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今後10年でこれまでとは異なる競争力の構築へ〜地域金融機関の課題と価値創造〜 (前編)
銀行

今後10年でこれまでとは異なる競争力の構築へ〜地域金融機関の課題と価値創造〜 (前編)

マネーツリー編集部
2019
06
04

マネーツリーで、金融機関さまの窓口として営業を担当している直原です。

2019年3月に、新オフィス「マネーツリー京都」を京都市に開設し、西日本ディレクターに就任しました。皆さまが築いてきたお客さまとの信頼関係を礎に、より高付加価値のサービスを提供できるよう、皆さまの支援をさせていただきます。

今回のブログでは、銀行の企画部門での銀行業務改革などに携わった経験から、地域金融機関が抱える課題を紐解き、データを切り口にこれからの地域金融機関がどのような価値提供ができるのかを考えてみました。そして、お客さまと金融機関の間を繋ぐ中立的なプラットフォーマーとして、我々が貢献できることについてもお伝えしたいと思います。

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銀行を取り巻く環境変化

異業種が相次いで金融業に参入し、新しい形の銀行業が出現する昨今、金融業界における既存銀行のポジショニングが不透明になりつつあるという声もありますが、果たして本当にそうでしょうか。

マイナス金利の導入、スマホの普及率上昇など、ここ数年の大きな環境変化により、銀行はその在り方を再定義する必要があるのは事実です。しかし、これまで80年近い年月をかけて、銀行が築いてきたお客さまとの信頼関係は模倣困難です。一朝一夕で構築できるものではありません。

よって銀行業への参入障壁は現段階ではまだ高いものだと私は考えています。そして、この環境変化をチャンスにすることもできるはずです。それにはお客さまとの関係性を競争優位のポイントと意識し、これを強化していくことが重要だと思います。

具体的には、次世代銀行に相応しいシステムと、スキルを蓄積していく仕組みを構築していくことです。この仕組みをうまく構築できれば、銀行は高い競争力を維持でき、異業種に大きく銀行マーケットのシェアを奪われることはないと考えます。

銀行の付加価値と収益の方向性

企業分析の視点からすると、原則として、収益を維持するためには、まずはコストを抑える必要が出てきます。これには現在、銀行が注力している働き方改革による生産性向上と同時に、AI、RPAの活用によるコスト削減をいち早く進めることが重要です。それに加え、マイナス金利環境下での資金利益の減少を可能な限りおさえ、場合によっては伸ばしていく必要があります。

銀行の収益構造は、貸出利息と有価証券の利息配当がおおよそ利益の80%を占めています。従って、いくらM&A、事業承継、相続、預り資産に注力したとしても、資金利益の減少を役務取引利益で補うことは、現実的には困難です。方向性としては、貸出利息収入を可能な限り維持することを考えるべきではないでしょうか。

生産性向上により捻出した時間で、お客さま満足度を向上させ、利息収益を伸ばしていくことが重要だと考えます。スプレッドが低下した分、お客さまとの接点を増やすことが収益を維持するのに現実的な対策となります。

法人分野についても資金需要を待っているだけでは、やがて単純な金利競争となり、ファイナンス分野に進出する新興勢力などに需要を奪われるリスクが高まります。金利面から需要を喚起しようにも、リアル店舗をもつ銀行にとってコスト構造の観点からこれ以上の低金利での融資は難しいのが現状です。

ではどうすべきでしょうか。
私はこれらの課題を解決する鍵は「コンサル力の強化」にあると考えています。先述のとおり、銀行のアドバンテージは、店舗を起点とするお客さまとの信頼関係にあります。銀行は、これまで培ってきた信頼関係を活かしながら、お客さまに対して、データに基づいた新たな付加価値のある提案を行っていくべきでしょう。

そうして法人・個人ともお客さま満足度を上げることができれば、ある程度の金利を維持しながらの融資が可能となると考えています。

後編は、人々の生活に根付くインフラとしてのデータ活用の仕組みについて考えてみたいと思います。

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執筆者:マネーツリー株式会社 西日本ディレクター 直原 知弘                      

Jikky-profile-image

1997年富士通株式会社入社。建設業界向け基幹システム、会計システムの営業、プロジェクトマネジメント業務に携わる。2005年よりドイツ証券株式会社、JPモルガン証券株式会社にて証券アナリストとして多数の企業分析・業界分析業務に従事。その後、三井物産株式会社リスクマネジメント部を経て地方銀行の営業企画部にてVISAデビットカードの新規立ち上げ、同総合企画部にてICTを切り口に銀行業務改革プロジェクトを推進。システム知識、分析業務従事、地方銀行企画部門での経験を活かし、立場を変え、データを切り口にこれからの銀行を考えていきたいとの思いから2018年11月マネーツリー株式会社入社。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

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