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今後10年でこれまでとは異なる競争力の構築へ~地域金融機関の課題と価値創造~(後編)
銀行

今後10年でこれまでとは異なる競争力の構築へ~地域金融機関の課題と価値創造~(後編)

マネーツリー編集部
2019
06
06

マネーツリーで、金融機関さまの窓口として営業を担当している直原です。
このブログでは、銀行の企画部門での銀行業務改革などに携わった経験から、地域金融機関が抱える課題を紐解き、これからの地域金融機関の価値提供について、我々の想いをお伝えしたいと思います。後編は、人々の生活に根付くインフラとしてのデータ活用の仕組みについて考えてみたいと思います。

これからの銀行の競争優位の源泉とシステム投資

銀行は変革のただなかにあり、これまでの延長線上で未来像を描こうとしてもうまくはいかないのではないでしょうか。これまでは作業の正確性、確実性が重視されました。しかし、これからはコンサル分野へのシフトが起こり、そこでは行員一人一人の創造性が問われることになると考えています。

そうした時代に必要となるのが、財務分析・事業分析・業界分析などの「分析スキル」とそれをもとにお客さまに新しい価値を提案する「提案スキル」です。

この2つのスキルは、銀行の長期的な競争力の源泉となるでしょう。銀行員が自ら考え、身に着けていくことで、組織にナレッジが蓄積し、競争力が高まるだけでなく、行員一人ひとりが「お客さまのために一緒に未来を創造している」ことを実感することで、仕事へのモチベーションアップにもつながるでしょう。

しかし、一人につき100社近い担当企業のデータを行員が集めて入力し、分析するというのは現実的ではありません。まずはデータを自動的に収集できるインフラが必要です。それに加え、ある程度分析済みで、すぐにお客さまの状態が把握できるよう、行員が直感的にデータを操作・加工でき、コンサルティングに役立てられるサポートツールがあればベストです。あとは全行で暗黙知を形式知として共有できる仕組みを構築できると良いのではないでしょうか。

これからの銀行投資の要となるのは、これらの大本となるデータを集め、蓄積するためのシステムインフラの構築だと言えます。

地方創生の観点から

一方、地域金融機関においては地方創生も担っていかなければなりません。長期的な視点に立ち、地域基盤とWin-Winの関係を実現する必要があります。銀行が一歩踏み込んだコンサルティングを提供することで、企業の業績の向上、ひいては県内GDPの向上に寄与することができる。業績が良ければ、採用や待遇も向上し、地元に残る若者も増える可能性があります。

また、地方には経営者が高齢となり、後継者がいないために廃業する優良企業も少なくありません。銀行には経営者、そして起業に興味がある若者とのつながりがあります。銀行がハブとなり、後継者のいない企業の事業内容やBS、PL、キャッシュフローを把握し、若手とつなぐ役割を担うことで、企業を存続させられる可能性も出てきます。

他にも、決済とからめて支払いの一部をポイントとして地元のスポーツチームに寄付したり、クラウドファンディングのような仕組みを使って若者のアイデアを実現するといった施策に取り組むことができます。こうした施策は、子供たちや若者が地元の生活に夢を持つきっかけになります。

地方創生においてもう一つの重要な観点は、横のつながり、すなわち地元を代表する企業の連携です。銀行を中心とし、流通、アパレル、薬局、病院などのデータを連携し、一括して集積することができれば、地元で暮らす人々の生活をトータルサポートできる環境が整います。

銀行自らが、人々の生活に根付くインフラとしてのデータ活用の仕組みを構築していくことが重要です。そしてこのような仕組みを実現する一つの方法は、アグリゲーションサービスの活用にあると私は考えています。

定性分析から、明細情報による定量分析まで可能です。地方創生での活用という面では、データに基づいて企業を可視化することで、事業に興味をもつ後継者を見つける助けになるのではないでしょうか。また、データアグリゲーションによって異業種間のデータ連携も容易となります。
銀行のパートナーとしてのマネーツリー
今、銀行業界の10~20年後の将来を見据え、マネーツリーのサービスはその重要なインフラとなるとなるべく進化をしていく予定です。

タッチポイント増強・コスト削減を主眼においたデジタルバンクの土台として、またコンサルティングサービスのデータベースツールとして、地方創生を担うポータルとして、ぜひ銀行のパートナーになりたいと願っています。

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執筆者:マネーツリー株式会社 西日本ディレクター 直原 知弘                      

Jikky-profile-image

1997年富士通株式会社入社。建設業界向け基幹システム、会計システムの営業、プロジェクトマネジメント業務に携わる。2005年よりドイツ証券株式会社、JPモルガン証券株式会社にて証券アナリストとして多数の企業分析・業界分析業務に従事。その後、三井物産株式会社リスクマネジメント部を経て地方銀行の営業企画部にてVISAデビットカードの新規立ち上げ、同総合企画部にてICTを切り口に銀行業務改革プロジェクトを推進。システム知識、分析業務従事、地方銀行企画部門での経験を活かし、立場を変え、データを切り口にこれからの銀行を考えていきたいとの思いから2018年11月マネーツリー株式会社入社。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

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