会社員とは異なり、個人事業主の年収はなかなか予想ができません。個人事業主を検討している方の中には、「実際にどの程度稼げるのか」と不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、公的機関からのデータをもとに個人事業主(自営業)の年収について解説します。手取りの計算方法、収入アップのコツにも触れますので、ぜひ参考にしてみてください。
個人事業主(自営業)の年収は?
まずは国税庁の事業所得者についての調査結果から、個人事業主(自営業)の年収を見てみましょう。
500万円超~1,000万円以下の割合が最も大きい
「申告所得税標本調査(令和4年分調査)」によれば、事業所得者の所得構成比は以下のとおりです。
【事業所得者の所得金額 構成割合】
100万円以下 - 1.3%
100万円超~200万円以下 - 7.7%
200万円超~300万円以下 - 11.1%
300万円超~500万円以下 - 19.1%
500万円超~1,000万円以下 - 21.7%
1,000万円超~2,000万円以下 - 13.2%
2,000万円超~5,000万円以下 - 13.5%
5,000万円超~1億円以下 - 6.6%
1億円超 - 5.6%
500万円超~1,000万円以下の割合が21.7%と、最も大きいことがわかります。
個人事業主の手取りはいくら?
ここまで解説してきた「所得額」とは、年収から経費を引いた金額です。年収に占める経費の割合目安は、業種により大きく異なります。
【業種別 年収に占める経費の割合目安】
サービス業 - 50%
飲食業 - 60%
製造業 - 70%
小売業 - 80
卸売業 - 90%
あくまで目安ではありますが、1,000万円の年収があった場合、サービス業の所得は500万円前後、小売業の所得は200万円前後ということです。
手元に残る「手取り」は、この所得から所得税や事業税、消費税、住民税などの税金関係、国民健康保険料、国民年金の掛け金などの社会保険関係費を引いた、さらに残りの金額にあたります。個人の状況により異なるものの、手取りは所得の8割前後が一般的です。
個人事業主(自営業)の年収はサラリーマンと比較して高い?
「令和4年度民間給与実態統計調査」によれば、給与所得者の世代別の平均給与は、以下のとおりです。
【給与所得者の世代別の平均給与】
世代 : 平均給与額
~19歳 : 124万円
20~24歳 : 273万円
25~29歳 : 389万円
30~34歳 : 425万円
35~39歳 : 462万円
40~44歳 : 491万円
45~49歳 : 521万円
50~54歳 : 537万円
55~59歳 : 546万円
60~64歳 : 441万円
65~69歳 : 342万円
70歳~ : 298万円
事業所得者には500万円超〜1,000万円以下が多いことを考えると、個人事業主の所得はサラリーマンより若干高めだと言えるでしょう。
個人事業主(自営業)で年収が高い業種とは?
個人事業主(自営業)で年収が高い業種としては、以下のようなものが挙げられます。
<個人事業主(自営業)で年収が高い業種>
・コンサルティング
・不動産仲介
・エステ・美容
・弁護士・司法書士などの士業
中でもコンサルティングや不動産仲介は初期費用が少なく、低めのリスクで高い年収が狙える業種だと言われています。
個人事業主(自営業)で年収を上げるためにできること
個人事業主(自営業)で年収を上げるためにできることを解説します。
青色申告で確定申告する
確定申告で青色申告を選べば、最大65万円の控除が受けられるほか、家族に払った給与も経費としての計上できるようになります。青色申告を希望する方は、あらかじめ税務署に「青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。
自宅兼事務所にして、家賃や光熱費を経費計上する
自宅と事務所を兼ねれば、家賃や光熱費の一部を経費として計上可能です。事業の運転資金を抑えながら、節税効果も見込めます。
所得控除を活用する
所得控除を活用すれば、税金を軽減できます。主な所得控除は以下のとおりです。
【主な所得控除】
- 基礎控除
全ての人に適用される最大48万円の控除
- 社会保険料控除
国民健康保険料や国民年金の掛け金額の控除
- 配偶者控除、配偶者特別控除
配偶者が所得133万円以下のとき受けられる控除
- 扶養控除
条件を満たす親族を扶養しているとき受けられる控除
- 医療費控除
自分または家族のために払った医療費の控除
- 生命保険料控除、地震保険料控除
生命保険料・地震保険料の控除
- 寄付金控除
ふるさと納税など寄付金に対する控除
まとめ
個人事業主(自営業)の所得は、年収から経費を引いた金額であり、500万円超〜1,000万円以下の割合が最多です。手取りを計算するなら、さらにそこから税金・社会保険料を引きましょう。年収を上げたいなら、青色申告や自宅兼事務所の経費申請、各種控除の活用がおすすめです。