株式会社アルファ・ファイナンシャルプランナーズは、特定の商品だけを販売する保険会社のファイナンシャルプランナー(以下: FP)とは一線を画す独立系のFP事務所で、年間3,000件のファイナンシャルアドバイスを行っている。2021年にリリースした個人・法人向けのお金の管理アプリ「マネソル」では金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」を利用して、データドリブンで中立的なファイナンシャルアドバイスを実現している。
API連携を活用し、新たなサービス開発と業務効率化を実現できたというアルファ・ファイナンシャルプランナーズの取り組みについて、代表取締役 田中 佑輝 氏に話を伺った。
私たちアルファファイナンシャルプランナーズ株式会社は、誰もが自分でライフプランを作成できるツール「マネソル」を提供するFP事務所です。設立の背景には、従来のライフプランニングサービスの問題点がありました。
世の中には、簡単に試算可能なライフプランニングツールはたくさんありますが、精密にやろうとするとプロフェッショナルなファイナンシャルプランナー(以下: FP)の助言は不可欠です。しかし日本のFPはほぼ保険営業員なので、相談すると、ライフプランニングにおける資産形成や万が一時の保障という課題に対し、解決策として最終的には保険を売り込まれてしまうことが少なくありません。そのため、本質的なライフプランシミュレーションができないという課題がありました。
この課題を解決するため、私たちは中立的な立場から資産運用や保険など幅広い観点でライフプランニングを行うサービスを提供しています。現在、約60名のFPや不動産コンサルタントが対応し、年間2500-3000件の相談をこなすプロフェッショナルな組織として運営しており、主力サービスとして以下の2つを展開しています。
私たちが直面していた主な課題は、以下の3点でした。
1.ライフプランの実行と管理の困難さ:
従来のライフプランニングは計画を立てるだけで終わってしまい、その後の実行や管理が難しい
2. 正確な家計データの取得
お客さまの記憶や手入力に頼る家計簿では、実際の支出と大きくずれてしまうことが多い
3. FPの業務効率化
お客さまの家計状況を把握するために複数回の面談が必要で、時間がかかる
これらの課題を解決するために、自動的に正確な家計データを取得し、PDCAサイクルを回せるツールの必要性を強く感じ、マネソルの開発とお客さまの家計データを連携するためにMoneytree LINKの導入を決定しました。
Moneytree LINKを選んだ理由は以下の通りです。
いくつかのアグリゲーターを検討しましたが、最初から外部サービスにAPIを提供するという前提で作られているサービスはありませんでした。マネーツリーは外部サービスにデータ連携することを前提に作られているので、開発がしやすかったのが一番の決め手でした。
Moneytree LINKの導入により、私たちは「マネソル」に以下のような機能を実現できました:
1. 家計データ連携
お客さまの銀行口座やクレジットカードの取引データを自動で取得し、家計状況を把握
2. ライフプランシミュレーションとの連動
取得した家計データをもとに、より正確にライフプランをシミュレーション
3. FP向け顧客管理機能
お客さまの同意のもと、FPがお客さまの最新の家計状況を確認
しかし、導入にあたっては、マネソルやMoneytree LINKを活用した家計データ連携をご利用いただくまでのお客さまのオンボーディングや、家計データを共有することに対する信頼の獲得など様々な課題がありました。
これらの課題に対しては、UIの改善や丁寧な説明を行うことで対応しています。また、よりプロフェッショナルに資産アドバイスを行う「顧問サービス」を提供する際には、Moneytree LINKを活用した家計データ連携を前提とすることで、より効果的なサポートを実現しています。
家計データ連携により、お客さまの同意があれば、私たちはお客さまの家計データを見ることができます。これにより、FPたちがお客さまの資産状況や家計情報をクローリングしながら、課題を見つけて効率的かつ効果的に声をかけることができるようになりました。
Moneytree LINKの導入により、私たちは以下のような成果を得ることができました:
1. 業務効率の向上
Moneytree LINKを活用し家計データ連携を行うことで、正確な家計情報や資産情報の確認が可能になり、お客さまとFP双方の面談効率と時間削減が可能になりました。
2. より正確なライフプランニング
実際の取引データに基づいたシミュレーションが可能になり、より精度の高いライフプランニングが実現しました。
3. FPのスキル向上
新しい技術を導入することで、FPたちのITリテラシーも向上し、変化する金融環境への対応力が高まりました。
特に1.の業務効率化の効果は大きく、FPが具体的なアドバイスを行うまでお客さまと3回ほど面談を行うことが多く、ライフプランを作成するデータが十分に集まるまで時間がかかったり面談が増えるケースもありました。また、家計に関する情報の収集は、お客さまの記憶ベースになることも多く、実際に生活している収支と記憶ベースの家計情報が乖離してしまうケースも少なくありませんでした。
Moneytree LINKにより、正確な家計データがマネソルに連携されることで、正確な収支の把握と面談1から面談2までをスムーズに行うことが可能になりました。
面談1:ご挨拶、ライフプランの作成をご提案&各種データ(料金明細や保険証券など)の収集を依頼
面談2:データを頂戴し、支出や収入などをヒアリングしながらツールに入力
面談3:ライフプランニング結果と改善策、必要に応じてご提案
今後は、「マネソル」を通じて、ライフプランニングや金融をより楽しく学べるようにしたいと考えています。例えば、ゲーミフィケーションの要素を取り入れたりも面白いと思います。金融教育の底上げを目指し、誰でも簡単にお金に関する知識をつけたり学べる仕組みづくりに注力したいです。
また、個人向けサービスだけでなく、法人向けサービスの拡大にも力を入れています。企業の福利厚生サービスとして導入できる「マネソル+」の利用企業も増えています。従業員の方々が自分の将来を可視化し、安心できる状態に持っていくための教育を、このパッケージの中に入れています。これは、ファイナンシャルウェルビーイングの実現にもつながると考えています。
中立的なFP事務所だからこそ、金融教育やファイナンシャルアドバイスを通してテクノロジーを活用した新しい形のFPサービスの方向性を示していきたいです。より多くの人々が質の高い金融サービスにアクセスできる未来を作っていきたいと考えています。
今後も、テクノロジーの進化に合わせてサービスを改善し、より多くの人々の金融リテラシー向上と豊かな人生設計のサポートに努めたいと考えています。
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