2012年に外国人3人で日本で起業したマネーツリー。現在、個人資産管理アプリ「Moneytree」や金融機関向けの金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を提供し、従業員も100名(2020年1月現在)を超える企業に成長しました。今回、当社の最高技術責任者(CTO)・共同創業者であるロス シャロットに創業秘話やプライベートについてインタビューしました。普段は見ることができない裏側をぜひご覧ください。
本コンテンツはマネーツリーのYouTubeチャンネル「Moneytree」のプレイリスト「Meet the Moneytrees」でもご覧いただけます。
日本との出会いは?
最初に日本に来たのは、英語を1年間教えるためでした。
大学卒業後、ギャップイヤーを利用して、1年間海外に行く機会をさがしていました。行き先を探すために、Googleで " 英語 海外 教える " で検索すると、当時日本では有名だった英会話スクールのNovaが検索にヒットし、そのままオンラインで講師の仕事に申し込み、次の日には電話がかかってきて面接が決まり、さらに次の日には仕事が決まり、その3ヶ月後には日本にいました。そして、1年だけのはずが、既に15年も日本いることになっています。
特にどうしても日本でなくてはいけない理由があったわけではないですが、日本が僕を見つけてくれて、結果良かったと思っています。
日本の印象は?
日本は面白いところだなと思いました。なぜなら、当時アメリカには存在しなかったカメラ付きのガラケーが既にあるなど、とても先進的な部分と、当時は銀行のATMが15:00で閉まるなどとても遅れている部分があり、この両極が混在している社会を端から見るととてもおかしな状況だなと思いました。
仕事以外で今一番ハマってるいることは?
旅行が好きでよく行きますし、一番お金を使っています。最近はあまり行けていませんが、機会を見つけては行くようにしています。特に下田(伊豆)に行くのが好きで、夏や週末によく遊びに行きます。
一番好きな座右の銘は?
AmazonのCEOであるジェフ ベゾス氏の言葉で「What's not going to change(変わらないものは何か)」です。彼が言っているのは「お客さまはどんな時代でも絶対に、遅い配送や高い配送料でのサービス提供を願うことはない。だから、時代が変わっても変わらない根底にあるものを軸にビジネスすること。」ということです。マネーツリーのビジネスに当てはめると、ATMが3時にしまり、年末年始にお金がおろせなかった時代がありましたが、そんな時代に戻りたいと思う人はいないし、自動化されて便利になったものを元に戻したい人はいないですよね。融通の効かない時代には戻りたくないのです。なので、私達はそういった、「時代が変わっても絶対に変わらない軸」を持ってビジネスをするようにしています。
プログラミングを始めた年齢、きっかけは?
14歳ぐらいの時、ビデオゲームにお金を払わなくてよい方法がないか考えたのが、プログラミングを始めたきっかけでした。どうにか探してゲームのロックを無効にしました。この頃は、マニュアル内にある"言葉”を探し出し、照合させるとソフトが使用できるようになる時代でした。その”言葉”はテキストファイルの中にあったので、それさえ見つけられれば、コピーしたソフトも使用することができました。これが、私がプログラミングに目覚めたきっかけです。それ以来、モノを創ることに興味を持ち、自分が想像したことをその通りに実現できるのがプログラミングだと分かってから、さらに興味を持つことになりました。
Moneytreeの一番好きな機能は?
経費の自動検出機能ですね。スタートアップの創業者は、創業当初よく個人のクレジットカードを会社の経費に使用します。Moneytreeを使用すると自動的に会社経費を検出してくれて、個人の経費の中に会社経費が埋もれないように見ていてくれています。使い勝手の良い機能です。
みんなに伝えたいお金のアドバイスは?
「やりたいことをやるお金はあるはあるかもしれないけれど、全てをやりきるお金はないだろう」ということです。父から教えてもらったと思います。例えば父は、車などのモノにお金を使うよりも、家族と旅行したりする時間や体験ににお金を使う人でした。「自分にとって大事なものに集中する方が、すべてを買おうとしたり、すべてやろうとするより大事」だということを教えてもらいました。選択と集中ですね。
あなたにとってマネーツリーとは?
