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オンライン融資から対面融資まで〜入出金データ及び外部データ活用によるスコアリング精度向上〜 | FIT2020 Onlineセミナーレポート
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オンライン融資から対面融資まで〜入出金データ及び外部データ活用によるスコアリング精度向上〜 | FIT2020 Onlineセミナーレポート

マネーツリー編集部
2020
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2020年10月に開催されたFIT 2020 Onlineで、マネーツリーはオンライン融資に関するセミナーを実施。2018年、様々なオンライン融資サービスが登場し、2019年にはFintech企業だけでなくメガバンクでも導入されるなど、その流れはますます加速している。金融機関はオンライン融資をどのように活用できるのか、また融資業務だけでなくコンサルティング業務に金融データを活用するとどのようなことが見えてくるのか、など事例を交えて解説した。

講師は、マネーツリー株式会社 Catalyst Sales Executive 渡邊 塁。

[経歴]

(株)埼玉りそな銀行・(株)りそな銀行にて法人渉外・融資審査を経験。東証一部上場企業から中小零細企業まで、幅広い業種・規模の企業を担当。その後(株)リクルートにて金融新規事業の立ち上げに参画。オンライン融資事業の立ち上げメンバーとして、マーケティング・営業企画を担当。マネーツリーではMoneytree LINKを活用したソリューション案件を多数担当。

このオンラインセミナーはオンデマンドで提供していますので、セミナーをお見逃した方はこちらからお申込いただければいつでもご視聴いただけます。

今、オンライン融資への追い風が吹いている

2007年の貸金業法改正によって、日本の融資を取り巻く環境は大きく変化しました。市場が浄化され、一般消費者の融資に対するイメージが回復した一方で、全体の融資額もこの10年間で大きく減少しました。これは個人向けに限らず、中小事業者向けの融資も同じ状況であり、中小事業者向けの短期・少額融資の領域に、オンライン融資のマーケットチャンスが存在します。

また現在、更なる外部環境の変化によってオンライン融資への追い風が吹いています。

一つ目は、銀行業界をはじめとするオープンAPIの活用によって、今まで得ることのできなかったデータをリアルタイムで取得できるようになり、そのデータをオープンに使っていこうという流れが起きていること。これは外部環境の変化として非常に大きなインパクトをもたらしています。

二つ目に、AIによるデータ分析の自動化・効率化が進んできていること。オープンAPIによって取得できるデータの種類や量が増大する中、AIによる効率化が与えるインパクトは更に大きなものになっていくでしょう。

そして三つ目に、新型コロナウイルスの感染拡大です。貸付業務の効率化・迅速化は一層求められるようになりました。また、アナログからのDX化も加速しています。金融機関に限らず様々な業界で、従来オフライン前提だったものが、非対面でのオンラインチャンネルに切り替わるとともに、ペーパーレス化への要求も高まっています。

このような背景から、AIなどを利用して迅速に非対面で融資を受けられるオンライン融資への期待が非常に高まっています。


貸し手・借り手双方のコストをカット

オンライン融資は非対面の融資であり、従来の与信審査にかかっていた人的コストを大きく削減できます。借りる側にとっては、手間がかからずすぐに借りられるという付加価値があるので、金利も比較的高く設定できます。そのため、短期・少額融資でも十分に利益を生み出せるのです。

どう収益を上げ、コストを下げるかが課題となる金融機関にとって、オンライン融資は有力な選択肢の一つになり得るのです。


オンライン融資と従来融資、四つの違い

ここで、オンライン融資と従来の融資の大きな違いを四つご説明します。

  1. 与信に利用するデータの種類: 従来の融資では財務諸表や事業計画書を作成し、与信審査をおこなっていますが、オンライン融資は、オンライン上のデータを利用して与信判断をおこないます。
  2. データ操作の可能性: オンライン融資の与信判断に利用されるオンライン上のデータは、恣意的に操作しにくい生の取引データです。そのため、データの改ざんリスクが低く、信頼性が高いと言えます。
  3. リアルタイム性: オンライン融資では、日々の入出金データを利用します。リアルタイムの事業状況を見て与信判断をおこなえます。
  4. 与信モデルの複雑さ: 多くのオンライン融資は、与信モデルの精度を上げるために機械学習を取り入れており、モデルが複雑になりがちです。銀行が新たな融資事業を開始する際には、金融庁へ融資モデル等を説明する必要があるため、いかに人が理解しやすい形に仕上げるか、バランスをとりながらモデル開発を進める必要があります。


オンライン融資の導入にあたり、課題に感じることは?

