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40代子育て世帯、これから子どもにお金がかかるのに、このままでは自分たちの老後資金も不足しそう -  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

40代子育て世帯、これから子どもにお金がかかるのに、このままでは自分たちの老後資金も不足しそう - FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2020
09
11

教育資金も足りなければ、老後資金もたりなさそう。何を優先したら?

夫も私も転職経験があります。前職は現在の職場より給料が低く、貯金もろくにできませんでした。夫婦ともに40代に突入し、公的年金だけでは老後の生活に不安を感じるようになりましたが、子どもの教育資金も充分貯めていません。どちらを優先してどのように準備すればいいのか、家計のどこをやりくりすればもう少し貯金ができるのか知りたいです。また、奨学金を借りることも検討したプランを立てたいです。

家族構成:夫/会社員(42)、妻/会社員(40)、長男(10)、次男(7)
手取り年収:夫/約400万円、妻/約300万円
加入年金:夫/厚生年金、妻/厚生年金
退職金:夫/あり、妻/不明

現在の保有資産は以下の通り
口座1:243万1,894円
口座2:79万6,000円(長男の教育資金用)
口座3:52万460円(次男の教育資金用)
口座4:19万9,877円

合計:348万231円


ある1ヶ月の支出は以下の通り




【今後想定しているライフイベント】
・子どもたちの進学(高校卒業後は大学進学を予定)


【想定している年間イベント】
・国内旅行、帰省など(現在はなし)

お金のプロからのアドバイス

転職経験のある夫婦からのご相談です。現職に就くまで給料が低く、貯金があまりできなかったということです。公的年金だけでは老後生活が不安な一方、二人の子どもの教育資金も充分に貯められておらず、どちらを優先すればいいのか悩んでおられます。「これから子どもにお金がかかるのに、このままでは自分たちの老後資金も不足しそう」という家庭は多いものです。相談者の事例をもとに、老後資金と教育資金の準備の両立について解説していきます。


教育資金と老後資金の準備を両立するには

今回の相談者に限らず、子どもの教育資金と自分たちの老後資金の準備をどう両立させたらいいか悩む子育て世帯が増えています。教育費は以前と比べて増加傾向にありますが、一方で、世帯収入は簡単に上げることはできません。さらに、今の現役世代は自分たちの老後生活を公的年金のみに頼ることはできず、何らかの形でリタイア後の生活費を用意しておくことが求められています。毎月の生活費をやりくりしつつ、子どもの教育資金を貯めながら、老後に資金が不足しないよう備えるにはどうすればいいのでしょうか。

<教育資金の貯め方>

そもそも、子どもの教育費は総額でいくらかかるのでしょうか。一般的に、子どもが大学を卒業するまでには最低1,000万円程度かかると言われています。私立に通った場合は、さらに費用は膨らみます。なお、教育費のピークは大学進学以降です。子どもが生まれてから高校卒業までにかかる費用と、大学進学以降の費用はおおよそ半々と考え、資金計画を立てるといいでしょう。

大学進学以降の費用は、児童手当を使わず貯めていく方法がおすすめです。子どもが中学校を卒業するまでもらえる児童手当は、満額を受け取った場合、総額で約200万円になります。大学進学のために貯めたいお金は300~500万円程度ですが、「児童手当だけでは不足する分を自力で貯める」とすれば、全額を自分で貯めようとするより負担は大幅に軽減されます。

高校までの教育費は、基本的には毎月の収入から捻出しますが、塾の費用等で教育費が高くなる時期もあります。教育費には予算を設けつつ、可能であれば大学進学以降の費用とは別に、予備の教育費を貯めていければ理想的です。


<老後資金の準備と両立させるには>

子どもにかかるお金は削りたくない一方、自分たちの老後資金はどう貯めればいいのでしょうか。老後資金を準備する方法は様々ありますが、特におすすめなのが税金に優遇措置のある「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。iDeCoは、現役世代のほぼ全員が加入できる私的年金で、毎月一定の掛金を支払い自分で運用していきます。

老後資金というと、一定の年齢になってから考え始めるものというイメージがありますが、準備開始は早ければ早いほどよく、20~30代のうちに始めると後々の負担が軽くなります。一方、相談者のように、40代以降でも思い立ったらすぐ積立を開始したいものです。子どもの教育費がかかるうちはそちらを優先したいものですが、リタイア後は基本的に仕事による収入がないため、公的年金や現役世代のうちに形成した資産等に頼らざるを得ません。となると、教育資金の準備とバランスを取りながら老後資金もしっかり貯めていく必要があるのです。

先ほどのiDeCoなら、毎月の掛金の最低額は5,000円です。掛金額は年に一度変更できるため、家計負担が重い時期には、ぐっと金額を落とすなどして調整も可能です。「もう少し余裕ができたら…」と老後資金の準備開始を先延ばしにするより、まずは積立を始めてしまい、大変な時期は掛金の減額で乗り切りましょう。また、老後資金と教育資金の準備を両立させるには、教育費をかけ過ぎないことも大事なポイントです。教育費にも他の支出項目と同様に予算を設定し、その中でのやりくりを基本とします。

家計のどこを見直すべき?

