調達や返済に関する現金の流れを反映しています。これらの情報を総合的に分析することで、企業の資金管理状況を深く理解できるでしょう。

キャッシュフロー計算書の作成方法

キャッシュフロー計算書の作成方法には、「直接法」と「間接法」といった2つの方法があります。直接法では、現金収入と現金支出を直接集計して、営業活動によるキャッシュフローを算出します。これに対し間接法では、損益計算書を作成し、税引前利益をもとに、非現金項目や運転資本の変動を調整して、営業活動によるキャッシュフローを算出しなければなりません。

なお、キャッシュフロー計算書の作成時には、各活動のキャッシュの流れをできるだけ正確に反映させ、企業の実態を正しく把握することが大切となります。

まとめ

キャッシュフローは企業の資金の流れを示す重要な指標であり、経営の健全性を保つためには、その把握と管理が不可欠です。キャッシュフローの種類や計算方法、計算書の見方を理解すれば、企業の資金繰りや運営状況を正確に認識し、適切な経営判断が下せるでしょう。

この記事を通じて、キャッシュフローに関する基本的な知識を深め、実務に役立てていただければ幸いです。経営の安定化に向けて、ぜひキャッシュフローの管理を徹底してください。

筆者プロフィール

Moneytree Business

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