経理や総務の担当者であれば、「この支出は会議費?交際費?」と迷った経験はありませんか。会議費と交際費は、見た目は似ていても税務上の扱いや節税効果が異なるため、正しく区分することが大切です。本記事では、社内会議や取引先とのランチなど、具体的な支出例と金額目安を挙げながら会議費と交際費の違いを解説します。
会議費と交際費の基本的な違い
まず、両者の基本的な定義を整理しましょう。
- 会議費:業務を進めるための社内外会議や打ち合わせにかかる費
- 交際費:取引先や顧客との関係維持・強化を目的とした費用
ポイントは「支出の目的」です。同じ打ち合わせでも、業務の進行に必要であれば会議費、接待や親睦が目的であれば交際費として扱われます。
会議費・交際費の具体例と金額目安
会議費になるケース
- 会議や打ち合わせのために会議室をレンタルした(目安:※場所や規模による
- 社内外会議でコーヒー・お茶・水を用意した(目安:1人300〜500円程度)
- 打ち合わせ中に軽食やお弁当を提供した(目安:1人1,000〜2,000円程度)
ポイント:目的が業務推進であり、参加者も会議に必要なメンバーに限られている会議費は全額損金算入可能なので、節税効果が高いのが特徴です。
交際費になるケース
- 取引先とのランチ・ディナー・飲み会
- 商談後に親睦を深めるための飲食費用
- 取引先への贈答・接待が目的の支出
ポイント:「業務の進行」ではなく「関係維持や営業」が主目的。交際費際費は損金算入に上限がある場合もあるため、扱いに注意が必要です。
福利厚生費になるケース
- 忘年会・新年会・歓送迎会など、従業員全員が対象
- 社員旅行や社内懇親会で全従業員が参加
- 社員慰労や福利厚生を目的としている
ポイント:「参加者が一部社員や取引先を含む場合は「交際費」と判断されます。
判断に迷ったときのチェックポイント
- 支出の目的は業務の進行か? それとも親睦や接待か?
- 参加者の範囲は誰か?(社員全員、会議メンバー、取引先など)
- 金額は常識的範囲内か?(昼食程度か、高額な飲食か)
事例で学ぶ!会議費仕訳ケーススタディ
仕訳例① 社外の会議室を借りて、社内の打ち合わせを行った
社外の会議室を利用し、飲み物を支給した場合の仕訳は以下のとおりです。
例)会議室の利用料として10,000円、飲み物代として2,000円を現金で支払った場合
[借方] 会議費: 12,000円 / [貸方] 現金: 12,000円
仕訳例② クライアントを自社に呼んで打ち合わせを行った
自社にクライアントを招き、弁当を支給した場合の仕訳は以下のとおりです。
例)弁当代として1人あたり2,000円、10人分を現金で支払った場合
[借方] 会議費: 20,000円 / [貸方] 現金: 20,000円
仕訳例③ 取引先を呼んでパーティーを開いた
取引先を招いてパーティーを開いた場合、全体の費用が10,000円以下であれば会議費として計上できますが、超える場合は交際費として計上します。
例)5人分のパーティー費用として総額30,000円を現金で支払った場合
[借方] 会議費: 30,000円 / [貸方] 現金: 30,000円
※この場合、参加者全員の人数で割った1人あたりの費用が10,000円以下であることを確認してください。
会議費・交際費を管理する実務ポイント
- 支出の目的・参加者・金額を明確にする
- 会議費と交際費を正しく区分することで、節税効果や税務リスクを最小化
会議費を正確に計上するためには、レシートや領収書と併せて、以下の内容が明確にわかるものを保管しておく必要があります。
- 飲食等のあった日付
- 参加者の氏名およびその関係
- 参加者の人数
- 費用の金額、店舗の名称および所在地
これらの情報を確実に記録しておくことで、税務調査にも対応できるようにしておきましょう。
スマートに会議費を管理する方法
実務では「これは会議費か交際費か」と迷う場面が少なくありません。その判断を効率化するには、経費を管理できるシステムの導入が有効です。
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※本記事は一般的な会議費の考え方を解説したものであり、すべてのケースに当てはまるとは限りません。実際の経理処理や税務上の判断については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
