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フィンテックで会計業界はどう変わる?鍵は「顧客データ」と「専門性」
会計

フィンテックで会計業界はどう変わる?鍵は「顧客データ」と「専門性」

マネーツリー編集部
2017
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フィンテックで会計業界はどう変わる?鍵は「顧客データ」と「専門性」

2017年10月19日・20日の二日間に渡り、「会計事務所博覧会2017」が秋葉原UDXアキバ・スクエアで開催されました。今年のテーマはIT。主要な会計ソフトベンダーや会計事務所の経営をサポートする企業が数多く出展し、AIやクラウドサービス、FintechといったIT技術の進展により大きく変化しようとしている会計・税務業界の最先端が紹介されました。

10月19日の集中セミナー「FinTech(フィンテック)革命がもたらす会計業界への影響」には、一般社団法人Fintech協会の理事としてマネーツリーのマーク・マクダッド(Mark) が登壇しましたので、そのハイライトをレポートします。 

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本セミナーの登壇者は、メリービズ株式会社 工藤博樹 氏、freee株式会社 木村康宏 氏、株式会社FP-MYS 工藤崇 氏、マネーツリー株式会社 マーク・マクダッドの4名です。それぞれがFintech協会およびフィンテック企業にて活躍しているメンバーです。

日本経済の活性化につながる「フィンテック」とは?

セミナーは、Fintech協会代表理事の工藤博樹氏による、フィンテックの概要解説から始まりました。

フィンテックとは金融(Finance)と技術(Technology)をかけ合わせた言葉。私たちマネーツリーもフィンテック企業です。今まで金融機関の手が届かず、不便だった部分に特化したサービスが、フィンテック企業から次々と生まれています。

このような新しいサービスを通し、若い人を中心に貯蓄以外の新しいお金の流れ(投資信託や株式購入など)が生まれ、日本経済の活性化につながるとの期待が高まっています。

フィンテックが盛り上がりを見せる中、2年ほど前に立ち上がったのが、本セミナーの登壇者たちが所属する Fintech協会です。フィンテックを更に盛り上げ、ユーザーにとって便利な世の中を実現することを目的として活動しており、現在は90社ほどのフィンテック関連企業と、大手金融機関や通信会社などが参加しています。

工藤博樹氏は今年5月に成立した銀行法改正を取り上げ、「Fintech協会として金融庁に働きかけ、銀行API公開の努力義務化を法律に盛り込むことができました」と説明しました。

API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)とは、簡単に言えばシステムに外部から接続できるような窓口のこと。APIを公開することによって、他のサービスから銀行の情報にアクセスすることが容易になり、より便利な新しいサービスを提供できるようになります。

「フィンテックを活用することで、断片化されたサービスや不便なサービスがつながり、より便利なサービスになっていくことが期待されています」と、説明を締めくくりました。

API化によって、便利なサービスを安価で!

登壇者4人の自己紹介をはさみ、後半はフィンテックが会計業界に与える影響についてパネルディスカッションがおこなわれました。

はじめに、「日本政府はAPI化およびデジタル化を進めており、国のインフラそのものが変化しつつある」との説明がありました。API化は先に挙げたように改正銀行法に盛り込まれていますし、デジタル化としては電子申告(e-TaxやeLTAX)を普及させようという試みが見られます。

このような国のインフラの変化は、実際のビジネスやサービスにどのような影響を及ぼすのでしょうか。

Mark は「ファームバンキング」を例に出し、API化によって新しいサービスをより低価格で利用できるようになると述べました。ファームバンキングとは、企業内の専用端末から金融機関のサーバーにアクセスし、様々な金融手続をネットワーク上で行う仕組みのこと。APIを利用した金融サービスはファームバンキングと似ていますが、後者が金融機関と企業との二者間で専用のシステムを使って行われるものであったのに対し、前者はインターネット上で様々な企業が提供するサービスを利用するという点が異なります。API化すれば、専用システムを構築しなくて良いため、より安価にサービスを利用できるのです。

APIによるサービス同士の連携が、ユーザー最適を生む

 また、APIは国や金融機関が一方的に提供するものではなく、フィンテックをはじめとした様々なサービス同士も相互に公開し合い、つながっているというのも興味深い点です。

「API化によって、国が用意したネットワークを利用するだけでなく、サービス同士でネットワークを構築していくことが可能になりました。それぞれが主役としてユーザーに使ってもらい、改善していけるようになったんです」(工藤崇氏)

今までは提供されるサービスを利用する側だった人たちがプレイヤー側にまわり、新しいサービスを提供していく。このようなプレイヤーチェンジが、フィンテック業界に限らず様々な業界で起きています。また、サービス同士がAPIでつながることで、横断的に、今までとは異なる新しいサービスが提供できる可能性も広がっています。

