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アップルのフィンテック企業買収で見えるオープンバンキング
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アップルのフィンテック企業買収で見えるオープンバンキング

マネーツリー編集部
2022
04
26

2022年3月末、フォーブスCNBCエンガジェットファイナンシャルタイムズなどのメディアは、アップルが英国フィンテック「Credit Kudos」を1億5000万ドル(約18億円)で買収したことを取り上げました。

2021年2月にアップルの最高経営責任者(CEO) であるティムクック氏がアップルは過去6年間で企業買収をおよそ月に一社のペースで行ったことを株主に明かしたことからアップルが企業買収をすることはさほど希なことではありません。(出典

それでは、なぜCredit Kudosの買収が注目を浴びたのでしょうか。本ブログではその目的や、そこから見えてくる金融市場におけるデジタルサービスのこれからについて考えてみたいと思います。

Credit Kudosの会社概要と買収が秘める可能性

Credit Kudosは2015年に創業された英国のフィンテック企業です。

英国のオープンバンキングを活用し、取引明細データをリアルタイムに収集、そのデータと独自のアルゴリズムで与信判断を行う信用調査プラットフォームを提供しています。

アップルがCredit Kudosを買収した理由は明かされていませんが、アップルの製品やサービスの利用において、利用者が自分自身のために信用情報を活用できるよう、サポートしていくことが考えられます。

そもそもこれまでは、大手のメーカーやテック企業が個人の金融データを自社の製品やサービスに用いることはできませんでした。金融機関を利用する個人の金融データは、各金融機関が所有する資産であるかのように閉じられた世界で保管・管理されるのがあたりまえでした。しかしながら、GDPRの流れとともに、オープンバンキングの思想のもと個人のデータは個人のものであるという考え方が明確化され、個人の意思のもと第三者サービスにも連携できるという仕組みが浸透しつつあります。

そうした流れの中で、アップルのように競争力の高い製品を持ちデータプライバシーについても積極的な取り組みを行う企業がCredit Kudosのような技術を活用することで、一般の消費者がオープンバンキングそのものを意識せずとも、自然な流れで生活に入り込んでいくのではないかと思います。

オープンバンキングがおぎなう信頼性と即時性のギャップ

このように、異業種企業の金融業界参入のハードルを下げたのがオープンバンキングなのです。

「金融業界におけるオープンAPIとは、「金融機関のデータや機能を、顧客の同意を得てサービス提供事業者にAPIとして公開する動きのこと」」
(What is?ブログシリーズオープンAPIについて より)

そのオープンAPIを活用して新しいサービスを提供することをオープンバンキングと言います。

オープンとは「開放」という意味ですが、個人が金融機関に保有する口座情報はプライベートな情報なので、企業や個人問わず誰もが簡単にアクセスできるデータではありません。

日本ではマネーツリーを含む、金融庁から登録を受けた電子決済等代行業者というライセンスを持つ事業者のみが銀行等のAPIに接続し、データの持ち主による明確な同意のもとに取得したデータを事業者に提供することができます。プライバシー保護やセキュリティ体制の基準をクリアしている電子決済等代行業者が個人と企業の間に立ってこの仕組みを提供しているからこそ、消費者は安心し、且つスピーディーに自分のデータを第三者のサービスに連携し、その恩恵を受けることができます。

その例の一つが、オンラインでの信用情報としての活用です。

オープンAPIが切り拓いたオンライン金融サービスの事例

2022年3月18日にマネーツリーが登壇した「入出金データ活用による スコアリング精度向上」ウェビナーでも、オンライン金融サービス拡大の3つの背景としてオープンAPI、異業種の参入とDXの進展についてご説明しました。

(本ウェビナーでは国内のオンライン融資事例を紹介していますので詳しくはウェビナーレポートをご覧いただくかオンデマンドウェビナーを視聴してください。)

与信判断にオープンバンキングを活用したサービスをいくつかご紹介します。

海外の事例

オンライン住宅ローンサービスでパーソナライズされた審査とアドバイスを実施

英国でオンライン住宅ローン代理業を展開する「Mojo」は、Credit Kudosと連携し、MortgageScoreと言うサービスを提供しています。Credit Kudosが集約するオープンバンキングデータから入出金データを取得し、他にも就労歴などのデータと組み合わせ、パーソナライズしたクレジットスコアを計算します。審査を行うだけでなく、算定方法の説明やクレジットスコア向上方法のアドバイスまでを提供することによって初めて住宅ローンを組む人々を支援しています。(出典

国内の事例

オンライン個人向け融資でスピーディーな審査を実施

日本国内でオンライン融資プラットフォームを提供するCredit Engineと当社の金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」が新生銀行グループの株式会社アプラスと連携している事例です。アプラスはUSEN-NEXT GROUPのお客様に対し提供するオンラインの事業性融資商品「USEN-NEXTデータ・レンディング」の与信審査等の金融面からサポートしています。「Moneytree LINK」との連携により、インターネットバンキングやクラウド会計などの外部データを集約・解析することで、スピーディな与信判定の実行を可能にしました。(出典

法人カードの限度額審査の正確性を向上

法人カードを提供するUPSIDERは、独自の信用供与プロセスを持ち、Moneytree LINKから取得した銀行の入出金データをAPI経由で取得し、限度額設定の審査に利用しています。Moneytree LINKと連携することでリアルタイムにデータ取得を可能にするため審査の正確さが向上し、他社よりも10倍以上の利用限度額を提供することを実現しています(詳しくは、UPSIDERの導入事例をご覧ください)。

このように、オープンバンキングの活用と優れたアイディアで業界にインパクトのあるサービスが次々に登場しています。また、本ブログの冒頭で紹介したCredit Kudosの技術や、弊社の金融データプラットフォーム「Moneytree LINK」のアグリゲーション技術を活用することで、企業は専門分野に集中することが可能となり、自社の強みをさらに活かせるようになります。

そうした技術を今後はアップルのような大手のテクノロジー企業も活用していくとなれば、さらに一般消費者の生活に広く浸透し、顧客のニーズに応じたサービス、商品を提供できる大きな可能性を示しています。

Moneytree LINKはすでに7社の融資・与信関連サービスに採用いただいております。

オープンAPIからの取引明細データの取得や活用方法などにご興味のある方はぜひ以下のボタンからご連絡お待ちしております。

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