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「人生の3大資金」教育資金と老後資金をしっかり貯めながら住宅ローンも返済するには? -  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

「人生の3大資金」教育資金と老後資金をしっかり貯めながら住宅ローンも返済するには? - FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2021
06
15

お悩み:子ども二人の教育資金を貯めながら、住宅ローンの返済、自分たちの老後資金の準備と、きちんとできるか心配です。貯金は今のところしっかりできている方だと思うのですが、これから出て行くお金が多くなると、これまで通り貯められないかもしれません。教育資金や老後資金をしっかり貯めながら、住宅ローンも賢く返済していきたいです。どのように工夫すればいいでしょうか。

相談者:35歳、女性、会社員 

家族構成:夫/会社員(35)、長男(5)、次男(4)と四人暮らし
手取り収入:夫/約40万円、妻/約28万円

加入年金:夫妻ともに、厚生年金
退職金:夫妻ともに、あり

現在の保有資産は以下の通り
普通預金口座:約980万円

定期預金口座:(教育資金として)約200万円


ある1ヶ月の支出は以下の通り


グラフィカル ユーザー インターフェイス自動的に生成された説明
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【今後想定しているライフイベント】
・近いうち:住宅購入

・13年後:長男大学進学

・14年後:次男大学進学

・25年後:定年退職

【想定している年間イベント】
・国内旅行(年4回程度)など

お金のプロからのアドバイス

「人生の3大資金」と言われる、老後資金、教育資金、住宅資金(今回は住宅ローンの返済)に関するご相談です。教育資金、老後資金ともにしっかり貯めているご家庭ですが、「これから子どもにお金がかかるようになると、今までのように貯金できるか不安」という悩みをお持ちです。また、近いうちに住宅ローンを組んでの家の購入を予定しています。子どもの進学や自分たちのリタイア後に備えながらも、住宅ローンを上手に返済したいとお考えです。相談者の事例をもとに、人生の3大資金に関するポイントを解説します。

■ 人生の3大資金を上手に貯めるポイントは

夫と共働きで収入には余裕があり、若い頃からしっかり貯金もしている相談者。教育資金は、「児童手当を使わず貯金+積立定期」を実践しており、18歳の大学入学までに一人当たり500万円を貯める計画です。一方の老後資金は、夫婦ともに勤め先で厚生年金に加入しているほか、確定拠出年金、個人年金保険でしっかり準備をしています。家計を見る限り問題は見られず、資産形成もできていますが、今後どのような点に気を付ければいいのでしょうか。ポイントを以下にまとめました。


1.子どもが小さいうちの「貯め時」を逃さない

人生の貯め時は、主に3回あると言われています。


・1回目…独身時代から夫婦のみの時期

・2回目…子どもの幼少期

・3回目…子どもの独立後


このうち、相談者の家庭は「2回目」の貯め時に該当します。現在、子どもは5歳と4歳と、まだ教育にさほどお金がかかる時期ではありません。子どもが小さくても、2歳児クラスまでは保育料がかかりますが、5歳と4歳では「幼児教育・保育の無償化」の対象となり、保育園の利用料が無料となります。保育料がかからないことで、年間数十万円の負担軽減になる家庭もあるでしょう。


ここから小学校低学年くらいまでは、比較的貯金がしやすい時期ですが、高学年になるにつれ塾や習い事などの支出が多くなり、中学、高校になると、課外活動の費用も増えていきます。高校までの教育費は、基本的に毎月の収入から捻出しますが、支出が増える時期には、家計が赤字になったり、大学以降の教育費の貯金が難しくなったりすることも考えられます。その分、子どもが小さく余裕があるうちに教育資金を貯めておければ、後々とても助かります。


2.老後資金はコツコツ継続して貯める

私たちが老後を迎える頃、公的年金だけでは、リタイア後に「普通の生活」を送ることさえ難しいと言われています。そのような事態を避けるため、相談者の家庭でも、勤め先の厚生年金にとどまらず、個人年金保険と確定拠出年金に加入しリタイア後の生活に備えています。すでにしっかりと対策ができているため、特に改善する点はありませんが、老後資金の積立は家計が厳しい時には金額をぐっと落としてでも、継続して貯めていくことが大切です。


老後に必要なお金は、金額が大きいだけあって、すぐには用意することができません。たとえば、教育資金であれば、不足する分を奨学金で補うなどできますが、老後資金の場合、リタイア直前に「お金が全然足りない」と気付いても、そこから長い老後生活の資金を準備することは容易ではないのです。まず、老後資金は早いうちからコツコツ継続して貯めていきます。その上で、後述するように、住宅ローンの繰り上げ返済や教育資金へ重点を移していきましょう。


3.定年前はリタイア後の資金準備のラストスパート

「1」で、人生の貯め時は3回あるとお伝えしました。子どもが独立した後の3回目は、教育費の支出が終わり、自分たちの老後資金を貯めるためのラストスパートです。「若いうちからコツコツ」に加え、子どもにお金がかからなくなったこの時期を使い、リタイア後の生活資金を確保しましょう。次男が22歳で就職する時、相談者夫婦の年齢は53歳。今は60歳を過ぎても継続雇用で働くことが珍しくなく、65歳が定年と考えればリタイアまで12年あります。


ただし、昇給は50歳で頭打ちになることが多く、継続雇用で働く場合も、雇用条件は現役時代よりも下がることがほとんどです。定年前は、リタイア後の資金準備に集中できるよう計画したいものです。


4.住宅ローン控除や繰り上げ返済を賢く利用する

家を購入する時に住宅ローンを組み、「繰り上げ返済を利用して定年までに返済を終えたい」と考える人は多いでしょう。一方で、「住宅ローン控除とどちらを優先すべき?」と悩んだことがあるかもしれません。繰り上げ返済と住宅ローン控除のどちらを優先すべきかは、借りているローンの金利などによってケースバイケースです。


相談者の場合、まずは住宅ローン控除による節税効果を最大限生かし、その後、繰り上げ返済をしたほうが結果的にはお得になります。住宅ローン控除を受けている間に繰り上げ返済の資金を貯め、その後は教育資金の貯金に励みます。


■ 住宅ローン控除と繰り上げ返済はどちらが得?

