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「金融リテラシーを高める第一歩 - Think before you follow, wise money tomorrow」Global Money Week 2025特別座談会
将来に備える

「金融リテラシーを高める第一歩 - Think before you follow, wise money tomorrow」Global Money Week 2025特別座談会

マネーツリー編集部
2025
03
27

Global Money Week 2025のテーマ「Think before you follow, wise money tomorrow(フォローする前に考えよう、未来のお金について考えよう)」に沿って、金融教育や賢明な金融判断について国際的な視点から語り合う座談会を開催しました。
デジタル金融の発展や「フィンフルエンサー」の出現からAIの利用の増加まで、消費者がオンラインで金融サービスと接する方法は、誰にとっても、特に若者にとって、信頼できる情報やアドバイスを見極めることを難しくしています。このような状況では、若者が健全な金銭管理能力を身につけ、感情の引き金を認識し、情報源に対する批判的な目を養うことが極めて重要です。
今回は社内で投資を趣味として挙げた日本人の安達さんとスイス人のカノニカさんをお招きし、それぞれの国での金融教育の経験や、投資に興味を持ったきっかけ、そして若い世代に伝えたい金融の知恵について語っていただきました。

出席者紹介

安達 洋充 日本出身。新卒で入社したNTTグループの金融会社での経験をきっかけに、投資を始めた。

リビオ・カノニカ: スイス出身。来日後、日本での投資を始め、様々な経験を通じて知識を深めている。

金融教育の経験 - 国によって異なる学びの機会

モデレーター: 最初のテーマは「金融教育の経験」です。皆さんが育った環境で、どのような金融教育を受けてきましたか?学校での教育や家庭でのお金の話などについて教えてください。

安達: 結論としては、学校や家庭でお金について学ぶ機会はなかったですね。ただ、両親が個人事業主だったので、ビジネスやお金の動きが身近でした。金融や投資に興味を持ったのは働き始めてからで、NTT系の会社で福利厚生の一環として自社グループの株の購入ができたのがきっかけでした。「どうやって増やすんだろう?」と思って調べ始めたんです。

お小遣いの管理などの実践的な金融教育も特になかったのですが、大学生から自分でお金の記録をつける習慣はありました。一人暮らしを始めて、仕送りや生活費を自分で管理する必要があったので、当時は「家計簿マム」というソフトを使って管理していました。

カノニカ: スイスも実は似ていて、学校ではあまり金融教育はなかったですね。家庭教育がメインです。ただ、高校や専門学校では税金(確定申告)について学ぶ機会がありました。スイスでは日本と違って源泉徴収がないので、自分で確定申告をする必要があるんです。

私の家では「子供給料」というシステムがありました。これは決まった額のお小遣いを毎月もらって、自分で管理するというものです。携帯代や服を買うのも全部この中からやりくりしなければなりませんでした。毎年少しずつ金額が増えていきましたが、最初は失敗することもあって、そこから学ぶことができました。

モデレーター: 興味深いですね。日本ではお小遣いというと、好きなものを買う範囲が決まっているだけというケースが多いですが、カノニカさんの場合は必要なものも全て自分で管理する形だったんですね。

カノニカ: そうですね。これがスイスの一般的なやり方かはわかりませんが、自分のお金を管理する良いベースになりました。毎年少しずつ増額されて、自分で予算管理をする習慣が身につきました。最初は失敗もしましたが、それも学びになりましたね。

安達: 保護者の立場から言うと、子どもの挑戦を妨げず、やらせてみることは大切だと思います。幼いころから、小さな、「こうしたらよかった」という学びを得るのは良いことだと思います。例えば、もらったお年玉のやりくりを全て子供に任せるのも、いい経験だと思います。全て使ってしまっても数万円だと思うので、大人になってから大金を使うことよりも金額の重要性も低く、学びが得られると思います。

投資に興味を持ったきっかけ - 個人の経験が道を開く

モデレーター: 次に「投資に興味を持ったきっかけ」について伺いたいと思います。それぞれの国の投資文化や、個人的な経験についてお聞かせください。

安達: 社会人になった頃、おそらく12、13年前くらいから始めていますね。最初はNTTの持ち株からスタートして、その後は個別株にも手を出しました。当時は超低金利時代で、銀行預金ではお金は増えないので、お金を増やす他の方法を探していました。仕事柄、ファイナンス系の業界だったこともあり、自然と興味を持ったのかもしれません。お金の流れや運用について学びながら、自分でも試してみることで、少しずつ投資に対する理解が深まりました。