人と自分のお金をつなげることで、お金へのコントロールを取り戻し、理想の生活に近づけるお手伝いをする会社であり、テクノロジーです。
マネーツリーのミッションは?
「人」と「お金」をつなげることです。「人」とは中小企業やお客さま、そして金融機関をそれをサポートする会社のことです。優れた金融サービスを提供している金融機関とそのサービス利用者の架け橋になれればと考えています。たとえばクレジットカードを切るだけで朝のコーヒーが簡単に買えるという現状はとても良いUXとなっています。これを実現するプロセスは非常に大変で、企業が労力をかけてそれを可能にしているわけです。これが可能になったことで、より便利に消費活動を行える一方、消費者は実際に目に見えて現金が減るわけではないので、今どのくらい何にどのくらい使ったのかを把握しないままこういった便利な技術を使用する機会が増えています。そんな今だからこそ、金融サービスとお客さまの距離をより近づけるサポートをしたいと思っています。
マネーツリーはどこがユニーク?
サービスの設計の中でお客さまのプライバシー保護を重視している点です。「お客さまのデータはお客さまのもの」というポリシーを掲げ、サービス内で取得したお客さまのデータは、同意なしに第3者には共有しないですし、お客さまが希望しないことは一切行いません。起業当初からこのポリシーを貫いてきたこともあり、現在は会社の中核となる強みにもなっています。他企業が、例えばサービス内で取得した情報をもとにリターゲット広告を行ったり、そのデータを元にデータビジネスをするなど、収益化するビジネスモデルを構築しているところが多かった中、このポリシーを貫くことで正直マネタイズには苦労しましたが、個人のプライバシーを保護することを優先順位に置くことを我々は選択してきました。
マネーツリーのプライバシーポリシーに関しても併せてご覧ください。
マネーツリーのCTOとしての役割は?
起業当時は、とにかく開発に集中していました。実際現場で私がコードを書いてアプリの機能を作っていました。現在は、会社が作ろうとしているものは何かを考え、それを達成するためのチームは正しく構成されているか確認し、そのチームが成果を上げられるようにサポートをし、提供するサービスのセキュリティーとプライバシーが、しっかりしているかを確認し、チームが常にスケールアップできるように準備することに集中しています。
マネーツリー オーストラリアのExecutive Directorとしての役割は?
チームメンバーをサポートすることが一番の役割です。例えば、チームがクライアントとそのお客さまにより良いサービスを提供できるようにすることや、日本で学んだことをオーストラリアで活かせるように知見を共有したり逆にオーストラリアで学んだことを日本での製品開発に取り入れるようにしています。
オーストラリアのオープンバンキングでのマネーツリーの役割は?
オープンバンキング自体の基準を政府データ標準化団体と一緒に作ることです。そして、現在オーストラリアのオープンバンキングが安定稼働するかのシステムテスターも担っており、2020年に予定されているのオーストラリアのオープンバンキングのローンチ初日に、安定して安全に利用できるように、またオーストラリアが消費者データ権(CDR)の規約の元、より良い影響を受けられるように尽力しています。さらに、日本でのオープンバンキングからの知見をそのプロセスに持ち込み、日本で学んだ経験をオーストラリアでも確実に活かすようにしています。そうすることで、過去の間違いを繰り返さずともプロセスを進めることができ、さらにより良いオープンバンキングのシステムを作り上げることも可能だと思っています。
創業以来、一番の思い出に残っているエピソードは?
アプリをローンチしたら忙しくなることは想定はしていましたが、本当にその通りでした。ローンチ後数日はデスクから離れることができず、同僚にランチを買ってきてもらって、自分はバグ修正や機能が想定通りに稼働しているかの確認に追われました。このようになることは想定済みだったので、その前にご褒美として、チーム全員で千葉にサバイバルゲームをしに行きました。チームメンバーをお互いに打ち合って、ストレス発散をして、ローンチに向けてPCの前で連日過ごすことのストレスに備えました。
創業以来最もチャレンジングだったことは?
