導入事例
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銀行・信金

規模の差が縮まる時代に、信金発のデジタルバンキングへの挑戦

碧海信用金庫
碧海信用金庫 総合企画部 企画グループ グループ次長 水野 嘉大 氏
2018
08
26
この事例で使用されているAPI :
銀行口座(個人)
銀行口座(個人)
銀行口座(法人)
銀行口座(法人)
住宅ローン
住宅ローン
証券口座
証券口座
グラフ機能
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クレジットカード
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電子マネー
電子マネー
ポイントカード
ポイントカード
生命保険
生命保険
確定拠出年金
確定拠出年金
Hekikai

中期経営計画でもデジタルバンキングを推進      

私たち碧海信用金庫は愛知県安城市に本店を構えています。西三河を中心に、愛知県内に77店舗を展開し、「地域№1パートナーバンクへ」を長期ビジョンとして地域経済の発展に努めております。

2017年10月から、スマートフォン用アプリ「へきしんアプリ ~スマート管理ぷらす~」の提供を開始しました。アプリを利用すれば、普通預金口座の残高・入出金照会やインターネットバンキングの各種手続き等を、24時間・いつでも・どこでもご利用いただけます。このアプリの一機能として、様々な銀行口座やクレジットカード等の情報を一元管理できる「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)を、信用金庫として初めて提供しています。

また、2018年度からの3カ年中期経営計画では、大きな施策の一つに「デジタルバンキングへの取り組み」を掲げています。これから整備するオープンAPIを活用したサービスを実現し、デジタルバンキングによる効率化および収益化を目指しています。

 

アプリを通してお客さまに驚きや感動を提供するべく、連携を決意

今回のアプリ開発は、従来メインだった対面営業だけでなく、非対面でのお客さまとの接点を広げることの重要性から始まりました。どのような形で「碧海信用金庫初のポータルアプリ」を実現するのかを模索し、フィンテックやデジタルバンキングについて調査を進めました。その中で、すでにメガバンクに導入されていた「Moneytree LINK」を知り、その利便性に着目しました。今の時代、ほとんどのお客さまは複数の銀行口座をお持ちですし、一つの銀行口座だけで管理しているお客さまはほとんどいらっしゃいません。また、クレジットカードや電子マネーも、複数所有して使っている方がほとんどです。これらの情報を一元化することで得られる利便性は、多くのお客さまの求めるところだと考えましたし、そのニーズは今後も更に高まってくるはずです。ぜひ私たちのアプリに組み込みたいと、強く感じました。

また、もともとのアプリは直近の10明細しか確認できない仕様になっており、情報量が少なかったことも、「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)を導入しようと思った理由の一つです。新しいサービスを通して、お客さまに驚きや感動を提供できるかどうかは、大変重要なことだと考え推進しました。また、「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)は電子マネーやポイントにも対応しています。これらは金融機関のサービスからは少し離れたところにありますが、ポイントを気にしているお客さまが数多くいらっしゃるという実感があり、連携を決めました。例えば楽天カードはクレジットカードの利用による楽天ポイントの還元率がとても高いサービスとして、国内にかなり浸透しています。その結果、ポイントを意識する層が増えてきています。私自身も家計簿アプリの「Moneytree」を使ってみて、知らない間にたくさんのポイントが貯まっていたことに気付かされました。アグリゲーションサービスで情報を集約して見ることで、「こんなにポイントが貯まっていたのか」「こんなふうにクレジットカードを使っていたのか」と新たな発見ができ、お客さまに新しい可能性を提供できると思いました。              

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2つのアプローチから社内の理解を得て、Moneytree LINK導入を実現

「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)の導入を企画し実現するまでに、社内からの理解を得るため、2つのアプローチを試みました。

1つ目は、フィデューシャリー・デューティー、金融庁が言うところの「お客さま本位の業務運営」の観点からです。お客さま本位で考えた場合、自金庫の通帳明細だけが見られるアプリに、本当にニーズがあるのか。お客さまが真に求めているのは、複数の情報をまとめて見られるアプリなのではないか。と、Moneytree LINKのようなアグリゲーションサービス導入の必要性を説明しました。

2つ目は、金庫としての戦略の観点からです。碧海信用金庫のアプリをお客さまの資産管理の入り口にしてもらえれば、取引の深堀りにつなげられると説明しました。特に愛知県内はオーバーバンキングと言われており、なにか差別化を図ってお客さまに選ばれる必要がありました。資産管理をキーワードに、既存のお客さまはもちろん、新規のお客さまも獲得していける可能性を示しました。

この2つのアプローチで説得を続ける中で、いくつか懸念の声も上がりました。私たちは金融機関ですので「信頼・安心」というイメージが第一です。そのため、情報管理の状況を気にする声がありましたが、マネーツリーはFISCのセキュリティ基準に則ったAmazon Web Servicesを利用してデータを管理しており、国内トップクラスのセキュリティを確保していることを説明し、理解を得ました。