今回、FIT 2020 Onlineのセミナーにご参加いただいた金融機関の皆さまに、「オンライン融資の導入にあたり課題と感じていることはありますか?」というアンケートを実施しました(複数回答可)。

Moneytree LINKのFIT2020オンラインセミナー後のアンケート回答:オンライン融資の導入にあたり課題と感じていることの回答


回答数の多かった順に、「社内体制の整備」(57%)、「貸し倒れリスク」(43%)、「既存融資の枠組みへの影響や切り分け」(38%)、「セキュリティ面」(23%)、「当局への説明や監査対応」(23%)との結果を得ました。金融機関がオンライン融資を導入するにあたっては、様々な課題があると考える方が多いようです。


金融機関がオンライン融資を導入する際のポイント

では、金融機関はオンライン融資をどのように導入していけばよいのでしょうか。

押さえるべきポイントは三つです。

まず、オープンAPIで取得できるようになった様々な金融機関の入出金データをうまく活用することです。先ほど述べたように、入出金データは改ざんのリスクが低く、かつリアルタイムな情報です。従来の融資で用いてきた財務諸表や事業計画書、外部の信用情報やヒアリング情報などと補完的に組み合わせれば、非常に信頼性の高い融資を実現できます。セミナーのアンケートでは半数近くの方から「貸し倒れリスク」を懸念する声が上がりましたが、むしろ従来の融資よりもリスクを減らすことが可能になるかもしれません。

Moneytree LINKではオープンAPIを利用して様々な金融機関の残高や入出金情報(日付・金額・摘要)を取得できます。このデータを利用し日々の入出金のトレンドを可視化するだけでも、非常に有益な情報になりますし、もう一歩踏み込んでデータの分析をすれば、入出金情報から売り上げや支出の予測も可能になります。摘要欄を活用すれば、固定比率や変動比率を予測したり、取引先の変動予兆を確認したりできるようになります。また、毎月ある日付時点での預金残の推移からは流動性の確認もできます。これらのデータは、今まで金融機関が取得してきた様々な情報を補完しうるものです。


次のポイントは、既存融資と切り分けることです。お客さまからは、既存の審査の枠組みを変えられなかったり、新システムの導入が難しかったりするためにオンライン融資を始められない、というお話をよく伺います。セミナーのアンケートでも、「既存融資の枠組みへの影響や切り分け」や「社内体制の整備」を課題に感じる方が多くいらっしゃいました。これに関しては、既存の融資やシステムからは完全に切り分けて考え、外部のサービスやテクノロジーを使いながら、小さくスタートして大きくしていく、という発想で新たにオンライン融資を始めるのが良いと思います。自行独自の勘定・オペレーション・審査といったものにあまりこだわりすぎず、使えるものは使っていくことで、既存の金融機関という優位性を活かしながら競争力のある商品をスピーディに作れるはずです。

最後のポイントは、良いパートナーを探すことです。2点目で述べたように、オンライン融資を始める際には外部サービスの活用が必須になりますが、その際には相互の強みを生かせるようなパートナーを選ぶのが重要です。既存の金融機関が持っている信用力や顧客基盤、与信ノウハウ等と、Tech企業の持っているライトなシステムやクラウドサービス、AIといったテクノロジーや新たな与信アルゴリズム等を組み合わせれば、非常に強い商品を作っていけるでしょう。


オンライン融資は段階的に導入できる

オンライン融資はAI融資と完全に同義ではありません。金融機関がオンライン融資を取り入れる際にも、「オンライン」の部分と「AI」の部分を分けて、段階的に導入することが可能です。

まず、与信モデル自体は従来のものを使いつつ、非対面のチャネルとしてオンライン融資を導入するのが、一つの方法です。ユーザー側のインターフェース(融資申し込み、資料提出、返済の管理など)と金融機関側のオペレーション(資料確認、融資の振込処理、回収の入出金処理、督促など) で、オンライン融資のプラットフォームを利用すれば、それだけで大幅なコスト削減と、新たな顧客の獲得につながります。

もう一つの方法は、データ連携の基盤のみを利用し、営業の補助として使うというものです。与信モデルには加味しないものの、オンラインデータや銀行の入出金データを参照し、ダブルチェックやネガティブチェックに利用するのです。

また、オープンAPIを利用し他行まで含めてストックしたデータを活用すれば、融資に限らず様々なサービスの提供が可能になります。まず、取得したデータをユーザーに還元することで、日々の接点を作れます。そして、ファクタリングや法人カードなど、ユーザーが必要とする商品を提案するコンサルティング業務も新たに生まれるでしょう。自行のデータベースに、Moneytree LINKなどを利用して外部データを連携することで、ユーザーとのコミュニケーションコストを削減したり、新しいサービスを提供したりできるようになります。

企業がデータをアセットとして活用する未来はすぐそこまで来ています。まずは対面融資の補助として、オンラインデータの利用から始めてみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介したアイデアの実際の導入事例や更に具体的な導入方法をご紹介できます。ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

新規サービス開発の場合のMoneytree LINKの導入での流れフロー

このオンラインセミナーはオンデマンド配信を行っております。FIT2020オンラインで見過ごしてしまった方には以下のボタンからお申し込みをいただければセミナー視聴リンクをご提供させていただきますので、ぜひお気軽にご覧ください。

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筆者プロフィール

マネーツリー編集部

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