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SXSW・WWDCのフィンテックレポート サービスの「発音しやすさ」を考えるVUI時代
デジタル化

SXSW・WWDCのフィンテックレポート サービスの「発音しやすさ」を考えるVUI時代

マネーツリー編集部
2017
07
26

2017年6月29日に開催したマネーツリー主催イベント「API、AIで変えていく地方銀行のデジタルバンキング」。第1部のイベントレポート「地方銀行の最新デジタル施策を討論」に引き続き、第2部では、テクノロジージャーナリスト・大谷和利氏より「SXSW 2017とWWDC2017に見るフィンテックの今後」と題し、今後のフィンテックの世界的な動きをご紹介頂きました。

                     

大谷和利氏 : テクノロジーライター原宿AssistOnアドバイザー自称路上写真家。Macintosh専門誌 デザイン評論誌 自転車雑誌などの誌上でコンピュータカメラ写真デザイン自転車分野の文筆活動を行うかたわら製品開発のコンサルティングも手がける。

                     

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SXSWWWDCといえば、最先端の技術が発表される世界的なイベント。現地に赴き、実際にイベントに参加された大谷さんは、これからを暗示するフィンテック系のテクノロジーに何を感じたのでしょうか。また、世界的なフィンテックの流れに、私たちはどう対応して行くべきなのでしょうか。

まさに「最先端技術のお祭り」。SXSWの概要と重要性

初めにSXSW、WWDCの概要や実際のイベントの様子をご説明頂き、その上でイベント中に見られたフィンテックの新しい流れをご紹介頂きました。

SXSW (サウス・バイ・サウスウエスト、South by Southwest)はアメリカのテキサス州オースティンで毎年3月に行なわれます。先端的なメディア系、ミュージック系イベントとしてアメリカでは非常に有名で、街の全域で様々なイベントやプロモーションが行われます。毎年新しいビジネスや技術が集結し、「IBMのCEOも来場するほど注目度の高いイベント」大谷氏というように、世界をリードするIT企業がこぞって参加しています。

そのIBM、今年のSXSWでは「IBM is making」というキャッチフレーズを掲げていました。IBMといえば「Think」をモットーにしていましたが、考えるだけでなく実際に物を作らなければ、という変化を表明しているのでしょう。実際グーグルでは、スライドを作ってプレゼンテーションを行なう会議はすでに時代遅れ。会議にプロトタイプを作ってきて、その場でフィードバックを得て改良する、というスピード感ある開発に変化してきているのです。

SXSWでの展示も、この新たな開発手法を採用しています。他の展示会とは異なり、「未完成でも、面白いものを見せる」のです。まだ世に出ていないアイディアや、事業化出来るか分からないけれど面白いものなどが、あちこちで展示されています。日本で最近話題になっているAR・VR といった技術は当たり前、更に新しい価値を展示しないと誰も驚かない。SXSWはまさに「最先端技術のお祭り」です。

SXSWにおけるフィンテックは「Powerful Minority」

フィンテックを目当てにSXSWに来場する人は少数派。しかし、「その分『濃い』人々が来場しており、会場ではPowerful Minorityと呼ばれていました。」(大谷氏)と言うように、注目度はかなり高かったようです。

大谷さんが特に興味を持ったのは「ブロックチェーンが全ての産業に浸透していく」というセッション。

スコットランドのエジンバラ大学が、世界で初めて大学として、ブロックチェーン技術の研究所を設立したことが取り上げられていました。学問の一分野として扱われるほど、フィンテックに対する世界的な注目度や需要が高まっているといえますし、今後、企業からブロックチェーンについて学びにいく場としての役割も期待できそうです。

大谷さんは「実際、フィンテックはあらゆる技術とビジネスサービスに浸透しています」と、SXSWのセッションのスライドを見せてくださいました。フィンテックという言葉の定義は漠然としており、金融系はもちろんのこと、ヘルスケアなど多くのビジネス領域を包括して浸透しています。これからも更にフィンテックの可能性は広がっていきそうです。

フィンテックを進化させる、3つの注目分野

SXSWを通して大谷さんが感じた、フィンテックの進化を加速させるつのキーワードもご紹介頂きました。それは「AI」、「AR」、「ボット」です。大谷さんによる解説をまとめました。

人間には考えつかない結論や解法を考えられるように。クレジットカードの不正使用の検知はすでに実装済。信用評価、需要予測、株価の予測なども。

ロゴや製品にAR技術を利用して情報を投影し、顧客とのコンタクトポイントに。金融情報や株価を投影すれば、その場で投資を決定できる。一歩進んで実際に投資が実行できるようにも。

