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パート勤務のシングルマザー、子どもの進学を見据え手取りから貯金を増やすには-  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

パート勤務のシングルマザー、子どもの進学を見据え手取りから貯金を増やすには- FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2021
05
20

お悩み:夫と離婚が成立し、現在シングルマザーです。パートで働いていますが、貯金が少なく不安です。子どもの進学を見据えもっと貯めたいのですが、今の家計のどこをどう見直せばいいでしょうか。副業、転職なども含め、いずれ収入アップも視野に入れていますが、まずは節約や支出のコントロールが必要と感じています。

相談者:31歳、女性 

家族構成:子ども(3歳)と二人暮らし
手取り収入:月約18万円 (パート勤務)、その他夫からの養育費月2万円、児童手当月1万円、児童扶養手当月約2万円など

加入年金:厚生年金
退職金:なし

現在の保有資産は以下の通り
預貯金 普通預金120万円 (うち60万円は子どもの児童手当を貯金)


ある1ヶ月の支出は以下の通り


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【今後想定しているライフイベント】
・15年後:子どもの進学(大学、専門学校など)

・19年後:子ども就職

・29年後:定年退職(その後は再雇用を希望)

【想定している年間イベント】
・レジャーランド(年2回程度)など

お金のプロからのアドバイス

30代シングルマザーの方から家計見直しのご相談です。将来、子どもが進学することを見据え、節約や支出のコントロールによりもっと貯金したいということです。ただし、家計簿や資産を拝見すると、子どもを養っていながら必要な保障が確保されていない、自身の老後に備えられていないといった課題も見つかりました。そこで、単に支出を抑えて貯金を増やすアドバイスではなく、保険の加入や老後資金の準備なども加えたマネープランを提案したいと思います。新たな支出も増えますが、いざという時に資金不足に陥らないような家計を目指し、同時に現状の節約ポイントも解説していきます。

■ 相談者の家計の節約ポイントは

はじめに、相談者の希望である節約について、家計簿から改善できそうな支出項目を抜き出してみました。

・住居費

現在、賃貸マンションに住んでいる相談者ですが、家賃が手取り収入の半分を占めている状態です。家賃は、手取り収入の3割までが適正な範囲。となると、現状より3万円安い月6万円が理想ですが、給与以外にも収入があることを考慮して、あと2万円安い7万円程度にしたいところです。固定費である家賃が月2万円下がれば、長期的にはかなりの節約になります。家賃が下がると、駅から遠くなる、部屋が狭くなるなど不便になることも考えられますが、優先順位が高い項目以外は目をつぶると、案外安い物件が見つかるものです。

・通信費

毎月かかるスマートフォンの利用料金は、現代ならではの新たな固定費の一つとなっています。スマホ料金の平均は月7,000~7,500円程度(本体代除く)です。しかし、本体はそのままに、料金プランを格安SIMの通信会社に替えると、安いところでは月1,000円台から利用できるところもあるのです。

格安SIMのプランや通信会社は様々ありますが、たとえば、「ワイモバイル」の「スマホベーシックプランS」はデータ容量4G(1年間3Gから増量)で、月額2,680(新規割は6ヶ月間1,980円)で利用できます。相談者の場合、通信費全体からスマホ料金を抜き出すと、約7,200円ですので、仮にこのプランに替えたとすると、月々約4,500円も安くなります。

・食費

相談者の1ヶ月の食費は子どもと二人で約5万円と、特別高いわけではありません。ただし、仕事で疲れて自炊ができない日は、月に何度か外食をしています(家計相談を実施した前月の外食は4回)。この程度の外食をするのは何ら悪いことではなく、むしろ、必要な息抜きです。しかし、外食はどうしても費用がかさむもの。そこで、必要に応じて定期的に「宅食(食事宅配サービス)」を利用するのも一つの手です。

宅食は、調理済みの食事やおかずのみ、また、材料のみを自宅などに配達してくれるサービスです。たとえば、セブンイレブンの商品のほか、宅食サービスも提供している「セブンミール」では、日替り弁当が540円(税込)、おかずのみの「日替りおかずセット」も1食あたり540円(税込)で、「おまかせ7日間セット」は3,780円(税込)で利用できます(※)。

外食の代わりに宅食を利用する日を設定しておけば、費用を抑えながら自炊の手間を省くことが可能なのです。たとえば、1回約1,500円の外食の代わりに同じ回数セブンミールのお弁当を利用したとすると、1回あたり1,000円程度の節約になります。

※店舗受取または自宅・職場への配送。配送は1,000円(税別)以上の利用で可能


■ 必要な保障の確保と老後資金の準備

「家計が苦しい」「貯金ができていない」という状況だと、つい生活費の節約のみに目が行きがちです。しかし、持っておくべき保障がなく、リタイア後の資金も貯めていないとなると、いざという時手元から大きなお金が出て行ったり、資金が足りなくなったりして、生活が立ち行かなくなることになりかねません。

