「利益」は会社の経営状況を把握する指標です。利益にはさまざまな種類がありますので、その仕組みや種類について正しく把握しておくことが重要となります。
この記事では、利益についての概要、売上との関係性、利益の種類やそれぞれの計算方法を解説します。また利益を上げるための3つのポイントもご紹介しますので、ぜひ押さえておきましょう。
利益とは?
まずは「利益」について解説します。利益とはどのような金額のことを指すのでしょうか。
収益から費用を引いた数値のこと
事業や会社経営における利益とは、収益(事業活動で得た資産)から費用(かかった支出)を引いた数値のことです。
利益は、事業で得た収益だけでは計算できません。事業の際にかかった支出を収益から引くことで、実際に儲かった金額が算出されます。これが会社経営での利益となります。
利益と売上の関係性
利益と似ている金融用語に「売上(売上高)」というものがあります。売上高とは「商品やサービスなどを販売する事業での収益」のことを指しますので、つまりは「売上=収益から経費を引く前の数値」だと考えてください。
収益(売上)- 経費 = 利益
例)
- 収益(売上)が100万円、経費が60万円だった場合
→100万円(売上)- 60万円(経費)= 40万円(利益)
上記の計算式からもわかるとおり、売上が高くても必ずしも利益も高くなるわけではありません。もし経費も高ければ、差し引いて利益は低くなってしまうのです。そのため会社経営では、経費の管理も重要になってきます。
利益の種類と計算方法
「利益」と一言でいっても、実はさまざまな種類があります。
- 売上総利益(粗利)
- 営業利益
- 経常利益
- 税引前当期純利益
- 当期純利益
- 限界利益
- 貢献利益
会社経営における損益計算書では、なかでも①~⑤の5つの利益が主となり、次のような関係で表すことができます。
⑥と⑦の2つの利益もビジネスにおいて重要な指標であり、商品やサービスの採算性を測ることができるものです。では、1つずつわかりやすく解説していきましょう。
①売上総利益(粗利)
売上総利益とは、商品やサービスの売上から売上原価を差し引いたものです。損益計算書の始まりに出てくる利益であり、純利益に至るまでの基礎的な利益で会社の儲けの源泉です。売上総利益は「粗利」とも呼ばれています。
[売上総利益の計算式] 売上 - 売上原価 = 売上総利益(①)
売上原価については、業種によって扱いが異なります。業種別の売上原価の取り扱いの違いの例:
[業種: 小売業、卸売業など]
売上原価 = 仕入原価 (詳細: 仕入れた商品の原価)
[業種: 製造業]
売上原価 = 製造原価
(詳細: 仕入れた材料や部品の代金、工場の人件費、設備の減価償却費、電気代、燃料代などを含む)
②営業利益
営業利益とは、企業の本業で稼いだ利益のことです。商品やサービスの売上高から直接的にかかる売上原価を引いた「売上総利益」から、「販管費(販売費・一般管理費)を差し引くことで算出されます。
販管費は、商品を売るための広告宣伝費や人件費です。
営業利益の計算式
売上総利益(①)- 販売費・一般管理費(販管費)= 営業利益(②)
③経常利益
経常利益とは、企業の通常の事業活動によって得られる利益のことで、企業の経営状態が最もよく現れる数値です。経常利益は、売上から売上原価や販管費を引いた営業利益に、毎期経常的に発生する損益をプラスして算出されます。
営業外収益とは受取利息や配当金など、営業外費用は支払利息などのことです。
経常利益の計算式
営業利益(②)+ 営業外利益 - 営業外費用 = 経常利益(③)
営業利益が企業の本業での利益であるのに対して、経常利益は本業のほかの資産運用、借入などによる利益や損益も計算に加えていますので、「企業全体の儲け」ということになるでしょう。
④税引前当期純利益
税引前当期純利益とは、法人税や法人住民税、法人事業税などの税金を納付する前の利益額のことを指します。税引前当期純利益は、経常利益に特別損益(本業以外で臨時的に発生した利益と損失)を加えて算出されます。
税引前当期純利益の計算式
経常利益(③)+ 特別利益 - 特別損失 = 税引前当期純利益(④)
[税引前当期純利益に関係する金融用語]
- 特別利益: 長期保有株式、証券などの売却益、固定資産の売却益など
- 特別損失: 長期保有株式、証券などの売却損、固定資産の売却損、災害による損失など
税引前当期純利益を見ると、その年の純粋な経営成績を把握することが可能です。また経年での比較をすることで、経営成績の推移も知ることができます。
⑤当期純利益
当期純利益は、税引前当期純利益から法人税などの税金を差し引いた純利益のことを指します。つまり、ある期における企業の最終的な経営成績ということになります。この数値がプラスの場合には黒字、マイナスの場合には赤字(当期純損失)です。
当期純利益の計算式
税引前当期純利益(④)- 法人税などの税金 = 当期純利益(⑤)
当期純利益の数値は、投資の指標として知られるPER(株価収益率)の計算にも使用されますので、株主にとっても重要な数値だといえるでしょう。
⑥限界利益
限界利益とは、売上高から変動費だけを差し引いたもので、企業の損益分岐点分析に用いられる重要な数値でもあります。
限界利益の計算式
売上高 - 変動費 = 限界利益(⑥)
[企業経営における経費の種類]
- 固定費
- 建物の家賃、水道光熱費、広告宣伝費、人件費、電話料金など
- 変動費
- 商品の仕入原価、輸送費、材料費、外注費など
事業経営でかかる経費は、売上に関係なく必ず発生する固定費と、売上に比例してかかる変動費という2種類に分かれます。限界利益の値が固定費よりも高い場合は利益が出ていることになり、固定費よりも低い場合には利益が出ていないと判断されますので、企業全体の存続を検討する必要が出てくるでしょう。
⑦貢献利益
