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プライバシー、パーソナライズとゼロパーティデータ
プライバシー

プライバシー、パーソナライズとゼロパーティデータ

ライター  大谷和利
2019
11
28

そもそも「パーティ」とは?


ゼロパーティは初耳という方でも、サードパーティという言葉ならば知っている、あるいは、聞いたことがあるのではないでしょうか?

そこで、最初に、サードパーティやファーストパーティ、セカンドパーティとは何かを説明し、それからゼロパーティデータの話に入りたいと思います。

しかし、そもそも何ゆえに「パーティ」? と思う人がいるかもしれません。もちろん、これは、祝い事や何かのイベントのために人々が集まって飲食をする、あのパーティでとは無縁です。この場合のパーティとは、「同じ属性を持つ人たちのグループ」を意味しています。

特にサードパーティの概念は、元々、議会政治の世界から生まれたもので、有力な2大政党に対する第3勢力的な政党を、サードパーティと呼びました。たとえば、アメリカ議会では、民主党(デモクラティック・パーティ)と共和党(リパブリカン・パーティ)が2大政党であり、アメリカ緑の党などのサードパーティが存在しています。

そこから転じて、PC業界で製品に直接関わる当事者(本体を作る企業やそれを購入して使うユーザー)以外で、その製品向けのアプリケーションや周辺機器を開発する第三者的な会社をサードパーティと呼ぶようになったのです。

では、ファーストパーティやセカンドパーティについてはどうでしょうか? 面白いことに、それらは後付けで考えられた呼称でした。つまり、サードパーティという概念が普及したPC業界で、製品のメーカーにあたる企業をファーストパーティ、ユーザーをセカンドパーティと呼ぶことにしたわけです(現実には、馴染みのあるサードパーティとは違って、この2つはほとんど使われることがありませんが…)。

また、ゲーム業界では、ゲーム機本体を作るメーカーの関連会社がゲームソフトを開発している場合に、その関連会社をセカンドパーティと呼ぶこともあります。
                     

このように、セカンドパーティの定義が曖昧なことからも、後から恣意的に名付けられた概念だとわかるでしょう。ただし、どちらの場合も、元になる製品を開発・販売する企業をファーストパーティと呼ぶ点では一致しています。そして、ここから、今回のテーマであるプライバシーに関する話題へとつながっていくのです。

無意識に取得され不正確でもあるファーストパーティデータ

Moneytree MT LINK blog on zero party data by ootani

マーケティングの世界におけるファーストパーティは、広告主となったりEコマースを行っている企業です。また、様々なオンラインメディアを運営して読者に情報提供をしている出版関連企業もファーストパーティに属します。

たとえば、Eコマースの巨人であるAmazon.comは、当然ながら顧客のメールアドレスを把握し、自社のショッピングサイトからの購入履歴や、サイト上での顧客の行動(ページ遷移の過程や滞留時間など)のデータを握っています。メールアドレスは会員登録時に明示的に収集したものである一方、他の2つは、顧客の意識に上ることなく収集されているわけです。

こうして集められたデータがファーストパーティデータであり、Amazon.comは、これらのデータを基に、顧客ごとに興味を持ちそうな製品をトップページに表示したり、電子メールで告知したりしています。

また、オンラインメディアの出版企業は、自社の様々なオンライン雑誌の閲覧記録などを元に読者のニーズやウォンツを把握し、それに関連する広告を表示することでビジネスにつなげています。こうした閲覧データは、読者の同意を得ずに取得されているのが普通です。

これらのファーストパーティデータは、確かに、顧客や読者の属性のある一面を捉えているといえるでしょう。しかし、たまたまあるページを開いたときに他の用事で席を離れたり、無意識にスマートフォンをいじりながら友人と話をしているようなことがあれば、そのページの滞留時間は必ずしも閲覧者の興味と一致していないわけです。

たとえば、これは笑い話のようですが、筆者がたまたま自著の検索をAmazon.comで行ったところ、その後しばらく、自分で書いた本の購入を薦めてくる電子メールが届くようになり、呆れたことがありました。

このように、ファーストパーティデータには不正確な部分もあり、また、GDPRことEU一般データ保護規則の発効以来、合意なしに取得される個人情報への風当たりが強くなって、ゼロパーティデータが注目されるようになったのです。

閲覧者が意識的に共有するゼロパーティデータ


ゼロパーティデータとは、企業などのサイトを閲覧している人が、求めに応じて自ら意識的に共有する情報を指します。

この用語は、Forresterという有名な調査会社が2018年の末頃から使い始めたもので、消費者が企業に特定の情報を明示的に提供することによって、より良いサービスが受けられたり、自分に合った製品開発につながるようなメリットがあれば、積極的かつ選択的に個人情報を共有するという前提から生まれました。

筆者の身近な例では、イギリスのFabricという自転車用品のブランドのサイトで、新製品情報のニューズレターに登録する際に、メールアドレスや名前だけでなく、どのようなカテゴリーの自転車に興味があるかという設問があり、さらに、こうした情報をマーケティング目的で利用する際の手法の選択肢(電子メールか、カスタマイズされたオンライン広告か)が明示されていたことがあります。

これは、ごく簡単なゼロパーティデータの一例ですが、個人的には、企業に自分の嗜好を知ってもらう上で必要と思われる情報であれば開示しても問題ないと考えますし、このような形で率直に訊かれたほうが、お互いに気持ちよく付き合えるというものでしょう。

多様化が進む社会の中で、消費者は、自分の好みやライフスタイルに合わせてパーソナライズされたモノやコトを求める傾向が強くなっています。しかし、企業にとって、それは個々の顧客のことをよく知らずにはできません。両者のギャップを埋め、より健全で便利なサービスや製品を生み出すために必要とされるもの。それが、ゼロパーティデータなのです。


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筆者プロフィール

ライター  大谷和利

テクノロジーライター,AssistOnアドバイザー,自称路上写真家。Macintosh専門誌, デザイン評論誌, 自転車雑誌などの誌上でコンピュータ,カメラ,写真,デザイン,自転車分野の文筆活動を行うかたわら,製品開発のコンサルティングも手がける。

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