そこで、次に、相談者が加入しておくべき保険と老後資金の貯め方について、解説していきます。

・保険

まず、相談者は現在、死亡保障、医療保障ともにない状態です。相談者が万が一死亡するようなことがあった時、誰に養育してもらうのかにもよりますが、遺族年金だけでは遺された子どものその後の生活費や教育費が不足する恐れがあり、死亡保障は必須と言えます。また、蓄えが少ないことから、病気やケガに備える医療保障も同じく必須です。

「生命保険(死亡保険)で必要となる保障額は、子どもが大学を卒業するまでにかかる「生活費+教育費+予備費」から遺族年金等でもらえる金額を差し引き計算します。今回は筆者が概算したものをご紹介しますと、相談者に必要な保障額は、約4,800万円です。たとえば、この保障を確保するためにあるネット生保の定期保険に加入すると、保険料は月額4,560円となります(保険期間/保険料払込期間20年)。

一方、医療保険は、手術と入院に備える最低限の保障を備えれば充分です。主な理由として、病気やケガになっても外来診療(通院)で済むことの方が圧倒的に多いうえ、民間の医療保険は、原則として外来診療は保障の範囲外だからです。また、そもそも、健康保険に加入していれば自己負担は3割で済み、高額療養費制度によって月の医療費には上限が設けられていますので、手厚い保障は不要です。

たとえば、都民共済の「生命共済 入院保障型」なら、月掛金2,000円で入院1日1万円、手術は最高10万円(先進医療は150万円まで)が受け取れます。さらに、余剰金である割戻金があれば、掛金の一部が戻る仕組みですので、実質的に2,000円より安い掛金で利用できます。

・老後資金

老後資金の不足も心配です。相談者は勤務先で厚生年金に加入していますが、加入して日が浅いことに加え、現状では退職金もありません。そのため、老後生活を送るために不足があれば、自分で準備する必要があります。

たとえば、税制優遇のある「iDeCo(個人型確定拠出年金)」なら、月々5,000円から掛金の拠出が可能です。経済的に余裕がないうちは最低金額から始め、副業や転職で収入が増えたり、子どもの教育費がかからなくなったりしたら、掛金の増額(金額の変更は年1回可能)やiDeCo以外の積立を併用するなど、その時の経済状況によって対応していきましょう。老後資金の準備は少しでも早く始めたいので、今から積立を開始しておくのが得策です。


■ 18歳までにいくら貯められる?

さて、これまでに提案した節約を実行した場合、月28,500円支出が減る一方、保険の加入や老後資金の準備を始めると、月11,560円支出が増えることになります。差し引きすると約17,000円となり、これを子どもが18歳になるまで毎月貯めるだけでも、約300万円の資金を作ることができます。児童手当の総額と合わせると、大学(もしくは専門学校)入学までに約500万円は確保できる計算になります。

ただし、成長に伴い、子どもにかかるお金は増えていきます。高校までの教育費は基本的に手取り収入から捻出しますので、相談者が検討しているように、副業や転職による収入アップは必須と言えそうです。最近では、自宅ですぐにできる副業も増えていますので、少しでも早く収入を上げたいなら副業がおすすめです。それに対して転職は、必ずしもすぐに決まるものではありませんが、たとえば、パートから正社員になって収入が上がれば、公的年金の金額も増えます。

一方で、収入が上がることで、場合によっては現在受けている児童扶養手当等の助成が適用外となる可能性もあります。児童扶養手当は、所得が一定未満のひとり親家庭に、子どもが18歳になって最初の3月まで支給されるものです。この他にも、母子家庭や父子家庭の場合、住宅手当や医療費助成制度、就学援助などの支援が受けられることがあります(自治体、所得による)。

収入が上がることでこうした制度から外れることも考えられますが、長い目で見れば、助成の適用外になることより収入アップのメリットの方がはるかに大きいものです。また、子どもが大きくなれば、いずれ教育費はかからなくなりますが、一方で、養育費等も受け取れなくなります。収入自体先細りしていくことを見据え、手取りを増やしていく努力は必要でしょう。また、収入が多くなれば、改めて資産形成のプランを作成したいほか、将来的に住宅購入はどうするのかなど、新たな課題にも着手したいところです。


マネープラン全体から考える

今回は、シングルマザー家庭の家計見直し事例をご紹介しました。「節約して教育資金を貯めよう」と考えていても、自分が病気やケガになった時、死亡してしまった時のための保障がなければ、お金が不足する恐れがあり、本末転倒です。また、順番としては子どもの進学が先、自分が老後を迎えるのが後ですが、教育資金ばかり優先すると、リタイア直後に老後資金を急いで貯めなければいけない事態にもなりかねません。教育資金を計画的に貯めるためには、それ単体ではなく、自分や家族のライフイベントとマネープランを全体的に見渡すことが大切です。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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