マネーツリーの10のこと
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法改正やオープンAPIによるオープンバンキングの活性化で、金融サービスの未来はどう変わるのでしょうか?

公平性と透明性をもたらす標準化

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2017年5月の「銀行法等の一部を改正する法律(通称:改正銀行法)」によって、金融機関にオープンAPIを実装することが努力義務として課せられ、日本でもオープンバンキングの流れが加速しました。(改正銀行法の経緯についてはこちら

金融業界におけるオープンAPIとは、銀行が保有するデータをAPIとして公開し、フィンテック企業など外部の事業者との間で自由にデータのやり取りを可能にする動きのことです。そして、オープンAPIによって銀行のデータを連携し、活用することで、新しい価値のあるサービスを生み出す取り組みのことをオープンバンキングといい、英国など欧州で先行して始まり、今や世界的な潮流になっています。

そもそもAPIはどう便利なのでしょうか?
API
は、Application Programming Interfaceの略でプログラミング用語に端を発しており、他のシステムの機能やデータを安全に利用するための接続方式を指します。ソフトウェアの一部を公開することで機能を外部共有できるようにしたもので、ソフトウェア同士の連携が可能になります。

必要な機能がすでにAPIとして公開されている場合、その機能を埋め込むことができるので、同じプログラムを最初から作る必要がなく、開発時間やコストを大幅に削減でき、効率的にソフトウェアを制作できるようになります。例えば、企業が新しいサービスを開発する際、様々なAPIを上手に活用することで、専門分野にリソースを充てることができ、自社の強みを活かしたサービスの開発に専念できます。

また、前述のとおり、APIは外部のデータも連携することができるため、様々な角度からデータを活用することで、顧客の傾向や特徴を理解し、顧客のニーズに合致する、よりパーソナライズされたサービスなどを実現できるようになります。

マネーツリーが提供するAPI

金融サービスの外部連携を可能にするオープンAPIの登場で、ファイナンス分野におけるサービスのあり方は大きく変わろうとしています。

これまで利用者はファイナンスアプリを使用する際、IDやパスワードを用いてネットバンキングサイトにアクセスし、ファイナンスアプリはWebサイトから情報を抽出するWebスクレイピングという方法で情報を取得していました。しかし、Webスクレイピングはネットバンキングサイトのデザインが変わると正しく動作しなくなるため、その都度変更を加えなければなりませんでした。さらに、Webスクレイピングを用いたファイナンスアプリが取得できる情報は、金融機関が提供するデータに限られるため、応用性がありませんでした。

APIを利用することで、データの取得先がWebサーバーなどに限定されず、接続先となる金融機関へIDやパスワードを用いる場合よりも堅牢かつ安全な状態で、資産情報などのデータを取得できるようになります。この他にも次のようなメリットや、Webスクレイピングではなし得なかった可能性が広がります。

様々なサービスとAPIで繋がることで、各企業が協業しながら多様なサービスを提供したり、新たなビジネスや企業間のエコシステムが生まれるなど、ビジネスの成長も期待できるため、便利でイノベーティブな新しいサービスをお客さまに提供する最大のドライバーになるのではないでしょうか。

電子決済等代行業者を使用する場合とそうでない場合の比較

そうした顧客主体のオープンAPIによるデータ活用環境の安全性を確保するために、改正銀行法では「電子決済等代行業」に関する新しい制度が開始され、「電子決済等代行業者」として認可された事業者のみ、金融機関とAPI接続によってデータを取得できる登録制になりました。

電子決済等代行業は2つに分類され、家計簿アプリや会計ソフトのように複数の口座情報を集約する参照系APIを提供する、口座情報取得サービスの事業者をAISP(Account Information Service Provider)といい、顧客の意思に基づき銀行に対して決済や送金などの資金移動を指示する更新系APIを提供する、決済指図伝達サービスの事業者をPISP(Payment Initiation Service Provider)と呼びます。(参照系APIと更新系APIについてはこちら

電子決済等代行業者として登録するには、セキュリティ面やデータの管理などに関する厳しい監査をクリアする必要がありますが、登録の要件は次の3つに大別されます。

マネーツリーは、2018年12月に電子決済等代行業者として財務局へ登録し、APIによる金融機関とのデータ連携を行っています。(登録番号 関東財務局長(電代)第12号
また、ファウンダーのマーク マクダッドは一般社団法人電子決済等代行事業者協会の設立に参画し、他の会員とともに金融機関の決済システムや口座情報に接続する事業者の健全な発展を目的に、理事を担当しています。

これまでもマネーツリーはフィンテックの立場から、以下に挙げるようなオープンイノベーションに向けた環境やオープンバンキングなどの制度的枠組みの整備などに携わり、プライバシー・バイ・デザインの考えに基づく、公正なデータ利活用を推進するための活動を続けてきました。

※上記の内容は、就任当時の情報です。

これからもフィンテック業界のみならず、金融業界全体を取り巻く環境の向上に貢献するとともに、利用者も事業者も含めた金融サービスに関わるすべての人がデータ利活用の恩恵を享受できる活動に取り組んでまいります。

マネーツリーのLINKブログでは、フィンテック業界の動向や話題のトピックに関する情報を定期的に発信をしていますので、是非チェックしてみてください。

 

【参考】

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