質問すると答えが返ってくるボットを利用し、消費者への金融サービスの啓蒙を進められる。カスタマーサービスとしてのボット利用も。

世界中が注目する、アップルのWWDC

WWDC (Worldwide Developers Conference)はアップルが毎年開催している、開発者向けのイベント。アメリカ西海岸、サンフランシスコで開催され、OSの新バージョンなどが発表される基調講演は特に注目を集めています。マネーツリーのCEOとエンジニア達も毎年参加しています。

「今回のWWDCでポイントになったのは、フィンテック関係だと『Apple Pay』と『HomePod』です。」大谷氏

まずは、アップルが提供する電子決済サービスの「Apple Pay」。iPhoneユーザー同士ならApple PayとiMassageメッセージサービスを利用した個人間送金が可能になります。

アメリカではApple Payのような電子決済サービスは、ATMでキャッシュカード代わりに使えるほど普及しています。またメールではなくメッセージサービスが主流になるなど、コミュニケーションのスピードも加速しており、このような個人間送金サービスの重要性は増しています。

新しいフィンテックは、日本からも発信出来る

「実は、春先に行われたイベントで、マネーツリーがiMassageを使って送金するという実証デモを行っています。アップルが発表する前に、日本からもこういう技術は出ています」(大谷氏)という言葉も。

こちらは、今年3月に開催されたフィンテックイベントFIBC2017の中で、みずほ銀行の更新系APIの発表を受ける形で、マネーツリーのiMassageアプリ「ワリカン」を利用して振込機能のデモを行ったというもの。銀行の更新系APIの新たな可能性を示すことができました。

このマネーツリーによる更新系APIを利用した個人間送金は、日本では法律的にまだ実現できていませんが、新しいフィンテックは日本からも発信できる状態にあります。大谷さんからは「地方銀行から、あるいは地方銀行ならではのアイディアから新しいフィンテックを作っていくことも出来る」と日本の地方銀行がフィンテックを世界に発信していく可能性も示唆されました。

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「コンピュータが一緒に問題を解決してくれる」時代

そして次に「Home Pod」。家庭用のオーディオシステムのように見えますが、実は「スマートスピーカー」と呼ばれる製品です。アップルに先行して、アマゾンの「Amazon echo」、グーグルの「Google Home」といったスマートスピーカーが発売されており、特にAmazon echoはアメリカで爆発的な人気を呼んでいます。

情報を検索したり家電を操作したりできる「家庭用のコンピュータ」は、過去何度もトライされ、普及に至らなかった歴史があるそう。しかし、スマートスピーカーは、声で応答するだけで使える手軽さから、家庭用コンピュータとして普及し始めています。

スマートスピーカーの登場は、「ユーザーインターフェースの進化のさきがけ」だと大谷さんは指摘します。

現在は「ポイントクリック」のユーザーインターフェースの時代。マウス、タッチスクリーンなど、クリックや指でタッチすることでコンピュータに指示するユーザーインターフェースが主流です。

そして、2020年代からは「アスクデレゲート(委任する)」の時代に。「質問するだけで、コンピュータが一緒に問題解決をしてくれるようになります。」(大谷氏)

スマートスピーカーには画面がなく、声で操作するしかありません。その状況に慣れると、AIに話しかけるという行為は当たり前となり、音声認識のインターフェース (ボイス・ユーザー・インターフェイス, Voice User Interface) は爆発的に広がっていくでしょう。

スマートスピーカーの普及によるサービスの変化

広がりをみせる音声認識技術ですが、一方で誰でも簡単に利用できてしまうリスクがあると言われます。しかしこのリスクは、声紋などによる話者特定技術と、指紋などの生体認証技術によってカバーすることができます。むしろ、サービスの幅が広がるとも。「今まで以上に強固なセキュリティ上で、サービスを提供していける。例えば、振り込め詐欺の電話がかかってきても、本当に息子の声なのかどうか判別できるように。」(大谷氏)

大谷さんは、スマートスピーカーの普及に伴い、「検索しやすさ」よりも「発音しやすさ」重視になる時代が来ると予想します。銀行が新しいサービスを作る時、「発音しやすさ」を考えなくてはならない時代になっていくのかもしれません。

大谷さんの講演を聞いて、世界的なフィンテックへの注目度の高さを改めて感じました。一方で、その勢いに乗り遅れてはいけない、とも。これから日本発・銀行発の、フィンテックを利用したどんな面白いサービスが生まれてくるのか、とても楽しみです。              

筆者プロフィール

マネーツリー編集部

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