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営業キャッシュフローとは?計算方法や見方、改善方法をわかりやすく解説
キャッシュフロー
営業キャッシュフローとは?計算方法や見方、改善方法をわかりやすく解説
マネーツリー編集部
2024-09-18

企業経営において、キャッシュフローの管理は極めて重要です。特に営業キャッシュフローは、企業が本業でどれだけの現金を生み出しているかを示す指標であり、経営の健全性を判断するための重要なデータとなります。

そこで本記事では、営業キャッシュフローとはどのようなもので、その計算はどう行うのかを整理したうえで、数字の見方や改善方法について具体的かつわかりやすく解説していきます。

営業キャッシュフローとは

営業キャッシュフローとは、企業の営業活動から生じる現金の収支を示すもので、企業の財務健全性を示す重要な指標のことです。

企業が行うさまざまな活動の中でも、営業活動はその中核をなすものであり、この活動からどれだけの現金を得られるかが企業の将来を左右します。したがって営業キャッシュフローを正確に把握することは、経営者にとって欠かせない課題と言えるでしょう。

営業キャッシュフローの構成要素

営業キャッシュフローは、企業が日々の営業活動を通じて得た現金収入と、それに対する現金支出の差し引きによって算出されます。

具体的な現金収入には、商品の販売やサービスの提供による現金の受け取りが含まれます。これは企業にとってプラスの要素です。一方で現金支出には、仕入れ費用や製造コスト、人件費、営業経費などが含まれ、これらはマイナスの要素となります。この2つの収支の差し引きによって、営業キャッシュフローがプラスかマイナスかが決まります。

営業キャッシュフローがプラスであれば、企業は本業でしっかりと現金を稼いでいることを示しているため、健全な経営が行われていると考えて良いでしょう。逆にマイナスであれば、経営に何らかの問題がある可能性を示しているため、迅速な対応をしなければなりません。

特に現金支出が多く、収入がそれを上回らない場合には、資金繰りが厳しくなり、最悪の場合は倒産のリスクも高まります。

「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」との違い

キャッシュフロー計算書には、営業キャッシュフロー以外にも「投資キャッシュフロー」や「財務キャッシュフロー」といった項目が含まれます。これらは企業の活動をより広い視点から分析するために必要な要素です。

投資キャッシュフローとは、企業が成長のために行う設備投資や、有価証券の購入・売却に関連する現金の流れを示しています。したがって通常であれば多くの場合、投資キャッシュフローはマイナスとなります。これは将来的な収益を見込んで、投資による支出が行われるためです。

これに対し財務キャッシュフローは、資金調達や借入金の返済、株主への配当金の支払いなど、財務活動に関連する現金の流れを示しています。調達すればプラスに、返済や配当を行えばマイナスになります。したがって「プラスだから良い」「マイナスだから悪い」とは一概に言えません。

これらのキャッシュフローを総合的に分析することで、企業の資金運用や財務戦略の全体像を把握することが可能になります。

営業キャッシュフローの計算方法

営業キャッシュフローを正確に把握するためには、その計算方法を理解することが重要です。一般的に営業キャッシュフローの計算には「直接法」と「間接法」の2つの方法があります。

直接法による計算方法

直接法とは、企業の営業活動から生じた現金収入と現金支出を、そのまま合計して計算する方法のことです。具体的には、商品の販売による現金収入や受け取った売掛金を合計し、それから仕入れ費用や人件費などの現金支出を差し引いて、営業キャッシュフローを算出します。

この方法の利点は、現金の流れを詳細に把握できる点にあります。現金の流出入が明確に記録されるため、どの部分でキャッシュが生じ、どの部分で消費されたのかが一目瞭然になることです。

しかし、この方法を行うためには取引ごとに細かく記録を行う必要があり、集計作業に手間がかかるというデメリットもあります。特に取引が多い企業にとっては、計算の負担が大きくなる可能性があります。

間接法による計算方法

間接法とは、損益計算書に記載される当期純利益を基にして、非現金取引や運転資本の変動を調整して営業キャッシュフローを算出する方法のことです。この方法では、例えば減価償却費などの非現金項目を当期純利益に加算し、売掛金や在庫の増減を反映させて現金収支を計算します。

間接法の利点は、損益計算書から簡単に計算できるため、算出に手間がかからないことです。そのため、多くの企業で間接法が採用されています。ただし直接法のように現金の流れが見えにくいため、その点には注意しなければなりません。

キャッシュフロー・マージンの計算方法

キャッシュフロー・マージンとは、営業キャッシュフローの効率性を測るための指標のことです。キャッシュフロー・マージンは、以下の算式によって算出されます。

[キャッシュフロー・マージン  =  営業キャッシュフロー  ÷  売上高  ×  100]

キャッシュフロー・マージンは、企業の財務健全性を評価するうえで非常に重要な指標です。なぜならこの指標は、企業が営業活動を通じて、どれだけ効率的に現金を生み出しているかを示しているからです。

したがってキャッシュフロー・マージンが高いほど、企業は利益を効率的に現金に変換していることになります。

営業キャッシュフローの見方

営業キャッシュフローの分析は、企業の経営状態を評価するために不可欠です。この章では具体的な営業キャッシュフローの見方と、それに基づき何をすべきかについて解説します。

営業キャッシュフローがプラスの状態とは

営業キャッシュフローがプラスであれば、企業が本業で安定的に収益を上げていることを示しています。したがって、健全な財務基盤が構築されていると判断しても大丈夫でしょう。