貢献利益とは、売上高から変動費、直接固定費を差し引いたもので、個別の商品や事業の経営判断に利用できる重要な数値です。貢献利益の計算では、経費としての固定費をさらに直接固定費と間接固定費に分けて考えます。
[企業経営における固定費の種類]
- 直接固定費
- 広告宣伝費など、個別の商品や事業にのみ直接必要な固定費
- 間接固定費
- 建物の家賃など、企業全体に必要な固定費
この貢献利益の値がプラスであれば会社に利益が出ていることになりますが、マイナスの場合には個別事業の存続を検討する必要があるでしょう。
利益を正しく把握することが重要な理由
企業の経営において、利益について正しい知識を身につけて生かすことが重要な理由としては、次の3つが挙げられます。
自社の経営状況を把握できる
利益を正確に知ることによって、企業の業績や健全性を理解できるだけでなく、経営の改善点も明確になります。結果的に、今後の企業経営の適切な意思決定にも大きな影響を及ぼします。
経営戦略の見直しができる
利益の推移分析もできるようになりますので、現在の経営戦略が適切かどうかの判断につなげることが可能です。必要に応じて経営戦略の修正や改善を効果的に行うことができるようになるでしょう。
投資家や社外関係者に業績を示すことができる
正確な利益の情報は、社内だけでなく、外部からの信頼と支援を得るためにも役立ちます。例えば投資家や取引先、金融機関といった相手へ、企業の価値、経営の透明性、信頼性を示す際に重要な指標となります。
利益にかかわる代表的な指標
こちらでは、利益にかかわる指標を5つご紹介します。企業経営についてより理解を深めるためにも、各指標を確認してみましょう。
売上高営業利益率/売上高経常利益率
「売上高営業利益率」と「売上高経常利益率」はどちらも、企業の収益性を測ることができる数値です。正確な内容や計算式、財務省による最新のデータは次のとおりです。
売上高営業利益率
- 売上高に対する利益の割合のこと
- 計算式:売上高営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 売上高 × 100
- 2022年度の売上高営業利益率:4.0%(全産業・全規模)
参考:財務省 https://www.mof.go.jp/pri//reference/ssc/zaimu/zaimu01_04.pdf
売上高営業利益率が高い場合は、営業活動における企業収益力が高いと判断できます。
売上高経常利益率
- 売上高に対する経常利益の割合のこと
- 計算式:売上高経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 売上高 × 100
- 2022年度の売上高経常利益率:6.0%(全産業・全規模平均)
参考:財務省 https://www.mof.go.jp/pri/reference/ssc/zaimu/zaimu01_05.pdf
売上高経常利益率の比率が高い場合、資産の売却損益などを除いた通常の経営活動による企業の収益性が高いと判断できます。
総資本営業利益率/総資本経常利益率
「総資本営業利益率」と「総資本経常利益率」はどちらも、企業の総合的な収益性を測ることができる数値です。正確な内容や計算式、財務省による最新のデータは次のとおりです。
総資本営業利益率
- 投下資本に対し、企業が本業で得られている利益の割合のこと
- 計算式:総資本営業利益率(%)= 営業利益 ÷ 総資本(期首・期末平均)× 100
- 2022年度の総資本営業利益率:3.1%(全産業・全規模平均)
総資本営業利益率が高い場合は、営業活動における企業収益力が高いと判断できます。
総資本経常利益率
- 投下資本に対し、本業のほか財務活動を含めた通常の経営活動から得られている利益の割合のこと
- 計算式:総資本経常利益率(%)= 経常利益 ÷ 総資本(期首・期末平均)× 100
- 2022年度の総資本経常利益率:4.6%(全産業・全規模平均)
総資本経常利益率の比率が高い場合、投下資本が効率的に使用されていることになるため、企業の収益性も高いと判断されます。
自己資本当期純利益率
「自己資本当期純利益率」とは、株主から調達した資金と、過去の収益のうち社内に留保していた資金によって、どのくらいの利益を上げているかを表す数値です。計算式、財務省による最新のデータは次のようになります。
自己資本当期純利益率
- 当期純利益の純資産に対する割合のこと
- 計算式:自己資本当期純利益率(%)
= 当期純利益 ÷(純資産 ― 新株予約権(期首・期末平均))× 100
- 2022年度の自己資本当期純利益率:8.9%(全産業・全規模)
自己資本当期純利益率が高ければ、株主より調達した資金をより有効利用できていることになります。
利益を上げるためのポイント
会社の利益を上げるためには、さまざまある利益の種類の意味と計算方法を把握して、次のようなポイントも押さえておくことが大切です。
価格設定を見直す
販売する商品の価格設定が、価値に見合ったものであるか、市場の需要や競合他社の価格設定と比較して適切なものになっているかを見直しましょう。
コストを削減す
生産・運営のコストで無駄な部分がないか見直し、効率的な方法を導入しましょう。結果的にコストの削減につながります。
販売戦略を見直す
販売のターゲット層を明確にして、顧客に合わせた販売方法や、効果的な販促活動を常に模索しましょう。販売戦略を定期的に見直すことで、売上アップにつながります。
まとめ
事業や会社経営における利益とは、事業活動で得た収益から費用を引いたもので、企業の経営状態や成績を表す重要な指標です。
利益には売上総利益をはじめとするさまざまな種類があり、それぞれ意味や計算方法が異なります。利益について正しく把握することで、企業の経営状況を正確に分析でき、将来的に適切な経営判断を行うことができるようになるのです。
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