多くのスタートアップや中小企業にとって、資金調達は常に大きな課題です。従来の審査基準では、財務データが十分でない新興企業や急成長中の企業が適切に評価されないケースは少なくありません。数億円の預金残高があってもスタートアップだから法人カードの発行を断られるという状況もあるでしょう。このような状況は、個別企業の成長を阻害するだけでなく、日本経済全体の活力を削ぐ要因にもなりかねません。
法人向け金融サービスには、より柔軟で効果的な審査・融資の仕組みが求められています。MILIZE社とマネーツリーが共同で開催したウェビナーの内容をもとに、最新のトレンドと具体的な事例をインプットしながら、AIやビッグデータを活用した新しい与信や審査を高度化させる可能性を探っていきます。
新しい与信や審査の高度化で注目されているのが、企業の銀行口座データの活用です。マネーツリーの金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」は、約2500の金融機関・金融サービスに接続しており、企業が持っている複数の口座情報やトランザクションを一元的に集約することを可能にしています。
与信・審査を行う金融機関側にとって、このような金融データ集約は大きな価値があります。従来は断片的にしか把握できなかった企業のキャッシュフローを、より包括的に理解することが可能になるのです。
金融データが集約されれば、次はそのデータをいかに分析し、適切な判断につなげるかが重要になります。MILIZE社からは、ここで力を発揮するAIの技術について詳しい解説を行いました。機械学習モデルを使った与信判断では、以下のような要素を分析することで、より精度の高い与信モデルを構築できると解説を行いました。
これらの要素を総合的に分析することで、財務諸表だけでは見えてこない企業の実態を把握し、より適切な与信判断が可能になるでしょう。このような技術の進化は、金融サービスの在り方を大きく変える可能性を秘めています。例えば、
これらの取り組みが進めば、中小企業の資金調達環境は大きく改善し、ひいては日本経済全体の活性化にもつながると考えられます。
さらに進んだ取り組みとして、ニュースやSNS投稿といった非構造化データの活用も始まっています。大規模言語モデル(LLM)を用いることで、以下のようなことが可能になると考えられています。これらの情報を口座取引データと組み合わせることで、より多角的な企業評価が可能になるでしょう。
法人カードの審査や融資の高度化は、単なる金融サービスの改善にとどまらず、日本の産業構造全体に影響を与える可能性を秘めています。AIやビッグデータの活用により、これまで見過ごされてきた企業の潜在力を適切に評価し、必要な資金を提供することが期待されます。
金融機関にとっては、このような技術を積極的に取り入れることで、新たな顧客層の開拓や、リスク管理の精度向上につながるでしょう。一方、中小企業やスタートアップにとっては、自社の実力を適切に評価してもらえる機会が増え、成長のための資金調達がより容易になると考えられます。
ウェビナーでは、実業務に応用した場合のデータ収集からアウトプットまでのプロセスや、詳細なデータを扱うために留意すべきプライバシーとセキュリティへの配慮についても詳しく解説を行いました。ぜひオンデマンドウェビナーをご覧ください。
マネーツリー社とMILIZE社のパートナーシップで、金融機関の新たなサービス構築をサポートいたします。