教育資金や老後資金を貯めるためには、家計の中で無駄使いがあれば削り、貯金に回したいものです。相談者の場合、どこを見直すべきでしょうか。家計簿を見てみると、大きな無駄は見当たりませんが、改善ポイントが4点ほどあります。

まず、1点目、毎月かかる子ども費(教育費)は、子どもごとに予算を設定したうえで、家計簿上も分けで記入することです。子どもにかかるお金は、習い事や日用品など予想以上に出費があるものですが、「毎月いくらまでかけられるのか」を明確にしないと、支出が膨らむ恐れがあります。

2点目として、新聞の購読料(家計簿上は「本・雑誌」)です。あまり読んでいないとしても、新聞の購読が習慣化している家庭は多いものです。日々の情報源としてしっかり活用できているならやめる必要はありませんが、「惰性で取り続けている」場合は、一度購読をストップしてみましょう。割安なデジタル版の活用もおすすめです。

3点目は、乳製品の配達(家計簿上は「医療・健康」に含まれる。金額は4,285円)です。こちらも配達員に勧められて何となく続けているケースがよく見受けられます。健康維持という明確な目的があり、また、効果が実感できているなら無駄な出費には当たりませんが、そうでない場合は配達を止め、必要な時だけスーパーで買うようにしましょう。

4点目は、通信費です。通信費は、プロバイダ料金を除くと、スマートフォンに夫婦それぞれ約7,000円がかかっています。これを格安SIMにすると、料金は現在の半分程度に抑えることができます。

まずは固定費を中心に見直し、変動費の削減でストレスを溜めないのもポイントです。また、時間的余裕がある場合、節約だけでなく、副業で収入を増やす手もあります。最近は、オンラインで完結する副業が数多くあり、夫婦で取り組めば月5万円の収入アップも夢ではありません。現状の収入の範囲でやりくりが難しいなら、「副収入を得る」選択肢も検討してみましょう。教育費の予算設定と固定費の見直し、さらには副収入が加われば、月7万円ほどは新たに貯金できそうです。

老後資金と教育資金のシミュレーション

では、老後資金と教育資金は具体的に、どのように準備すればいいのでしょうか。まず、どちらも天引きで別々に貯めていくことが必要です。相談者の家庭では、口座1にある程度のお金が貯まったところで口座2(長男用教育資金)と口座3(次男用教育資金)に移すことを繰り返していました。これでは計画的に貯金ができず、必要な時期までに必要な金額を用意することは困難です。また、老後資金については準備を開始していません。そこで、老後資金をiDeCo、教育資金を自動積立定期預金等で積み立てていく場合の毎月の積立額や将来いくら貯まるかのシミュレーションを行ってみます。

<老後資金>
1. 60~64歳の無年金期間の生活費

毎月の生活費×12ヶ月×5年間


2. 65歳から寿命までの生活費

公的年金だけでは足りない金額×12ヶ月×25年間
※ここでは90歳と仮定


3. 病気や介護に備えるお金やリフォーム費用、旅行費用など

1〜3の合計から退職金や企業年金、個人年金保険などの保険金、その他老後のために用意している資金を差し引く
なお、現時点では相談者の退職金や将来の年金受取額が不明であるため、公的年金だけでは不足する具体的な金額はわかりませんでした。そこで、相談者夫婦がそれぞれiDeCoで拠出できる限度額の月23,000円(会社員で企業年金、企業型DCがない場合)を60歳まで運用利率3%で積み立てていくこととします。

夫のシミュレーション
妻のシミュレーション

シミュレーションの結果、積立元金と運用益の合計は、夫婦合わせて1,412万7,574円となりました。退職金等の情報を用いて計算すれば、さらに詳細な不足分がわかりますが、まずは、iDeCoで運用することで約1,400万円もの資金を用意できる可能性があるのです。


<教育資金>

一方の教育資金は、子どもの誕生前や誕生後すぐに計画的な準備が開始できれば理想的です。しかし、相談者のように、収入が少ないうちは生活費で精いっぱいという家庭もあるでしょう。現在、子どもは10歳と7歳ですが、今からでも教育資金をコツコツ準備していけば将来の負担を減らすことができます。

では、具体的にはいくら貯めればいいのでしょうか。ここでは、大学進学を想定した教育資金の準備を想定してみます。大学進学後にかかる費用は、進学先の学部等によって開きがありますが、先述のように、教育費の総額の半分と考えれば500万円です。子ども二人では1,000万円となりますが、この金額を今から貯めるのは現実的ではありません。

そこで、500万円の4割に当たる200万円を子どもがそれぞれ18歳になるまでに形成するとし、残りは「それ以降の毎月の収入から捻出+奨学金+本人のアルバイト等」で補うとします。なお、ボーナスが出ればその一部を教育資金に回してもいいですが、ボーナスは企業の業績や景気によってカットや減額の可能性もあります。ボーナスありきの資金計画は立てないことです。

現在貯金できている金額を差し引き単純計算すると、長男分は毎月約1万3,000円、次男は毎月約1万1,000円貯めれば達成できます。iDeCoの毎月の掛金と合わせると、ちょうど7万円となります。家計の見直しで節約、副業で収入増となれば、現在行っている貯金も続けながら老後資金、教育資金もしっかり準備できそうです。

バランスの取れたマネープランを

子どものことを思えば、「自分たちの老後よりもまずは教育資金を」と考えてしまう親御さんは多いものです。しかし、老後資金の準備がおろそかになれば、結局は子どもに負担がかかる恐れもあります。自分たちの老後資金と子どもの教育資金、どちらかを犠牲にするのではなく、どちらもバランスよく準備していけるマネープランを立てましょう。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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