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共働き世帯、第2子出産を機に妻が仕事を辞めても家計は大丈夫?- FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

共働き世帯、第2子出産を機に妻が仕事を辞めても家計は大丈夫?- FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2020
07
17

マネーツリーのブログ『FPに聞く家計相談』シリーズでは、個人資産管理サービス「Moneytree」の利用者が抱えるお金のの悩みや不安に、お金のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)がお答えします。

【今回の相談者:Aさん(28歳、会社員、女性)】
会社員のAさんには、同じく会社員の夫(29)と保育園に通う2歳の子供がいます。年収は手取りで本人が280万円、夫が500万円の計780万円です。

【Aさんのお悩み】
「夫婦共働きで支出項目を分担し、家計をやりくりしています。現在、2歳の子どもがいますが、新型コロナウイルスの影響での保育園休園中は、家庭保育をしていました。私(妻)の職場は子育てにあまり理解があるとは言えず、このような状況もありとても働きづらいです。第2子を考えていますが、出産を機に、子どもが小さいうちだけでも仕事を辞めることも検討しています。夫の収入だけで生活費をまかなえるか、また、教育費の貯め方のアドバイスもお願いします。」

現在、Aさんの保有資産は以下の通り

AさんのMoneytreeの画面(全資産の推移)

その他、Aさんのご家族分を含めると現在の総資産は以下のとおりです。
夫の普通預金
:2,215,934円 
妻の普通預金
:988,175円 定期預金:300,000円
子どもの普通預金
:821,000円
合計
:8,464,122円

また、ある1ヶ月の支出はこの通りです。

Aさんの1か月の支出画面(Moneytree)

【今後想定しているライフイベント】
2年後:第2子出産
5年後:第1子小学校入学

【想定している年間イベント】
・帰省(年2回)
・国内旅行(年2回)

お金のプロからのアドバイス

第2子出産を機に妻の退職を検討しているという共働き家庭からの相談です。妻の職場が子育てへの理解に乏しく、コロナ禍のような緊急事態において働きづらさを感じているようです。第2子出産のタイミングで退職し、子育てに専念する環境を作りたい一方、夫だけの収入で生活をやりくりできるか、2人の子どもの教育費などを準備するのに困らないかが気になるほか、コロナによる働き方の変化が収入に影響していることも不安要素だと言います。仮に、妻が退職後にパート勤務で仕事復帰した場合や夫だけの収入になった場合のシミュレーション、教育費の貯め方などについて解説していきます。

マネープランから見る出産による退職の是非

【出産後に退職する母親は依然として多い】
今回、相談者の一番の悩みは、第2子を出産後、2人の子どもを育てながら仕事と子育ての両立をするのは難しいと感じている点です。そのため、子どもが小さいうちだけでも離職するのはどうかと今から検討しています。最近は、出産後も共働きを選択する家庭が増えているように見えますが、実は、多くの家庭が仕事と子育ての両立に悩み、母親が退職するケースは意外に少なくありません。

厚生労働省の「平成30年 国民生活基礎調査の概況」を見てみると、「末子(一番下の子ども)が0歳」の母親の仕事の状況は、「仕事なし」が54.9%、「正規の職員・従業員」が27.4%となっています。仕事なしの割合は年々減少する傾向にあり、一方で、正規の職員・従業員の割合は増加傾向にありますが、それでも、出産後も正規で働き続ける母親は約4人に1人ということになります。また、末子が0歳以上の場合も、育児休業を取得して職場復帰したものの、子育てしながらの勤務に限界を感じて結局は退職に至るケースや、保育園に入れずやむなく退職したケースも見られます。

【出産後も正社員を続けたほうがいい理由】

ただし、経済的なことを考えれば、出産を機に正社員を辞めてしまうのは避けた方がいいと言えます。一番の理由は、ある程度子どもに手がかからなくなった頃仕事に復帰しようとしても、正社員に戻れるのはごく一部の人だからです。先ほどのデータにおいても、子どもの年齢が上がっても母親の「正規の職員・従業員」の割合はあまり変わっていません。一方、「非正規の職員・従業員」の割合は、子どもの年齢が0歳の時には10.9%だったものが6歳になると42.5%と約4倍になっています。

「パート勤務でも、生活が回るならそれでいい」という考え方も、もちろん間違いではありません。それに、子育てを優先するため退職するのが家族にとっての幸せであるなら、そうすべきでしょう。しかし、仕事を辞めるなら、仕事を続けた場合と収入にどのくらいの差が生じるのかを計算し、冷静に判断する必要があります。また、将来の年金手取り額などにも影響する可能性があります。それらを覚悟したうえで、それでもなお退職を決意するなら、後から後悔する事態にもなりません。

そこで、相談者が第2子出産後、育児休業を取得のうえ時短勤務で職場復帰した場合と、出産を機に退職し、第2子が3歳になったタイミングでパートとして仕事復帰する場合の生涯賃金を大まかに計算し、シミュレーションしてみました。

生涯賃金や家計への影響はどのくらい?