カノニカ: 私は日本に来てから投資を始めました。一番ダメなパターンかもしれませんが(笑)、みんながビットコインについて話しているのを聞いて、「買わないといけない」と思って購入したんです。すぐに価格が下がってしまい、そこから「もっと安定した投資方法があるはずだ」と思って調べ始めました。

YouTubeやオンラインのブログで情報を集めて、ロボアドバイザーからスタートしました。最初は小額からで、月に5,000円くらい入れて値動きに慣れていき、だんだん金額を増やしていきました。手数料が高いことに気づいて、勉強しながら自分で低コストの投資信託をするようになりました。

モデレーター: 失敗から学ぶというのは大切ですね。小さな金額で始めて、慣れてから増やしていくというのはとても良い学び方だと思います。

安達: そうですね。若いうちに小さな失敗を経験して、後から挽回できるくらいの金額であれば、むしろ早めに失敗してそれを乗り越えたほうがいいと思います。失敗を恐れて何もしないよりも、実際に経験して学ぶことのほうが後々大きなプラスになるのではないでしょうか。

情報の見極め方 - フィンフルエンサーの時代に大切なこと

モデレーター: GMW2025のテーマは「フォローする前に考えよう」です。SNSやフィンフルエンサーから溢れる金融情報をどのように見極めていますか?

安達: SNSやYouTubeのような、個人の視点だけで発信しているものよりも、私は本の方が信頼できると思います。なぜなら、本だと出版社の編集者が必ずチェックしているので、情報の信頼性や正確性がSNSよりは圧倒的に高いと思いますね。

また、発信者が「今すぐ得られる利益」を強調するのではなく、しっかりと「中長期的な視点」で話しているかどうかも大切にしています。金融の情報は、一時的な流行や利益だけでなく、長期的に役立つ知識が重要だと思います。だから、発信者がどんな視点で情報を提供しているのか、その背景もチェックするようにしています。

カノニカ: 私も同感です。「If it sounds too good to be true...(良すぎる話には裏がある)」という言葉がありますが、いいことだけを言っている人は信じないようにしています。

例えば、利回りが非常に高い投資話には注意が必要です。世界の株式の平均利回りは年に7〜8%くらいなので、それを大きく上回る数字が出てきたら警戒します。また、リスクを教えてくれない情報源も危険信号です。原則的に、リスクとリターンはトレードオフになるはずです。リターンが高くて、リスクだけが低いものはまずありません。

誰がスポンサーなのか、誰がお金を払っているのか、誰のメリットになるのかという視点も大切です。マネタイズ方法に興味を持つことで、情報の信頼性を判断する手がかりになります。

モデレーター: フォーラムなど、コミュニティでの議論型の情報源も有効ですね。複数の視点が入ることで、バランスの取れた判断ができるようになりそうです。

若者に教えたい金融知識 - 早い段階での学びが価値を生む

モデレーター: 18歳になったばかりの若者に、どのような金融知識を身につけてほしいと思いますか?

安達: お金に働いてもらうよりも、お金を使って自分に投資した方が将来的なリターンも大きくなると思います。若いうちは自分のスキルを磨くことが最大の投資になるでしょう。

また、72の法則(金額が2倍になるのにかかる年数は72÷年利で計算できる)を知っておくと良いと思います。例えば年利4%だと18年かかることになるので、そう考えると転職などで年収を上げる方が効率的かもしれません。

カノニカ: 小さな金額からスタートして慣れることが大切だと思います。投資の値動きに慣れて、失敗から学ぶ経験をするのは若いうちがいいですね。

具体的な投資方法としては、インデックス投資が良いと思います。特に非課税口座(NISAやiDeCo)を活用するといいでしょう。一つのファンドで全ての資産(日本株、外国株、債券など)に分散投資できるものを選ぶと、リバランスの手間も省けます。個別株を買うなら、好きな製品やサービスの企業から選ぶと株価の変化も追いやすいと思います。