ある程度「Moneytree」のアプリの人気が出始めた頃、私達はマネタイズの手段を模索していました。ですが、先述したように、プライバシー保護を第一優先にしていたため、データの販売や広告といった手っ取り早い収益手段を取ることは選択肢にありませんでした。シリーズAの資金調達にあたり、「それであれば、それ以外に収益化できる手法を教えてほしい」とベンチャーキャピタリスト達言われましたが、その当時、は有効な打開策が見いだせずにおり、そこに一番苦労しました。
それをどのように解決した?
結果的に「Moneytree LINK」が解決策になりました。当時、日本の会計ソフト会社が、Freeeのような自ら新進気鋭のデータアグリゲーションを行う競合他社からプレッシャーを受ける中、その打開策として当社のMoneytreeとデータ連携できないかという依頼が来ました。その答えとして、当社のプライバシーポリシーに沿う形で、ユーザの同意があった上でデータを第3者に使用いただく方法を見出しました。これが現在の当社の金融インフラサービス「MT LINK」の始まりです。2015年に開始した「Moneytree LINK」ですが、現在のオープンバンキングの規制は当社が当初から持っていたプライバシーポリシーに近い形で実現されてきています。
マネーツリー共同創業者、CEOのポール チャップマンについて一言で表すと?
「エネルギッシュ」。ですね。よく彼からSlackやEmailを深夜に受け取ったり、朝の4時に受け取ったりします。彼は人並み以上エネルギーがあると思います。
マネーツリー共同創業者、CPOのマーク マクダッドについて一言で表すと?
「集中」。ですね。理由は彼はいつも何か”やり遂げる”ことに集中していて、時には、他のことは無視して、重要な1つの課題を達成することに集中します。これは良い習性で、特に、大きなプロジェクトを達成する時には必要な要素だと思います。
創業にあたりポールがロスとマークを説得したと言っていましたがなぜ決意を?
マネーツリーの創業前、マーク、ポールと私は他の会社を経営していました。小さなモバイルコンサルティングで、モバイルアプリ開発や戦略立案、企業のモバイル導入の支援などを行っていました。自分たちは当時このビジネスを「ライフスタイルビジネス」と呼んでいて、給料は出ていましたが、基本的には3人で動き回って働いて、楽しみながらそれを続けるという感じでした。ただ、ポールがやりたかった事と、最初のマネーツリーの投資者であるジョナサンがやりたかったことは、もっと大きなことでした。約6ヶ月間、その挑戦すべきコンセプトを実際に落とし込むまで費やしました。ポールはとてもやる気で、「やろう、一緒に大きい事を成し遂げよう!」と強気でしたが、マークと僕はその当時のライフスタイルを楽しんでいて、自分たちにとって、大きな挑戦をすることが正解なのか、本当にしたいのかを自分に問いましたが、結局は、やると決意しました。
スタートアップを立ち上げたい人へのアドバイスは?
本当に、本当に、その事業で解決しようとしている課題を心から解決したいと思うこと。なぜなら、スタートアップの道のりは、思っているより険しく、長いからです。もし、どうでも良い問題を解決しようとすると、前途多難になるでしょう。1つ1つの問題に真摯に向き合うことで、その事実が大変な時期を乗り切る糧となると思います。おそらく、どんなスタートアップでも、だいたい同じような流れで、乗り越えなくてはいけない壁や、迷い、または困難に遭遇しますが、社会において自分が心から課題だと思う事を解決しようとするその情熱が、成功への架け橋となると思います。
本コンテンツはマネーツリーのYouTubeチャンネル「Moneytree」のプレイリスト「Meet the Moneytrees」でもご覧いただけます。
マネーツリーが提供するサービスについては、こちらも併せてご覧ください。
個人資産管理サービス「Moneytree」
金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」
2012年に日本で起業。2013年より自動で一括管理する個人資産管理サービス「Moneytree」を提供し、AppleのBest of 2013、Best of 2014を2年連続で受賞。2015年より金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を企業向けに開始し、業界標準の金融系APIを提供している。2017年よりオーストラリア市場でサービスを開始。創業当初よりSalesforce Ventures、SBIインベストメント、三大メガバンク系ファンド、地方銀行系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。お金にまつわるもっとも信頼されるプラットフォームの構築を目指す。
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