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コロナで結婚式延期のカップル。計画的に資金を貯めながら新婚生活を送るには-  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

コロナで結婚式延期のカップル。計画的に資金を貯めながら新婚生活を送るには- FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2021
04
26

お悩み:彼との結婚が決まりましたが、コロナで先行きが見えず結婚式は見送りとなりました。家族や友人、同僚を招いて盛大に挙式するのが夢だったので残念ですが、状況が落ち着いた頃改めて式を挙げようと思っています。そこで、新婚生活を送りながら計画的に挙式費用を貯めるには、どうすればいいのでしょうか。また、夫婦でうまくお金の管理や貯金する方法を知りたいです。


相談者:32歳 女性 

家族構成:両親と3人暮らし(現在婚約中で、来年結婚と同居をスタート予定)
手取り収入:月約33万円

加入年金:厚生年金
退職金:あり

現在の保有資産は以下の通り
普通預金:約620万円

ある1ヶ月の支出は以下の通り

1ヶ月の支出


※「住宅」は実家に入れる生活費

【今後想定しているライフイベント】
・半年以内…結婚
・2年後…第一子出産
・3年後…挙式(現在の予定)

【想定している年間イベント】
・旅行

お金のプロからのアドバイス

来年結婚を控えている女性からのマネー相談です。コロナの影響で結婚式を見送り、状況が落ち着いた頃改めて挙式を予定しているということです。時期を遅らせる代わりに、結婚生活を送りながら資金を貯め、盛大な式を希望しています。また同時に、夫婦で上手にお金の管理や貯金をする方法を知りたいそうです。今回は、相談者の事例をもとに、挙式費用を準備しつつ、家族として計画的に資金管理、貯金する方法をご紹介します。

■ コロナ禍の結婚式事情とは

コロナ禍により、ライフプランの変更を余儀なくされる世帯が増えています。今回の相談者の場合、結婚と同時に開催予定だった挙式を見送り、結婚生活を送りながら挙式費用を貯め、時機を見て式を挙げることにしました。コロナの終息はいつになるかわかりませんが、彼と相談し「状況が落ち着くのは3年後頃」と考え、そこに向けて挙式費用の貯金をしていきたいと希望しています。

最近では、3密を防ぐなど感染症対策をしたうえでの結婚式が広がり、必ずしも挙式が難しい状況ではなくなりました。たとえば、テーブル同士が近づかない広い会場や屋外での挙式のほか、家族、友人などゲストの属性ごとに複数回の式や披露宴を行うといった工夫もできます。ただし、それでも、大勢のゲストを一同に招いての従来のような挙式は難しい状況です。また、結婚式はゲストに予定を空けてもらう必要があることから、直近の日取りに設定することはできません。一方、数ヶ月後に挙式を予定しても、感染症拡大の状況次第では、開催が難しくなる可能性もゼロではありません。となれば、挙式を数年後に見送るのも一つの賢明な選択肢でしょう。

ちなみに、挙式するカップルの多くは、結婚の前後に式を開催しますが、費用や家族計画などの事情から、結婚して数年後に挙式する夫婦も珍しくありません。はじめは挙式予定がなかったものの、「やっぱり挙げておきたい」と後から思い立ち、結婚生活を送りながら資金を貯め始める夫婦もいます。では、夫婦として生活しながら挙式費用を貯めるには、どのような点に気を付けるべきでしょうか。


■ 挙式費用の平均と貯める方法

挙式費用を貯めるには、「いつまでにいくら」を設定する必要があります。式場のクチコミサイト「ウェディングパーク」によると、相談者が想定しているゲスト人数80~89人の最終金額は平均418.5万円、ご祝儀は平均252万円、自己負担額の平均は166.5万円です。400万円以上かかる結婚式でも、ご祝儀で支払える分が大きいことを考えると、自己負担として準備する金額はさほど大きくないように思えます。

しかし、挙式費用の支払いタイミングは式場によって異なり、事前に最終金額を支払わなければいけない式場もありますので、ご祝儀で費用を支払おうと考えている場合は特に確認が必要です。そこで、最終金額を事前に支払うと仮定、挙式費用約420万円を3年後までに準備するとして資金計画を立てていきます。

貯める方法としては、近い将来使う予定のあるお金ですので、現金ですぐ引き出せる形で貯金します。おすすめは、天引きで強制的に「先取り貯金」ができる「自動積立定期預金」です。自動積立を使えば、毎月決められた金額が自動で積立口座に移されますので、手間なく貯金ができ、生活費と一緒くたになり使ってしまう心配もありません。相談者は結婚すれば共働きになりますので、それぞれが積立預金を利用して挙式費用を貯めるといいでしょう。

次に、具体的に毎月いくらを貯めていけばいいのか考えます。相談者と結婚相手には、420万円のうち180万円は挙式費用として持ち出せるお金があるため、残り240万円を貯めるプランを立てます。単純計算すると、1年で80万円を貯金すればいいことになりますが、相談者は2年後に第一子の出産を想定しています。出産後に相談者が育休に入るとなれば減収が考えられますので、2年で240万円を貯める計画としたいところです。1年では120万円、それぞれが折半するとなれば、1人年間60万円で、毎月では5万円の貯金です。