安達: そうですね。まずは自分が好きな製品やサービスを提供している会社の株を1株から買ってみて、どんな時に株価がで上がったり下がったりするのかを体験することで、投資とはどういうものか体感すること、投資へ興味を持つことが大事な最初の一歩です投資に慣れてきたら、自分のリスク許容度や求めるリターンに応じて、債権や投資信託、グロース市場の個別株などに広げていくのがおすすめです。

長期的に見れば株式は相対的に高いリターンが期待できますが、それ以外の「美味しい話」には注意した方がいいでしょうね。結局「なぜみんなやらないの?」と考えてみるとわかることが多いです。

家計管理のコツ・習慣 - シンプルで続けやすい方法を

モデレーター: 最後に、皆さんの家計管理のコツや習慣について教えてください。デジタルツールの活用方法なども含めてお聞かせいただければと思います。

安達: 金融資産だけでなく時間も貴重なリソースです。あまりにも多くの時間を投資情報の収集や分析に費やすと、他のことに集中できなくなります。シンプルな方法で継続することが大切だと思います。

カノニカ: 私は非常に「怠け者」なので、すべてを一つのファンドにまとめています(笑)。例えば全世界株式のようなファンドだけを購入して、月々定額を積み立てています。手数料が低いものを選んで、シンプルに継続することが大切です。

以前はもっと複雑にいろいろな投資をしていましたが、口座や投資した内容を管理する手間も考えると、シンプルな方が長い目で見て効率的だと気づきました。

まとめ - 金融リテラシーを高めるために

モデレーター: 本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に、「Think before you follow, wise money tomorrow」というテーマについて、若者へのメッセージをひとことずつお願いします。

安達: 若いうちこそ、お金より自分への投資を優先すべきだと思います。学びや経験にお金を使うことで、将来の自分に大きなリターンが待っているはずです。それに、失敗から学ぶことって本当に大切で、特に小さな失敗なら後からいくらでも挽回できるので、むしろ早いうちに経験しておく方がいいと思います。そして、保護者の皆さんには、子どもが挑戦することを止めずに、温かく見守ることの大切さを伝えたいです。失敗を恐れずに挑戦することで、子どもは自分で成長していくものだと思います。支え合いながら、その経験を共に見守ってほしいです。

カノニカ:  投資を始める前に、銀行口座に生活費の3~6カ月分の現金があることを確認することです。 なぜなら、投資をするということは、リターンを得る代わりにリスクを許容するということであり、運用益がマイナスになる時期に売却せざるを得ない状況には避けるべきだからです。 投資については長期的な視点も持つことですね。

モデレーター: 本日の座談会で学んだように、健全な金融習慣を身につけるためには、まず自分の資産状況を把握し、情報を批判的に見極める力が重要です。私たちのMoneytreeアプリも、そうした金融リテラシー向上のお手伝いができれば幸いです。

金融リテラシーを上げるためにまずは自分の資産の把握をすること、何にお金をつかって何に投資するのか、自分にも社会にもよりよいアクションを選べるスキルをみにつける、そのために便利な金融デジタルサービスを活用してほしいと思います。現在の若者に対する金融教育だけではなく、若者に教えを説く大人世代にも金融教育は必要です。

Global Money Weekをきっかけに、皆さんが持つたくさんの可能性を広げられるよう自分らしいお金との向き合い方を考え見つけられるサポートができていたら嬉しいです。

このブログを読んだ感想をSNSで発信したり、ご友人にシェアする時はぜひ #globalmoneyweek #Moneytreeのハッシュタグを活用して投稿してください。

自分の収支を把握するところから、ぜひ実践してみてくださいね!

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

2012年に日本で起業。2013年より自動で一括管理する個人資産管理サービス「Moneytree」を提供し、AppleのBest of 2013、Best of 2014を2年連続で受賞。2015年より金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を企業向けに開始し、業界標準の金融系APIを提供している。2017年よりオーストラリア市場でサービスを開始。創業当初よりSalesforce Ventures、SBIインベストメント、三大メガバンク系ファンド、地方銀行系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。お金にまつわるもっとも信頼されるプラットフォームの構築を目指す。

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