「例えば、ウェブショップでの買い物データから、その人への融資可能性を判断したりすることも可能になります」(工藤博樹氏)

「サービス同士がAPIでつながり、付加価値を最大限発揮できるよう模索しています」(木村氏)

国がAPI化やデジタル化を推進することによって、ビジネスやサービスのあり方が大きく変わっていきそうです。

クラウド化で、安全かつ場所を問わないビジネスを

議論は進み、実際の業務上でのクラウド化やデジタル化の話に。会計に限らず色々なサービスがクラウド化していますが、データをデジタル化しクラウド上に置くことで、一体どのようなメリットがあるのでしょうか。

相続のサービスを手がける工藤崇氏は、「被相続人や相続人は地理的に離れた場所にいる場合も多く、データの共有など、クラウド化は大きく役立ちます」と、実際のサービスにおけるメリットを具体的に紹介しました。

また、デジタル化・クラウド化するとデータポータビリティ、つまりデータの携帯性が高まります。これによって他のサービスへのデータ提供が容易に、かつクラウドのセキュリティを利用して安全におこなえるようになります。また、場所を問わずに仕事ができる、テレワークも広がっていきそうです。

PCのハードディスククラッシュによるデータ喪失を防ぐこともでき、データの安全性が向上するとの意見も出ていました。

とはいえ、デジタル化・クラウド化には障壁も。会計ソフトを中小企業に提供する木村氏は「デジタル化されておらず、紙でしか存在しないものをどうやってクラウドに上げるか、という部分が一番のネックで、私たちも試行錯誤しています」と述べました。

特に、行政書類は紙ベースのものが多いのが現状です。「データの利活用を進めるためにはデジタル化・クラウド化が必要不可欠なので、Fintech協会としても行政への働きかけを進めていきたい」と、登壇者たちは意気込みました。 

データには力がある!そして専門性が更に求められる時代に

フィンテックによってAPI化・デジタル化・クラウド化が進む中で、会計業界での働き方、会計士・税理士の果たす役割はどのように変わっていくのでしょうか。

登壇者たちは、収益性の低い作業(記帳代行や確定申告など)は、外部のサービスをうまく使って省力化し、会計士・税理士にしかできない専門的な業務に集中することが大切だと述べました。

また、「お客様が会計士や税理士に最も求めているのは、顧客のことを十分理解した上で最適解を提案できるシミュレーション力です」(工藤崇氏)と、専門性と併せて顧客理解の重要性も指摘されました。

「顧客を知るためにはデータが大切」と登壇者たちは口を揃え、GoogleやAmazonがクラウド上でユーザーのデータを収集し、うまく利用している事例を挙げました。例えばGoogle Appsは代理店販売をおこなっていますが、Googleはエンドユーザーのことをクラウド上のデータから知ることができると同時に、代理店の販売力も把握できます。そして代理店の能力に合わせた施策を作り、より効果的な販売提案をおこなっています。このように、データは顧客を知るための大きな力を持っているのです。

しかし、データもただ集めるだけでは無用の長物となってしまいます。データをうまく利用するためにも、今まで以上に専門性が必要となります。

「お客様のことをよく知るために、どのようなデータを集めれば良いのか。それを予測するには、それぞれの会計士・税理士の知見や洞察力が重要となります」(工藤博樹氏)

「データを集めるための業務設計・業務改革が一番大切です。業務改革は、お客様にとって大変なこと。どうやってやる気を起こさせるか、というウェットな部分も大事で、そこは会計士・税理士の皆さんの人間力が問われます」(木村氏)

と、今後ますます会計士・税理士の専門性が求められるようになるとの意見でセミナーは締めくくられ、盛況のうちに終わりました。

セミナー会場では多くの会計士・税理士の方々メモを取りながら熱心に登壇者の話に耳を傾けており、会計業界におけるフィンテックへの関心の高さを改めて感じました。

私たちマネーツリーは、会計業界や金融業界を中心に B2B向けサービスの「Moneytree LINK」を提供しています。このMoneytree LINKは、もともとB2C向けの家計簿アプリ「Moneytree」を展開していたところに、会計ソフトの会社から「家計簿に入っているデータを会計ソフトに繋げたい」と連絡を頂いたことがきっかけで始まりました。家計簿と会計ソフトを私たちがスムーズに繋げることで、お客様の利便性に貢献できると気づいたのです。

今では TKC のFXシリーズや弥生会計の弥生シリーズ、ACCSのクラウド会計ソフト Crew など、主要な会計ソフトにMoneytreeLINKが導入されており、会計業界を陰ながら支えています。

会計業界だけでなく、デジタル化やクラウド化によるデータ連携のトレンドは様々な業界で進んでいます。マネーツリーは、これからも金融データの面から、企業や個人の生産性向上やイノベーションへ少しでも貢献できればと考えています。 

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

フィンテック、API、

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