これを積立預金で貯めるか、もしくは、毎月の積立額は3万円にし、年2回のボーナス月はプラス12万円の15万円を追加で貯めていくというやり方もできます。ただし、ボーナスは必ず支給されるものではなく、減額やカットもあり得ることから「ボーナスありき」の資金計画は避けるようにします。

また、挙式費用を貯める上で大切なのは、結婚生活にかかる費用やその後のライフプランの支障にならにようにすることです。「一生に一度」と思うと結婚式にはついお金をかけてしまいがちですが、新婚生活には出費が多いものですし、子どもが生まれると減収と支出増が同時にやってきます。結婚式以上に、その後の人生が大事であることは言うまでもありません。

今回の相談者の場合、挙式費用として持ち出すお金以外にもしっかり貯金をしており、また、毎月の積立額は無理なプランではありませんが、もし、予定している挙式の金額を貯めるのが難しい事態になれば、生活費やライフイベントにかかる費用を優先し、式の簡略化を考えたいところです。

※ウェディングパークに投稿された費用明細より算出(2020年8月)


■ 新婚のうちにお金の話をしておくのがカギ

一方、これから夫婦となる二人が上手にお金の管理や貯金をするにはどうすればいいのでしょうか。


 家族としてのライフプランについて話し合う

まず、新婚のうちに、家族としてのライフプランやそれに基づくマネープランについて話し合っておくのが理想です。お互いのプランをしっかり話し合い、新婚のうちから同じ方向を向き、協力して資産形成できれば大変心強いものです。家族としての絆も深まります。


② 生活費の管理方法や貯金の仕方にルールを設ける

さらに、毎月の生活費の管理や貯金の仕方についてもルール決めをしておきましょう。共働き夫婦の場合、お互いが自分の担当する支出を支払えば、それで生活が成り立ってしまいます。そのため、相手の収入や貯金額を知らないまま何年も過ごしてしまう夫婦も多いのです。特に貯金に関しては、「きっと向こうは貯めているだろう」と油断して自分は好き勝手にお金を使ってしまい、「気づいたら二人とも貯金ゼロ」というケースも少なくありません。そうした事態にならによう、新婚のうちから、生活費はどう管理しどのように貯金していくのか決めておきたいものです。


 家計簿アプリで生活費を管理

生活費は、できれば一つの口座から入出金があるように管理できれば、お金の流れが一目瞭然でわかりやすいでしょう。しかし、共働きの場合、それぞれが生活費を出すとなると、それも難しいものです。そこで、家計簿アプリを使って家計簿を共有し、生活費として支出した分を記録するというやり方がおすすめです。

お互いが何にいくら使ったのかわからないと、家族として生活費がどのくらいかかっているのか把握できません。何事もないうちはそれでもいいですが、妻が育休に入ったり、減収などに見舞われたりした時に初めて生活費の高さに驚いても、すぐには対応できないものです。家計管理は、どちらかに任せず、情報を共有して一緒にやりくりを考えていくことが大切なのです。

また、予備費として、冠婚葬祭の費用や年払いの保険料、税金の支払い、病気やケガなどに備えるお金を生活費とは別に用意しておくと、突然の出費があった時に生活費の圧迫を避けることができます。


④ 家族のお金を多めにするのがコツ

一方、貯金はどのようにすればいいのでしょうか。貯金口座を1つ作り、毎月貯金する分をそれぞれ入金する形で貯めていくのもいいですが、将来のビジョンを話し合ったうえで、夫は「住宅購入費用」、妻は「教育費」など目的別に貯金するのもおすすめです。こちらも天引きの仕組みを利用し、「先取り貯金」が基本となります。さらに、貯金口座をアプリに紐づければ、今資産がどのくらいあるのか一目で確認できますので、相談者の場合、挙式費用を積み立てる口座も登録したいですね。

貯金を成功させるには、「プライベート領域」である自分だけの資産を持ちつつ、お互いが把握している「家族として貯めるお金」を多めにすることです。このお金をしっかり貯めておけば、あとは夫も妻も自分の好きなことに使えますので、息苦しさはありません。新婚のうちから以上のような仕組みができていれば、想定外の出費などがあっても慌てることなくほとんど対応できるでしょう。あとは、家族が増えたら必要な保障を確保するなどして備えれば、ひと安心です。


コロナ禍に負けずしっかり準備を

コロナ禍という未曽有の危機や新しい生活様式の普及により、様々な価値観が変わりつつあります。結婚式も例外ではなく、ゲストのオンライン参列を取り入れて挙式をするカップルもいるようです。一方で、従来のような結婚式を希望するカップルも依然として多く、開催の見送りなど大きな影響を受けています。それでも、日々の生活を最優先にしつつ、人生の一大イベントに向けて、しっかりと準備を進めてもらいたいものです。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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