【仕事を続けた場合と退職した場合の生涯賃金シミュレーション】

育児休業を取得のうえ職場復帰した場合

①30歳:出産、育児休業取得…約170万円
②31~33歳:時短勤務にて復職…年収約200万円×2年間=約400万円
③34~60歳:フルタイム勤務…年収約280万円×26年間=7,280万円(賃金上昇率は考慮しないものとする)
④60歳:退職金…1,000万円(仮)

①+②+③+④=8,850万円

退職し第2子が3歳の時パート勤務で仕事復帰した場合

①30歳:退職金…約300万円
②31~33歳:子育てに専念…年収0円
③34~60歳:パート勤務…年収約180万円×26年間=4,680万円

①+②+③=4,980万円

正社員を続けた場合と退職しパート勤務にて仕事復帰した場合の生涯賃金の差は、3,870万円となりました。賃金上昇率を考慮に入れた場合は、さらにこの差が大きくなる可能性があります。次に、妻が退職し夫だけの収入になる時期の家計をシミュレーションしてみましょう。

【夫だけの収入になった時の家計シミュレーション】

相談者の家計簿を見てみると、現在の月の支出は約31万5,000円です。それでは、第2子が生まれた時には家計はどう変化しているでしょうか。ごく大まかに計算するため、子どもの保育料がかからなくなる代わりに、子ども費が約3万円増加すると仮定します。その場合の1ヶ月の支出は、約29万円となりました。夫の手取り月収は現在約33万円ということですので、月単位では赤字にはなりません。さらに、ボーナスもあり貯蓄もしっかりしているため、片働きの時期があっても乗り越えることはできるでしょう。

しかし、その先妻が非正規で働くとしても、収入や貯蓄のペースは今よりぐっと下がります。今後、教育費や住宅取得費などにお金がかかるとなると、妻の退職には慎重を期する必要があります。一時的に収入が減るとしても、夫も育児休業を取得する、可能であれば夫が時短勤務で働くなど、できる工夫を今から夫婦で話し合ってみましょう。

教育費いつまでにいくら貯める?

妻が退職するか否かに関わらず、これから必ず必要となるのが子どもの教育資金です。相談者の場合は、子ども名義の銀行口座を作成し、そこに児童手当や祖父母からのお小遣い、お年玉、出産祝い等の残りを入金しています。「このお金を将来の教育資金に」と考えているようですが、子どもの出費が多い月はここから引き出すなど、使い道が曖昧になっています。まずは、将来の学費のための貯蓄と、現在子どものために使って良い「子ども費」を分けておきましょう。

将来の進路は子どもが小さいうちは明確にはわからないものですが、マネープランを立てる上では大まかにでも計画が必要です。相談者のご家庭では、高校までは公立、大学は国公立または私立も可というプランがあるようです。現時点の教育費を概算し、いつまでにいくらを用意すべきか把握しておきましょう。

なお、教育費がピークを迎えるのは、大学入学からです。ひとまず、これまでに300~500万円程度のまとまった資金を用意しておくと安心でしょう。ちなみに、児童手当は中学卒業まで満額を受け取ると、総額で約200万円にもなります。これを「大学進学のために貯めるお金」に充て、生活費や子ども費とは分けて貯蓄します。さらに、不足する金額は今から子どもが18歳になるまでにコツコツ貯めていきましょう。

相談者のご家庭の教育費シミュレーション

では、相談者の場合、教育費はどのくらいかかるのでしょうか。子ども二人の進路が小学校から高校まで公立、大学は私大文系だとした場合の教育費を計算してみます。文部科学省の「平成30年 子どもの学習費調査」によると、公立小学校~高校に通う場合の1年間の学習費はそれぞれ以下の通りです。

・小学校…32万1,281円(月約2万7,000円)
・公立中学校…48万8,397円(月約4万1,000円)
・公立高校…45万7,380円(約3万8,000円) 

また、「平成30年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」のデータを元に計算すると、私大文系の初年度の納付金は116万6,922円、次年度からは年間93万6,925円の費用がかかり、合計では397万7,697円となります。

高校までの教育費は、基本的には毎月の収入から支出しますが、塾や習い事などで予想以上に出費がかさむ時期もあるでしょう。そのため、子どもが小さいうちから教育費を補てんする費用を貯めておくと安心です。たとえば、現在2歳の第1子には、児童手当を除く資金が約60万円あります。そこで、さらに12歳で中学に入学するまでの10年間、毎月5,000円を積み立てると、「5,000円×12ヶ月×10年間=60万円」となり、合計で約120万円の資金ができますので、私立の高校へ進学した場合の備えにもできます。第2子は、たとえば、0歳から12歳までの12年間、毎月1万円を積み立てれば同じように資金が作れます。

また、大学入学までには一人当たり400万円を用意するとすれば、児童手当で不足する残りの200万円を貯めることになります。第1子は2歳から18歳までの16年間で貯めるとすると、「200万円÷16年間÷12ヶ月=月約1万円」、第2子は0歳から18歳までの18年間で貯めるとすると、「200万円÷18年間÷12ヶ月=月約9,000円」となります。

教育費の補てん月1万5,000円(2人分)と大学以降の教育費月1万円+9,000円を合計すると、将来のための教育費の貯蓄だけで、最も多い時期で月約3万4,000円となります。その時かかる教育費もありますので、相談者が正社員のまま仕事を続ければクリアできる金額ですが、一度退職しパート勤務となると充分な余裕はありません。

また、人生にかかるお金は教育費だけではなく、この先の住宅取得費や老後資金なども考える必要がありますので、教育費の捻出で他の貯蓄がおろそかになるのはおすすめできません。教育費をうまく節約する工夫やいざとなれば入学後の奨学金を利用する手もありますが、マネープラン的にベストなのは、やはり夫婦で協力し合い妻が仕事を続けることでしょう。

早めの資金計画を

出産後、仕事と子育ての両立に悩む人は多いものです。しかし、子育て期の生活費だけでなく、将来かかるお金を考えると、退職はできるだけ避けた方が賢明と言えます。今後の世の中の動きは定かではないものの、コロナによる影響が仕事に出ていることも気になります。ただし、退職して独立起業する、本業以外に副業をするなど収入を維持する方法がないわけではありません。大切なのは、家族が望む人生が歩めるよう、早めに資金計画を立てることです。そのために、まずは、日々の家計管理や資産全体の管理から始めてみましょう。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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