ブログシリーズ「What is ?」フィンテック編では、マネーツリーの事業部長兼常務取締役・共同創業者(CPO)であるマークマクダッドのMark's MICブログシリーズに続き、マネーツリーのエンジニアが日本市場でのアプリ開発やフィンテックの基礎知識を紹介していきます。
第一回目に登場するのは、インテグレーションチームマネージャーの小林中(アタル)。面談段階から営業先にて技術関連の打ち合わせに参加し、Moneytree LINKのインテグレーション案件のスケジュール、プロジェクト実行、サポートを担当しています。内部では、開発チームとの連携、導入サポート、そして新しいAPIの提案などに日々取り組んでいます。
ここ数年、アカウントアグリゲーションと呼ばれるサービスが話題となっています。アカウントアグリゲーションとは、複数の金融機関の口座情報を一つに集約、閲覧できるようにすることです。
実は、アカウントアグリゲーションは昔からある伝統的な手法です。ここ数年、この技術をベースにしたサービスが再び話題になっている背景には、クラウドテクノロジーの普及があります。
クラウドの恩恵によって、アカウントアグリゲーションで大量のデータを高速かつリアルタイムで集めることが可能になりました。同時に、集積した膨大なデータを分析することで、個々の顧客のニーズをつかむことができるようにもなりました。
また、クラウドは冗長性や導入障壁の低さをもたらし、スタートアップのように人材や資金力が乏しい人々でも、優れたアイディアで業界にインパクトを与えられるようになったのです。
スタートアップを中心としたフィンテックが話題になって以降、アカウントアグリゲーションで集められるデータは、金融業界の様々なニーズに対して大きな可能性を示しています。
多くの人は、複数の銀行口座に複数枚のクレジットカード、電子マネー、ポイントカードを保有していると思います。
インターネットバンキングやクレジットカード会社のウェブサイトに行けば利用明細を確認できますが、いくつものサイトにそれぞれログインし、口座残高や明細情報を確認するのはとても煩わしい作業です。
政府がすすめるキャッシュレス化に伴って、クレジットカードや電子マネーの利用が進めば、さらにこの作業は頻繁になり、自分の保有する資産全体を把握することは極めて困難になるでしょう。
そこで威力を発揮するのが、アカウントアグリゲーションなのです。
アカウントアグリゲーションでは、利用者の同意のもと、インターネットバンキングのIDとパスワード(閲覧専用)を借りて、定期的に各金融サービスのサイトにログインし明細情報などのデータを取得します。
マネーツリーは人間の入力の所作と同じ方法で、IDとパスワードを自動入力してサイトにログインし、集めたデータをAmazonのクラウド上に保存しています。
国内でのフィンテックサービスの台頭以降、アカウントアグリゲーションは一般的になりました。金融庁はこのようなサービスを展開する事業社に対し、登録申請が必要な「電子決済等代行業」という制度を作っています。
さらに、金融庁は利用者からIDとパスワード預かることなく必要な情報だけを効率的に閲覧するAPIの提供を、全国の金融機関に対して求めています。
APIは、Application Programming Interface の略称です。他のシステムの機能やデータを安全に利用するための接続方式を指します。
APIはソフトウェアの一部を公開し、外部のソフトウェアと機能を共有できるようにしたものです。自分のソフトウェアに他のソフトウェアの機能を埋め込むことができるようになるため、ソフトウェア同士の連携が可能になります。
必要な機能がすでにAPIで公開されている場合、同じプログラムを最初から作る必要がありません。そのため、開発時間や開発コストを大幅に削減でき、効率的にソフトウェアを制作できるようになります。
またサービスを開発する際、様々なAPIを集めてくれば、専門分野に集中することが可能となり、自社の強みをさらに活かせるようになります。APIごとに担当の切り分けもできるため、問題解決の発見も容易になります。
APIでは他社のデータを使うことも可能です。同じ情報を様々な角度から活用することで、目的ごとに特化した分析をおこなえるようになります。
銀行によるオープンAPI(=APIを他社に公開すること)は、銀行と外部事業者間の安全なデータ連携を可能にする取り組みです。そこから顧客の傾向や特徴を発見し、顧客のニーズに応じたサービス、商品を提供できるようになります。
では、ここで言う「安全なデータ連携」とはどういうことでしょう。個人情報はどのように守られているのか、心配な方も多いでしょう。
マネーツリー代表取締役のポールチャップマンは、プライバシーへの取り組み方についてこう述べています。
「私たちのサービスでは、お客さまのデータが“本人の知らないうち”に第三者へ渡ることはありません。お客さまが承諾した場合のみ、その相手先にだけデータを提供します。グレーではなく、白黒はっきりしたデータ活用のシステムを構築してきました。」
ここまで、アカウントアグリゲーションとAPIについてご説明してきました。マネーツリーはこの二つの要素を持つ製品として、Moneytree LINKのAPIサービスを提供しています。
各業界でご利用いただいている、Moneytree LINKのAPIサービスの例を下記にまとめました。
銀行
既存の銀行アプリに搭載し、自行の明細データを管理する莫大なコストと時間を縮小。さらに他行データも自行に蓄積。行内でのデータ利活用の課題を解決。
会計
個人、法人の明細情報の自動取り込みなどをオンプレミス型システムに提供し、クラウド化したい会計サービスの課題を解決。
証券・保険
若年層に向けた新規サービス、ライフシミレーションをサポートするデータ入力の自動化など、長年問題とされてきた課題を柔軟に解決。
融資
これまで効率化が難しかった、融資業務の初期段階にかかる時間とコストを削減。モニタリングなどの領域で採用が進む。
IT
金融サービス仲介業(仮称)の新設により、今後、金融業界に異業種からの参入が期待される。新規サービスに対しても、豊富なAPIとツールを提供。
不動産
賃貸契約者の入金消し込み作業、不動産投資の入金確認などの業務効率化を実現。オーナーと賃貸者のエンゲージメントを創出する集客化をサポート予定。
APIを料理に例えるならば、APIは食材、サービス提供者は料理人と言っていいかもしれません。いい食材が集まれば、自ずと美味しい料理ができる可能性が高まります。もちろん、一番大切なことは、顧客が何を食べたいと思っているか(ニーズ)を料理人がとらえることです。
私はこの業務に携わりながら、各業界の様々な業界の課題を弊社のAPIで解決できることを喜びに感じています。皆さんとお仕事できることを楽しみにしています。
What is? フィンテックシリーズ第2回目:参照系と更新APIについて
これからマネーツリーのエンジニアからのブログシリーズ「What is ?」の発信予定です。ご興味がある方はマネーツリーのニュースレターに登録していただくと、最新のブログや導入事例など、月に一回メールをお送りします。
面談段階から営業先にて技術関連の打ち合わせに参加し、Moneytree LINKのインテグレーション案件のスケジュール、プロジェクト実行、サポートを担当しています。内部では、開発チームとの連携、導入サポート、そして新しいAPIの提案などに日々取り組んでいます。
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