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弁護士による解説シリーズ:金融サービス仲介業・銀行編
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弁護士による解説シリーズ:金融サービス仲介業・銀行編

マネーツリー編集部
2020
09
29

「金融サービス仲介業」という新たな仲介業が創設される見込みです。金融サービス仲介業とは一体何なのか、今年5月に公開したブログでご紹介しました。まずはそのポイントからおさらいしましょう。

金融サービス仲介業が創設されると、事業者は「金融サービス仲介業」に登録するだけで、銀行、証券、保険という複数の金融サービスの仲介ができるようになります。事業者はスマートフォンなどのアプリなどを使って、これらのサービスを横断的に仲介する金融ワンストップサービスを提供できるようになるのです。

金融サービス仲介業者は、既存の金融機関にとってライバルにもなり得ますが、それを上回る大きなメリットももたらします。金融サービス仲介業者自身は金融商品を持たず、あくまで仲介するだけ。金融機関にとっては、金融サービス仲介業者と手を組むことで自社商品の販路を増やす大きなチャンスになるのです。

私たちマネーツリーは、金融サービス仲介業が創設された後も、これまで同様、自らプレイヤーにはならず、各サービスのサポートを行う中立的なプラットフォーマーであり続けます。Moneytree LINKは、金融機関に属さない金融サービス仲介業と非常に相性がいいプラットフォームであると言えるでしょう。

金融サービス仲介業について、最近のアップデートもお伝えします。

2020年 5月に、一般社団法人Fintech協会、一般社団法人電子決済等代行事業者協会と一般社団法人コンピュータソフトウェア協会が、金融サービス仲介業協会という自主規制団体を設立することを発表しました。また、2020年6月には「金融サービスの利用者の利便の向上及び保護を図るための金融商品の販売等に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されました。そして、2021年末(10月〜12月)にはいよいよ金融サービス仲介業が施行される見込みです。

今回は金融機関の中でも銀行に焦点を当て、金融サービス仲介業の創設に向けてどんな準備ができるのか、Fintech協会理事で渥美坂井法律事務所・外国法共同事業の弁護士の落合孝文氏にお話を伺いました。

ーー金融サービス仲介業が創設されると、どのようなサービスが生まれると想定されますか。

落合氏:様々な分野で幅広いサービスが実現すると思いますが、その中でも一番想像しやすい個人向けサービスは、PFM(個人資産管理)を利用したものです。PFMはすでに多くのデータを持っていますので。例えば支出の費目を分析して、その人のライフステージに合った預金、証券や保険を提案するといったサービスが分かりやすいかと思います。他にも、他業界の既存サービスに結びつけた金融サービスの仲介も考えられます。例えば、旅行する人向けに旅行向けのローンや旅行保険を一緒に販売するといったように、ある行動の動線に結びつけて商品を一緒に販売するものです。

もちろん、オンライン上のサービスだけでなく、オフラインの対面サービスの可能性もあります。他業界に限らず、既存の金融機関でも参入を検討されているお話を伺うこともあります。金融機関の参入には様々な規制がありますが、本体で参入する、もしくは子会社を作る等グループ内の他の事業主体で参入する2つのパターンが考えられます。

ーー 例えばある金融サービス仲介業者が家計簿の預貯金やトランザクションを分析し、アプリ上で金融サービスを提案した場合、契約の手続きはどこでおこなうことになるのでしょうか。

落合氏:分野にもよりますが、提案した金融サービス仲介業者のアプリ上で、契約手続きまでほぼ完全に終わらせるようなイメージが考えられます。金融サービスの説明も全て仲介業者のほうでおこなえるようになります。UI/UXに優れたアプリ上で購入まで完了できる方が、コンバージョン率も良いだろう、という考え方ですね。

一方でリスク管理の観点から、金融機関のサイトに誘導して自分たちできちんと説明しよう、というパターンも考えられます。金融サービス仲介業者が、契約のどこまでをお手伝いするかは、この両者の間のグラデーションをつけることもできます。カスタマーエクスペリエンスや収益を最大化できるよう、規制対応やリスク管理の分担を考えつつ、得意分野の人に任せて進めていくことになるでしょう。

ーーそうすると、金融機関と金融サービス仲介業者との連携が重要になってきますね。

落合氏:その通りです。複数の金融サービス仲介業者で同じような商品を並べても、結局価格競争が起きるだけで、似たりよったりのサービスしか提供できません。そうではなく、消費者に、その仲介業者で申し込むことの付加価値を感じてもらうことこそが重要です。何かとセットで申し込めて楽だったり、色々なサービスをまとめて一か所でやってもらえたりするのであれば、それだけで選ばれる理由になることもありますよね。

銀行が金融サービス仲介業を活用すると、こんなメリットが

ーー銀行サービスであれば、不動産業者が住宅ローンを仲介して契約までおこなえたり、ウェディングプランナーがカップルの銀行口座の申し込み手続きまでパッケージで提供できたり、いろいろな可能性が考えられますね。

落合氏:はい。仲介業の規制対応ができれば、銀行だけでは提供できなかった、新しいサービスの可能性が広がります。消費者の行動の動線に結びついたようなサービス設計をすると、様々な切り口から新しいアイディアを生み出せるのではないでしょうか。

ーー従来、銀行は対面での販売ネットワークを基盤としたビジネスモデルをとってきました。しかし現在20・30代の利用者はデジタル化を好んでおり、大きな変革が求められています。金融サービス仲介業の誕生は、銀行にどのような変化をもたらすでしょうか。

落合氏:銀行には兼業規制があるため、ビジネスモデルの変革と言っても異業種への参入は難しい場合があります。また、異業種へ参入できる場合でも、必ずしも直ぐに顧客を広く獲得できるわけでもありません。しかし金融サービス仲介業が誕生すれば、銀行は従来の販売ネットワークを生かしつつも、金融サービス仲介業が間口を広げてくれることで、今までリーチできなかった新しい顧客を獲得するチャンスを得ることができます。

マネーツリーがサポートする、金融サービス仲介業のある未来

金融サービス仲介業が誕生することで、銀行は現状のチャネルに加えて幅広いお客さまにアクセスすることが可能になります。フィンテック企業や金融サービス仲介業者というビジネスパートナーと手を組み、互いにWin-Winの関係を築いていく未来が描けるようになるのです。

金融サービス仲介業が可能にする新たしいビジネスモデルの要は、いかにお客さまに合った商品提案をスムーズにおこなえるか。そして、パーソナライズされた商品を提供するために必要な最初のステップは、お客さまのことを知ることです。

私たちの提供するMoneytree LINKは、お客さまのデータを集積するツールを提供することで、金融サービス仲介業に向けた準備を支援します。

まずは「顧客を知る=データを集める」ことから始めましょう。

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落合孝文氏プロフィール

Fintech協会理事で渥美坂井法律事務所・外国法共同事業の弁護士。

渥美坂井法律事務所・外国法共同事業パートナー弁護士。

慶應義塾大学理工学部数理科学科卒業。同大学院理工学研究科在学中に旧司法試験合格。森・濱田松本法律事務所で約9年東京、北京オフィスで勤務し、国際紛争・倒産、知的財産、海外投資等を扱った。現事務所に参画後は、金融、医療、不動産、 MaaS 、 IT などの業界におけるビジネスへのアドバイス、新たな制度構築などについて活動を行っており、政府、民間団体のさまざまな理事、委員などを多く務めている。

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

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