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オンライン融資の最前線 第一回 : アメリカから始まった、新たな融資の形
融資

オンライン融資の最前線 第一回 : アメリカから始まった、新たな融資の形

Credit Engine: 内山 誓一郎
2018
10
17

株式会社クレジットエンジンの内山誓一郎です。弊社では、AIによる与信審査を利用したオンライン完結のスモールビジネスローンサービス「LENDY」を提供しています。LENDYは、全ての事業者が利用できる日本初のオンラインレンディングサービスで、Moneytree LINKとの連携で、複数の銀行の入出金データを一括で参照できる環境を構築しています。

オンライン上の新しい融資サービス、「オンラインレンディング」。耳慣れない言葉かもしれませんが、オンライン上で簡単に・短時間で融資を受けられることから、海外ではすでに広く浸透しています。フィンテックの勢いが年々高まる中、国内でもオンラインレンディングに注目が集まりつつあります。このブログシリーズでは、海外におけるオンラインレンディングの動向や、従来の融資業務の課題点、日本で金融機関がオンラインレンディングを導入するにあたってのポイントなどを解説していきます。

第一回目は、オンラインレンディングの歴史および海外の動向をお伝えします。

アメリカからきた、ビジネス向け「オンラインレンディング」とは

オンラインレンディングとは、その名の通りオンライン上で融資の申し込み・審査から返済までをおこなえるサービスです。借り手に関するオンライン上のデータを利用・分析して審査をおこなうことで、従来の融資のように資料作成にかかる手間や時間を大幅に短縮しつつ、しかも精度の高い与信を実現しています。

ビジネス向けのオンラインレンディングの盛り上がりは10年前の米国から。2008年のリーマン・ショックを受けて、銀行が融資に資金を回せなくなったため、代わりに独立系のレンディングサービスが台頭し始めたのです。特に銀行からの融資を受けづらくなった中小企業向けにOnDeckKabagge などがオンラインレンディングサービスを開始し、その利便性から徐々に市場を拡大していきました。ビジネスローンの領域ではすでに10年ほど前からオンラインレンディングが広がり始めていたのです。

オンラインレンディングの広がりには、クラウドサービスの普及も大きく寄与しています。それまでユーザのローカルにのみ存在したデータがクラウド上にアップ・蓄積されるようになり、そのデータを利用した新たな与信が可能になったのです。クラウド上のデータはシェアが容易な上、改ざんリスクが低く信頼性が高いというのも、与信審査の精度を上げる上で重要なポイントでした。米国では「QuickBooks Online」等のクラウド型の会計ソフト、「Square」をはじめとするモバイル決済やAmazon等、クラウド上にデータを蓄積する様々なサービスの拡大と相まって、それらのデータを利用したオンラインレンディングも広まっていきました。

様々な領域で活用され、サービスは細分化している

ビジネス向けのオンラインレンディングは、現在では様々な領域に広がり、米国ではすでに大きなマーケットとなっています。例えばファクタリング領域(債権を譲渡し、融資を受ける)では Fundbox や BlueVine が、売掛金を前借りできる中小企業向けのサービスを提供しています。

個人向けへも様々なサービスが生まれています。面白いところだと、PayJoyが提供するスマートフォン用ローン。これは通信会社ではローンを組めない低所得者層に向けたもので、返済が滞った際には専用アプリでスマートフォンを使用できないようにし、返済を促す仕組みをとっています。

このように、米国におけるオンラインレンディングは、今後更にニッチなサービスに細分化していくと予想されます。

銀行もオンラインレンディングを取り入れ始めている

更に近年は、銀行とオンラインレンディングのスタートアップ企業との提携も始まっています。JP Morgan & ChaseはOnDeckと、Santander UKはKabbageと提携し、互いの技術と信用を生かし合う形で協業しています。

銀行側にとっては、融資領域において無視できないほどの規模に成長したオンラインレンディングの技術を取り入れることで、新たなサービスの提供機会を得られます。一方のスタートアップ企業側も、提携先の銀行の資金を利用することで、ファンドよりも低コストで資金調達が可能になるのです。

データ活用の進む中国でも、一大マーケットに

米国におけるオンラインレンディングの動向をお伝えしてきましたが、実は隣国中国でもオンラインレンディングはかなり進んでいます。もともと決済インフラが整っていなかったところにモバイル決済サービス「Alipay(支付宝)」や「WeChat Pay(微信支付)」が一気に浸透し、それらのデータを利用した融資が広まっているのです。(Alipayを運営する、アリババグループの関連会社Ant Financial芝麻信用など)

日本はデータ活用の点で米国・中国に大きく遅れを取っており、オンラインレンディングの発展は、まさにこれからというところです。次回は日本における融資の背景やオンラインレンディングの展望についてお話ししたいと思います。

オンライン融資の最前線シリーズ

オンライン融資の最前線 第二回:オンラインレンディングで日本の融資が変わる
オンライン融資の最前線 第三回 : オンラインレンディングを導入する際の重要ポイント  

                   

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Credit Engine: 内山 誓一郎

内山誓一郎 株式会社クレジットエンジン 代表取締役社⻑。 慶應義塾大学経済学部卒。 2007年より株式会社新生銀行において、不動産業を中心にコーポレートローン、ストラクチャードローン業務に従事。その後、仙台市に転居し、東日本大震災後の復興支援事業の立ち上げをおこなう。 2012年より米国UCLA Anderson School of Businessに留学し、在学時には現地のベンチャーキャピタルでのインターンや、仮想現実(AR)関連技術のスタートアップに参画。帰国後株式会社マネーフォワードに入社し、業務支援サービスの営業や事業開発、家計簿サービスの事業提携などに従事。 2016年に株式会社クレジットエンジンを創業。2017年1月より、オンラインレンディングサービス「LENDY」を提供。 2018年7月には、三菱UFJファイナンシャル・グループのアクセラレータプログラム「MUFG DIGITALアクセラレータ」でグランプリを受賞。三菱UFJ銀行と業務提携を締結し、「クレジットエンジン・プラットフォーム」※の活用を検討している。 ※クレジットエンジンが提供する、LENDYの仕組みをもとに金融機関がオンライン融資サービスを低コストで提供できるサービス‍

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