この状況では企業は自己資金で運営を継続できるため、外部からの借入や資金調達の必要性が減少し、また借入金の利息負担なども軽減されます。したがって財務面での安定が保たれ、さらなる成長を目指すための基盤が整うでしょう。

ただし、さらなる企業の持続的な成長を確保するためには、積極的なアクションを行わなければなりません。具体的には、余剰資金を活用して新規事業への投資を行ったり、技術革新を推進したりすることで企業の競争力をさらに強化することなどが考えられます。

また既存の業務プロセスを見直し、効率化を図ることで、コスト削減や利益率の向上を目指すことも重要です。

営業キャッシュフローがマイナスの状態とは

一方で営業キャッシュフローがマイナスの状態にある場合、企業は本業で十分な現金を生み出せていない、つまり企業の資金繰りが厳しい状況であることを示しているため、早急な対策を行わなければなりません。

マイナスの営業キャッシュフローの要因が一時的なものであれば、経営戦略の見直しやコスト削減などで改善が期待できます。しかし長期的に営業キャッシュフローがマイナスの状態が続く場合は、企業の経営に根本的な問題がある可能性があるため、抜本的な経営改革を行わなければなりません。

例えば、売上高は増加しているが売掛金の回収が遅れている場合や、コストが収益を上回っている場合などが考えられるため、状況を正確に分析したうえで正しい対処を迅速に行うことが求められます。

営業キャッシュフローを改善する方法

営業キャッシュフローを健全に保つためには、具体的な改善策を講じることが必要です。以下に、営業キャッシュフローを増やすための効果的な方法をいくつか紹介します。

営業利益を増やす

営業キャッシュフローを改善する最も直接的な方法は、営業利益を増やすことです。営業利益を増加させるためには、販売促進の強化や新規顧客の獲得、価格設定の見直しなど、さまざまな戦略を検討することが重要です。例えば、製品やサービスの付加価値を高めれば価格競争力が強化されるため、利益率を向上させることが期待できるでしょう。

また既存の顧客との関係を強化し、リピート購入を促進することで安定した収益を確保することも効果的です。これにより営業キャッシュフローを安定的に増加させることが可能となります。

コストを削減する

コスト削減も営業キャッシュフローを改善する有効な手段です。特に、固定費の見直しや業務の効率化を図ることで無駄な支出を削減し、営業キャッシュフローをプラスに転じさせられます。

例えば、仕入れコストの見直しや業務プロセスの改善を行うことで、コスト削減を実現することが可能です。また人件費やオフィスの運営費用なども、固定費の削減には有効でしょう。こうした方法を複数組み合わせることで営業キャッシュフローを健全に保ち、企業の競争力を強化することが期待できます。

売掛金や受取手形を早期に回収する

売掛金の早期回収は、営業キャッシュフローを改善するうえで重要なポイントです。未回収の売掛金を放置すると現金が手元に残らず、資金繰りが悪化するリスクがあります。したがって売掛金の回収を迅速に行うことが、キャッシュフローの健全性を保つためには欠かせません。

例えば、新規取引先との契約条件を見直して支払い期限を短縮したり、既存取引先との関係を見直して早期支払いを促したりすることで、売掛金の回収を早めることが可能になります。

買掛金や支払手形などの支払いを遅らせる

一方で買掛金や支払手形の支払いを遅らせることも、営業キャッシュフローの改善に寄与します。支払いを先延ばしにすることで手元の現金を長く保持でき、資金繰りを改善することが期待できるでしょう。

ただし支払いを遅らせることにはリスクも伴います。取引先との信用を損ねる可能性があるため、適切なバランスを保ちながら支払いサイクルを調整することが重要です。

クレジットカードや後払いを活用する

クレジットカードや後払いの仕組みを活用することで、現金の支出を先延ばしにし、短期的なキャッシュフローを改善させられます。これにより支払いのタイミングを調整し、資金繰りを柔軟に管理することが可能となります。

ただしクレジットカードや後払いの利用には金利や手数料が発生することがありますので、長期的なコストを考慮しつつ計画的に利用することが重要です。

在庫を減らす

在庫の削減も営業キャッシュフローの改善に有効です。過剰な在庫を抱えることは現金の流出を招き、資金繰りに悪影響を与える可能性があります。在庫管理を徹底し、必要最小限の在庫を維持すれば、現金の流出を抑えてキャッシュフローを改善させることが期待できるでしょう。

また在庫の回転率を向上させることで、より効率的に現金を循環させることが可能です。これにより営業キャッシュフローをより健全な状態に保てます。

固定資産を売却する

不要な固定資産を売却することで、営業キャッシュフローを一時的に改善できます。特に利用されていない設備や不動産を売却することで、大きな現金を手に入れることが可能です。

固定資産の売却は短期的なキャッシュフローの改善に役立つだけでなく、企業のバランスシートを軽くする効果もあります。これにより資金繰りを改善し、企業の財務状況を強化することが期待できるでしょう。

まとめ

営業キャッシュフローは、企業の本業で得られる現金収支を示す重要な指標であり、企業の健全性を判断するために不可欠なデータです。営業キャッシュフローを正確に把握し、その改善に努めれば、企業は持続的な成長を遂げることが期待できるでしょう。

本記事では営業キャッシュフローの基本的な概念から計算方法、見方、改善方法までを解説しました。営業キャッシュフローをしっかりと管理し、適切な経営戦略を実施すれば、企業は安定した経営を続けられるでしょう。

営業キャッシュフローの健全性を維持するために、日々の管理を徹底し、将来に向けた資金繰りの計画をしっかりと立てていくようにしてください。

筆者プロフィール

Moneytree Business

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