また、万一何かが起きた際の責任の所在についての質問もありました。そこでMoneytree LINKとの連携をフェーズ分けし、今回のファーストフェーズではハードルを低くした形での連携をおこなうこととしました。現在は、お客さまとマネーツリーとの間で連携し、碧海信用金庫はデータの管理および閲覧することはできないという利用規約になっています。今後、実績を積みながら、将来的には連携の核心となるビックデータとの連携など、更にステップアップしていくというロードマップを描いています。

             

アプリで利用者数が増大。従来のインターネットバンキングの不便さを実感

現在、「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)をご利用いただくにはインターネットバンキング(IB)サービスの利用契約が必要となっています。IBの利用率は低く、社内でも課題になっていました。これは碧海信用金庫のみならず金融機関全体を見ても同様で、国民の90%以上が口座を持っている一方で、IBの利用者数は10-20 %程度にとどまっているとも言われます。ところが「へきしんアプリ ~スマート管理ぷらす~」をリリースし、新規申し込みを含め、IBの各種手続きをアプリ上でおこなえるようにしたところ、IBの新規申し込み数が1.5倍ほどに増えたのです。しかもそのうちの約半数が、アプリからの申込みという状況です。今まで、来店できないがために、IBを利用できなかった方が、どれほど多かったのかと実感しています。

アプリの利用を通してIBの利用者数が増えたのは喜ばしいことですが、一方でそれだけではデジタルバンキングの普及には限界があるとも感じています。IBに依存しない参照系APIを利用し、IB契約者だけでなく口座保有者全体にも「一生通帳 by Moneytree」(現 LINK Kit)を広げていければと思います。

             

更新系APIで、コスト削減に期待

今後は更新系APIのサービスにも期待を寄せており、特に、口座間での資金移動の実現には大きく期待しています。現在は資金移動のたびに、銀行の振込システムを利用するため、手数料がかかっています。これを、APIとインターネットを活用してリアルマネーの決済回数を減らすなどすれば、コストを下げられるのではないでしょうか。

方法はいくつかあるかと思います。例えば、銀行等が仮想的な電子マネーを発行し、利用者はチャージして使うことで、リアルマネーの決済回数を減らすことが想定できますし、実際にそうした動きも見られます。私たち信用金庫は地域金融機関ですので、地域に密着した電子マネーを発行して既に存在する電子マネー等との兌換性が持てれば、地域の利用者や加盟店のメリットにもつながります。他には、勘定系やコアシステムにAPIをつなぎ、更新系APIのトランザクションで資金移動を実現できれば、従来よりもコストを抑えられます。実際、海外ではAPIのトランザクションでコストを低く抑えられている事例もあり、APIの開発には大いに期待しています。              

(参考:マネーツリーブログ 「変わる銀行法シリーズ 最終回:マークに聞く『オープンAPIの重要性』」)         

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これからの信用金庫のあるべき姿とは

今後、信用金庫ではシステムに理解がありつつ企画もできる人材が必要になると思います。実際、私自身も何を企画するにもシステムが関わってくるのを実感しています。

従来、金融機関におけるシステム系人材の活躍場所といえば、勘定系システム周りと銀行端末等ハード面のインフラ管理が主でした。ところがインターネットの世界に移行するにつれ、インターネットバンキング(IB)やコーポレートサイトなど、インターネットを利用したサービスを新たに作り上げなくてはならなくなりました。当初はこのような業務もシステム部門が担当していましたが、最近では企画部門の担当分野となっています。しかし、企画部門のスタッフでシステムに強い人材は少なく、ベンダーと良いディスカッションができず、外部に任せっきりになってしまっているケースも散見されます。広くシステム、ITリテラシーを身につけつつ、社全体の戦略も考えて、戦略をどのようにプロモーションしていくのか、という企画まで考えていける人材がいなければ、今後の銀行システムは発展していかないと思います。金融機関においてシステム系の人材の活躍場所が拡大しているともいえます。

また、フィンテックのおかげで、これから銀行間の規模の差・資本力の差がどんどん縮まっていくかもしれません。従来のように、資本力のあるメガバンクから新しいサービスの導入が始まり、その後地方銀行、信用金庫が順次導入していくという流れは変わりつつあります。「信用金庫だから、地銀だから、もう少し待って様子を見ていよう」という時代は終わったのです。これからは信用金庫も地方銀行も自分たちから積極的に仕掛けていく姿勢が重要だと感じています。

私たち碧海信用金庫は、これからもAPIやフィンテックの情報収集を続け、新しいサービスを開発していきます。マネーツリーとも協力しながら、お客さまのためになるサービスを、一緒に考えていきます。

Hekikai

愛知県安城市に本店を置き、自動車産業の集積地域である西三河を中心に知多、尾張、名古屋エリアに77店舗を展開する信用金庫です。長期ビジョンとして掲げる「地域№1パートナーバンクへ」の実現に向け、専門性の高い知識・技術を有する企業との連携および協働を図り、新しいテクノロジーの活用やサービス連携など、オープンイノベーションへの取り組みを通じて地域経済の発展に貢献してまいります。              

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