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FINSUMレポート:国内外のフィンテックファウンダーと語る資産管理の未来
デジタル化

FINSUMレポート:国内外のフィンテックファウンダーと語る資産管理の未来

マネーツリー編集部
2019
09
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マネーツリーは2012年に日本で創業し、2013年より金融資産を一元管理できる個人資産管理サービス「Moneytree」を提供している。2015年より企業向けの金融インフラサービス「Moneytree LINK」の提供を開始し、金融・会計業界の標準APIとして認知される。米国セールスフォース・ドットコム、三大メガバンク系ファンド、SBIインベストメント、地域金融機関系ベンチャーキャピタル、海外大手運用会社から出資を受ける。人々に信頼されるプラットフォームの構築を目指す。

FINSUM 2019 Symposium on Dynamic Money Management facilitated by Moneytree Chief Executive Paul Chapman with moderator of Acorn, Betterment and Kyash

Acornsは400万人以上のユーザーが利用する、おつり投資アプリを提供している。共同ファウンダーのジェフ氏がまだ大学に在学していた2008年に創業した会社だ。当時、周りには投資に興味を持つクラスメイトもいたが、実際に始めるのにハードルを感じている人が多く、ジェフ氏は投資をもっと小さく、気軽に始められるようにするためにAcornsを作ったという。たとえ最初は少額の投資だったとしても、ユーザーは経済に関心を持つようになり、そこで多くの学びを得ることができる。また、ユーザーは次第に投資額を増やしていったので、良いカスタマーを育てることができたそうだ。

イーライ氏は2008年に、資産運用サービスBettermentを創業した。インターネットやモバイルの力を使って「自分のお金をどう管理していけばいいか」という人々の抱える課題を解決するためだったという。現在、190億ドル以上を運用していて、個人をはじめ、退職金制度を持つ企業などをカスタマーに抱えている。創業当初は長期運用を前提とした資産運用サービスのみ提供していたが、今では、貯蓄や支出の管理といった毎日のお金にまつわるニーズを満たす機能やサービスも提供している。

鷹取真一氏が2015年に創業したKyashは、決済と個人間の送金機能を持つウォレットアプリを提供している。銀行機能と決済をもっとうまく統合したモバイル体験を提供するために創業したという。コミュニケーション手段はスマートフォンとインターネットのおかげで劇的に変わったが、お金の扱い方は10年以上変わっていない。今、それが変わる時に来ていると鷹取氏は話す。今後、Kyashは銀行業にも進出する考えだそうだ。

進化する資産管理のあり方

未来の資産管理を「ダイナミックな資産管理」と位置付けた本セッションでは、各人に未来の資

産管理がどのようになるかについて聞いた。

鷹取氏にとって「ダイナミック資産管理」は、「自分がどうお金を使っているかが反映されること」と話した。日本のキャッシュレス決済比率が20%以下である理由は、クレジットカードの利用体験が実際の支払い体験と乖離していることが一因なのではないかと指摘する。たとえば、クレジットカードで決済すると、決済の通知がくるのは数日後だ。ダイナミックな資産管理は、まず日々のお金の出入りをタイムリーに反映することからはじまり、それができたら他の機能を付け加え、ユーザーのニーズを満たすサービスが提供できると鷹取氏は説明する。

ジェフ氏にとって「ダイナミック資産管理」はアプリがユーザーとともに進化していくことだと話す。アプリは頻繁に更新することができ、変わっていくものだ。ユーザーもそれに期待している。Acornsではプロダクトを進化させていく上で、ユーザーに提供するサービス内容と、ユーザーが自分自身のために何ができるかを学べる情報提供のバランスを常に意識していると話す。ユーザーに何をどう伝えるかは、プロダクトの進化とともに変えなければならない。カスタマーとの接点は限られていて、何を伝えるかはとても重要だとジェフ氏は話す。

イーライ氏は「ダイナミック資産管理」は、「手元にあるデバイスが、あらゆる情報を取得して計算し、個人にとって最適な選択肢を提示してくれるようなことをイメージしている」と話す。Bettermentでは、お金の活動の一つである「資産運用」に特化したサービスを提供している。最適なポートフォリオを組み、リバランスして、利益を再投資し、税金を最適化するサービスだ。理想は、これと同じようなことを他の分野でも行うことだとイーライ氏は話す。支出や債務の状況を把握し、それをどう管理していくか。お金の管理にまつわるすべての情報を網羅し、最適な方法を提案することが、本当にダイナミックな資産管理だと思うとイーライ氏は語った。undefined

フィンテック業界のこれまでとこれから

ジェフ氏は、人々の関心は、テクノロジーやサービスをどのように使えば、自分のお金を最大限活かすことができるかに向くと話す。これまでのフィンテック業界は、シームレスにお金にアクセスしたり、トランザクションしたりするためのサービスを提供してきた。けれど、人々の本当の望みは、未来の自分を豊かにするところにある。将来、理想的なお金の状態にするためには、今何をすべきで、現状の自分の立ち位置が正しいかどうかがわかるテクノロジーやサービスを求めるようになるだろうと話す。

イーライ氏はフィンテック業界では、2つの大きな変化があったと話す。一つは、多くの人がアメリカの大手金融機関のサービスに対して苛立ちがあり、そうした不満を解消するチャレンジャーバンクが数多く立ち上がったこと。もう一つは、APIなどのインフラ周りが整備されたおかげで、新しいサービスが立ち上げやすくなったことだ。

次の5年では、ユーザーをサポートするためのデータ活用が進むのではないかと話す。現在、多くの企業が取引データや履歴などの情報を活用しようとしている。プライバシーの取り扱いには注意しなければならないが、データの中に価値ある学びを見つけることができるだろう。現状、企業はデータをうまく活用できているとは言えないが、次の数年でその状況は変わってくるのではないかと話す。

データ活用と言えば、昨今はAIや機械学習がトレンドになっているが、ジェフ氏はAIより先にやるべきことが多くあると話した。Acornsでも自動化を進めていて、将来的にAIの導入も考えている。だが、AIの話をするにしても、もっと具体的にどの部分でAIを使うのかという話をすべきだと指摘する。もっと自動化を進めるためのAIなのか、カスタマー体験を改善するためなのか。ユーザー体験を一番に考え、AIを実装することがユーザー体験にどう影響するのかを考えなければならない。「AIより愛が必要」とジェフは話し、本パネルディスカッションを締めくくっている。

マネーツリーでは、優れた体験を提供すべく、オープンAPIやデータ活用などをテーマにフィンテックサービスに関する様々なブログを紹介しています。ぜひ、ご覧ください。    

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2019年9月3日から6日にかけ、フィンテックとレグテックのサミット「FINSUM」が東京丸の内で開催された。

「Dynamic Money Management ~フィンテックが切り拓く未来の資産管理」のセッションでは、Acorns共同ファウンダーのジェフ・クラッテンデン氏、Betterment および Slingshot Finance共同ファウンダーのイーライ・ブロバーマン氏、株式会社Kyash代表取締役の鷹取真一氏が登壇した。モデレーターを務めたのはマネーツリー代表取締役のポールチャップマンだ。

マネーツリー編集部

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