住宅ローン控除とは、年末時点での住宅ローン残高の1%分の税金が、最大10年間安くなるという制度です(消費税率10%が適用される住宅を取得し、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が3年間延長される。この特例措置の延長は現在検討中)。残高の1%分が安くなるため、残高が多いほど減税される税金の金額は多くなります。つまり、繰り上げ返済をしてしまうと、残高は減りますが、節税できる税金額も小さくなってしまうのです。


一方、住宅ローンの繰り上げ返済とは、住宅ローンを契約した時の返済計画より前倒しで返済し、利息を抑える方法のことです。繰り上げ返済には2種類あり、1つめは月々の支払額はそのままに、返済期間を短くする「期間短縮型」、もう1つは残りの返済期間はそのまま、月々の返済額を少なくする「返済額軽減型」です。このうち、相談者が検討している繰り上げ返済は「期間短縮型」で、契約のままでは70歳で完済予定の住宅ローンを、繰り上げ返済によって定年前に返済することを希望しています。


繰り上げ返済と住宅ローン控除は、基本的に、契約している住宅ローンの金利によって、どちらを優先して利用するとお得になるのか判断します。たとえば、早く繰り上げ返済をすると住宅ローン控除の節税額が小さくなり損をする場合もありますが、住宅ローン控除による節税効果を最大限利用できなくても、繰り上げ返済による利息軽減効果によって最終的には得をする場合もあります。住宅ローン控除は、年末のローン残高の1%を控除する制度ですので、一般的には、住宅ローンの金利が1%より低ければ、住宅ローン控除を優先したほうがお得になると言えます。


今回の相談者は、借入の詳細は未定であるものの、借入金額約3000万円、35年返済、金利0.6%(10年間金利変動なし)という条件で住宅ローンを契約予定です。この時、先に毎年100万円を10年間(合計1,000万円)繰り上げ返済するのと、10年後にまとめて1,000万円を返済するのでは、どちらがいくらお得になるのか計算してみました。なお、期間短縮型で繰り上げ返済をし、住宅ローン控除は全額利用できるものとします。


先に繰り上げ返済をすると、軽減する利息は多くなりますが、10年後にまとめて1,000万円を返済したほうが住宅ローン控除による減税効果は大きくなり、結果的に、約21万円お得になることがわかりました。


老後資金、教育資金、住宅ローンの返済と様々なお金が肩に重くのしかかりますが、


・10年後にまとめて繰り上げ返済(その間、繰り上げ返済の資金を貯める)

・その後は教育資金を重点的に貯めていく

・老後資金はコツコツ+子どもの独立後にラストスパート


というマネープランでやりくりすれば、上手に必要なお金を用意できそうです。


■ 繰り上げ返済と教育資金の貯金プラン

では具体的に、10年後の繰り上げ返済や、繰り上げ返済が終わったあとの教育資金の貯金は、どのように実践すればいいのでしょうか。


<繰り上げ返済の費用>

繰り上げ返済のお金を毎年100万円ずつ貯めるとする場合、相談者の家計からすると、①毎月5万円×12ヶ月=60万円+②ボーナス月は+20万円×年2回=40万円=100万円というプランだと無理がないでしょう。


そもそも、ボーナスは必ず支給されるものではありませんが、コロナ禍でボーナスが出ない、もしくは減額となる企業が相次いでいます。相談者の家庭も例外ではなく、ボーナスに住宅ローンの支払いを過度に頼ることは危険です。いざという時は毎月の収入や貯金で柔軟に対応できるようにしておくと安心です。


<教育資金>

一方、子どもの教育資金は、児童手当のほか子ども一人につき毎月5,000円を子どもの誕生から貯金しており、これだけで大学入学までに一人あたり約300万円を用意できる計算です。子ども一人につき500万円の教育資金(大学入学以降にかかるものとする)を準備するとすれば、残りは200万円×400万円です。繰り上げ返済分の貯金が終わったら、今度は教育資金のために、同じように毎年100万円を貯めていきます。


すると、長男は17歳の時に、次男は18歳の時にそれぞれ200万円を貯金し終えています。タイミングによっては、積立が終わるのが次男の大学入学以降に多少ずれ込む可能性もありますが、一般的には、大学の授業料は1年分を前期と後期に分けて支払うため、問題はないでしょう。ただし、前々章で述べたように、子どもが小さく教育にお金がかからないうちに、将来の教育資金を少しでも貯められていれば、この時期の負担が軽くなることは言うまでもありません。


メリハリをつけて無理なく資金を準備

子ども二人の教育費を支払い、家を購入してローンの返済、そして、老後に困らないようリタイア後の生活資金も…。日々の生活費以外にも、生きることにはお金がかかるものです。しかし、計画的にやりくりすれば大丈夫。メリハリをつけ、無理なく必要な資金を準備していきましょう。なお、文中に登場した住宅ローンの繰り上げ返済と住宅ローン控除については、繰り上げ返済のタイミングや住宅ローン残高などによってどちらを優先すべきかが変わります。シミュレーションは、実際の条件で行いましょう。


筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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