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オンライン融資の最前線 第三回 : オンラインレンディングを導入する際の重要ポイント
融資

オンライン融資の最前線 第三回 : オンラインレンディングを導入する際の重要ポイント

LENDY 内山 誓一郎
2019
04
14

LENDY株式会社(株式会社クレジットエンジン)の内山です。弊社では、AIによる与信審査を利用した日本初のオンラインレンディングサービス「LENDY」を提供しています。LENDYはMoneytree LINKを採用しており、活用事例はこちらでご覧いただけます。

                     

前回のブログで、オンラインレンディングは銀行にとって新しい融資サービスの選択肢になりうるとお話しました。今回は、実際に銀行がオンラインレンディングを導入するにあたって、知っておきたいポイントを解説します。

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データ改ざんリスクが低いオンラインレンディング。従来の融資との大きな違い

オンラインレンディングは与信審査にかかるコストを大幅に削減している、というオペレーション上の違いは前回お話した通りです。その他にオンラインレンディングと従来の融資を比べた時に大きく異なるのは、与信モデルの作り方です。両者の違いは大きく4つ、①与信に利用するデータの種類、②データ操作の可能性、③リアルタイム性、④モデルの複雑さ。一つずつ順に説明していきます。

まず、①与信に利用するデータの種類の違いについてです。従来の融資では、財務諸表や事業計画書といった書類を作成し、与信審査をおこなっています。一方、オンラインレンディングは、オンライン上のユーザデータを利用して与信判断をおこないます。このオンライン上のデータは、ユーザーが恣意的に操作しにくい生の取引データであり、またその時々の事業状況を即座に反映しています。そのため、②データ操作の可能性が低い、つまり従来の融資がはらんでいたようなデータの改ざんリスクが低く、しかも③リアルタイムに事業状況を判断できるのです。従来の融資が人手を割いて確保していた信頼性を、オンラインレンディングはリアルタイムの生データで更に強固にカバーしています。金融機関にとって信用は何よりも大切なもの。この「改ざんリスクが低い」というのは大きな強みになります。

精度が高く、人間にも分かりやすいAI与信モデルの開発が急務

最後に、④モデルの複雑さについて。先に「オンラインレンディング」は「AIレンディング」と同義ではない、と断った上で(これについては後述します)、多くのオンラインレンディングサービスはAIによるデータ分析と融資モデル作成をおこなっています。与信モデルの精度を上げるために、多種多様なビッグデータを利用した機械学習やディーブラーニングを取り入れると、その分モデルは複雑なものになるのです。

ここで問題となるのが、与信モデルの説明のしやすさです。銀行が新たな融資事業を開始する際には、金融庁へその融資モデル等を説明する必要があります。そのため、銀行が「AIレンディング」を始める際にも、その与信モデルがどのような指標を使ってどのように判断しているのかを説明できなくてはなりません。精度を上げるために複雑になりがちなAI与信モデルを、いかに人が理解しやすい形に仕上げるか。そのバランスをとりながらモデルの開発を進めていく必要があるのです。

我々の展開するオンラインレンディングサービス「LENDY」は、中小事業者向け少額融資を一年以内という短期の返済期間で提供しています。そのため、サービス開始から一年半が経過した現在、融資結果のデータもかなり集まってきている状況です。それらを反映し継続的に精度を上げつつ、説明力の高いAI与信モデルの開発に注力しています。またモデルの説明力の向上と並行して、更にAIによる与信判断の実績を積み上げていけば、金融機関が「LENDY」のAI与信モデルを導入する際の説明がわりともなるはずです。

金融機関がオンラインレンディングを取り入れるには

これまで見てきたように、従来の融資とオンラインレンディングには様々な違いがあります。それでは、これから実際に金融機関がオンラインレンディングを取り入れる場合には、どのような方法が考えられるでしょうか。

プロセスやAI与信モデルを含め、丸ごと導入することももちろん可能ですが、いきなり全く違う手法を取り入れるのは難しい、という場合も多いでしょう。先ほど、「オンラインレンディング」は「AIレンディング」と同義ではない、とお伝えしました。金融機関がオンラインレンディングを取り入れる際にも、この「オンライン」の部分と「AI」の部分を分けて、段階的に考えると良いと思います。

まず、与信モデル自体は従来のものを使いつつ、非対面のチャネルとしてオンラインレンディングを導入するのが、一つの方法です。ユーザー側のインターフェース(融資申し込み、資料提出、返済の管理など)と金融機関側のオペレーション(資料確認、融資の振込処理、回収の入出金処理、督促など) で、オンラインレンディングのプラットフォームを利用すれば、それだけで大幅なコスト削減と、新たな顧客の獲得につながります。

もう一つの方法は、データ連携の基盤のみを利用し、営業の補助として使うというもの。与信モデルには加味しないものの、オンラインデータや銀行の入出金データを参照し、ダブルチェックやネガティブチェックに利用するのです。

AIが意思決定をすべておこなう必要はありません。まずは非対面チャネルやオンラインデータの利用から始めてみて、AIを補助的に使いつつ、その実績が信頼できると感じたら、AI与信モデルの導入を検討すれば良いのではないでしょうか。

三回にわたって、新しい融資の形「オンラインレンディング」についてご紹介しました。海外ではすでに一般的になっているオンラインレンディングは、必ずや日本でも広まっていくはずです。今後の動向に、是非ご注目ください。

おわり

オンライン融資の最前線シリーズ

オンライン融資の最前線 第一回 : アメリカから始まった、新たな融資の形
オンライン融資の最前線 第二回:オンラインレンディングで日本の融資が変わる

筆者プロフィール

LENDY 内山 誓一郎

内山誓一郎 株式会社クレジットエンジン 代表取締役社⻑。 慶應義塾大学経済学部卒。 2007年より株式会社新生銀行において、不動産業を中心にコーポレートローン、ストラクチャードローン業務に従事。その後、仙台市に転居し、東日本大震災後の復興支援事業の立ち上げをおこなう。 2012年より米国UCLA Anderson School of Businessに留学し、在学時には現地のベンチャーキャピタルでのインターンや、仮想現実(AR)関連技術のスタートアップに参画。帰国後株式会社マネーフォワードに入社し、業務支援サービスの営業や事業開発、家計簿サービスの事業提携などに従事。 2016年に株式会社クレジットエンジンを創業。2017年1月より、オンラインレンディングサービス「LENDY」を提供。 2018年7月には、三菱UFJファイナンシャル・グループのアクセラレータプログラム「MUFG DIGITALアクセラレータ」でグランプリを受賞。三菱UFJ銀行と業務提携を締結し、「クレジットエンジン・プラットフォーム」※の活用を検討している。 ※クレジットエンジンが提供する、LENDYの仕組みをもとに金融機関がオンライン融資サービスを低コストで提供できるサービス‍

オンライン融資, オンラインレンディング, LENDY・コラム連載

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